演歌は聴かないという方、多いかもしれません。

しかしこの「わかれうた」は演歌だから、古い曲だからという理由で聴かないのはとても勿体ない名曲です。

中島みゆき「わかれうた」とは

わかれうた

中島みゆきシングル5作品目で、オリコンシングルチャート1位を獲得した作品です。

カップリング曲はCMにも登用された「ホームにて」。

「わかれうた」が発表された頃は失恋の歌が集中してリリースされており、そのため中島みゆきさんは「フラれ女」「わかれうた歌い」のイメージが広まったようです。

研ナオコさんカバーの動画はこちら

現在Youtube上に中島みゆきさんご本人の「わかれうた」の音源やライブ動画は見当たりません。CDにてお聞きください。

しかし、研ナオコさんのカバーも本家に負けないくらい素晴らしい完成度と貫禄です。

曲全体の印象と歌い出し

演歌で多く扱われる「別れ」がテーマの曲ですが、この曲は強烈な歌詞と弱気を感じないあっさり感により唯一無二の作品となっています。

また、中島みゆきさんの時々ドスのきく声や、芯のとおったようなボーカルラインがかっこいい。まったく可愛らしさを感じないところがさっぱりしていて良いですね。

途に倒れて誰かの名を
呼び続けた事がありますか

出典: https://twitter.com/yakuumi/status/624920755990433792

このフレーズは「地面に這いつくばって好きな男性の名前を呼んだことはあるか」と第一に解釈する人が多いでしょう。

しかしここで考えたいのは「道」と「途」で重なる音韻。

「途」は「途中」と考えると、恋愛の途中の挫折や失恋を意味すると考えることができます。

 

歌詞は非常に凄まじい始まりですが、そのボーカルラインは非常に淡々としています。

バックグラウンドも特段壮大さや珍しさもなく、演歌定番のマイナー。

 

また、「途に倒れて名を呼んだ」とならないところに大人の女の余裕が垣間見えます。

加えて曲全体で、冷静さやちょっとした諦めの気持ちなどを感じることでしょう。

ひとりの朝

この曲は朝と夜の2構成でできていると考えられます。

つまり、朝は別れ、夜は別れを予感した逢瀬・出会いという二項対立でできています。

この対比は平安時代からもずっと扱われてきたテーマ。「後朝の別れ」という言葉や、朝の別れを惜しんだ和歌などはご存知かと思います。

「わかれうた」はそんな永遠のテーマをからりと歌い上げることで斬新な曲となっています。

孤独の朝

いつもめざめればひとり

出典: http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=35658

さっぱりとした自虐が爽やかで、全然いやらしさやセンチメンタリズムを感じさせません。「いつも」という慣れた感じからくるものでしょう。

ドロドロの心境を歌った曲はたくさんありますが、ここまでサラリとした余裕のある曲はなかなかありませんね。

孤独の朝を幾度も迎えて

恋の終わりはいつもいつも
たちさるものだけが美しい
残されてとまどうものたちは
追いかけてこがれて泣き狂う

出典: https://twitter.com/matsutoyamiyuki/status/886772141701570560

「追いかけてこがれて泣き狂う」のフレーズが激しいですね。もだえ苦しむような言葉選びが素晴らしい。

ただやはりこの部分も教訓めいていて、とても冷静です。「残されてとまど」っていた過去をひんやりとした目で見つめているのでしょう。

別れの朝を幾度と乗り越えてきたからこその落ち着いた心境です。

泣き狂うだけの曲が人の心を打つのではない、と思わせてくれます。