新企画『ガールズブルー』の第一弾「青春なんていらないわ」
小説・楽曲・イラストが創り上げる世界
2018年8月30日、三月のパンタシア「青春なんていらないわ」のリリックビデオが公開されました!
ボーカルはみあ、作詞作曲はボカロPのn-buna、イラストはダイスケリチャードの書き下ろしとなっています。
このビデオは、新企画『ガールズブルー』の第一弾として制作されました。
繊細さの中にも静かなパワーを秘めたみあのボーカル。
ボカロのみならずヨルシカでも活躍するn-bunaのキャッチーな楽曲。
和テイストの滲む少女の姿を中心に描いた、ダイスケリチャードのイラスト。
これらが三位一体となって、三月のパンタシアならではの世界を創り上げています。
『ガールズブルー』ってどんな企画?
みあがTwitter上で公開したオリジナル小説、それを基にした楽曲、イラスト。
この3つを「女の子特有の憂鬱さや、ひと夏の恋の甘酸っぱさ」を軸にして連動させる……
それが『ガールズブルー』という企画のコンセプトです。
10代後半の女の子たちが心の底から共感できそうな企画ですね。
そればかりでなく大人になった女性たちにも、懐かしい記憶を呼び覚ますものとなりそうです。
楽曲と連動する小説について
三月のパンタシアは、これまでにも楽曲と小説の連動企画をいくつか行っています。
最初はケータイ小説サイト『野いちご』とコラボし、彼らの楽曲を基にしたノベライズコンテストでした。
その時の楽曲は「ブラックボードイレイザー」。
グランプリとなった小説「全力片想い」は書籍として発売されました。
次は三月のパンタシアのメンバーであるみのりが「星の涙」をノベライズし『野いちご』にて連載するというもの。
こちらも書籍化されていますよ。
今回は最初にみあのオリジナル小説があり、そこからn-bunaが楽曲を書き下ろすという形になっています。
そのオリジナル小説はこちら! ぜひ読んでみてください!
後にご紹介する歌詞を理解するうえで、とても役に立つと思いますよ。
リリックビデオをご紹介
画面に歌詞が効果的に載せられている、リリックビデオです。
うたた寝をする女の子、周囲に小物やリュック、フルートが散らばっています。
小説の中でも、彼女は吹奏楽部でフルートを吹いていましたね。
小物はお祭りで買ったらしい、キツネのお面や水ヨーヨー、金魚すくいの金魚など。
少女と大人の境を彷徨う心……歌詞を紐解く
明るい曲調にたゆたう、少女の憂鬱
「青春なんていらないわ」の歌詞には、原案の小説とはまた違った色合いの憂鬱が込められています。
その象徴がこの「いらないわ」という言葉にあるように思うのです。
小説の設定を思い浮かべつつ、歌詞をじっくり読み込んでいきましょう。
小さく鳴ったのは花火? それとも?
小さく 遠くで 何かが鳴った
君の 横顔を 追った 一瞬、もう一瞬
もうちょっとだけ 大人でいたくて
夏際くるぶしに 少し掠るぐらいで
歩いている
小さく 遠くで 何かが 鳴った
いつも横顔を 追っていたんだ
出典: 青春なんていらないわ/作詞:n-buna 作曲:n-buna
原案になった小説を読んだりビデオを観た人なら、この音が花火だとすぐピンと来ますよね。
でもこの引用部分だけしか読んでいないと、一体何の音か分からないと思うのです。
音が聞こえたと同時に「君」の横顔を目で追います。
一度だけでは足りずに二度追ったのでしょうか。
それともこの「追った」は「探す」の意味で、一度では見つけられなかったのでしょうか。
三行目以降を読むと、とても抒情的な表現が出てきます。
「夏際」「くるぶし」「少し掠る」……ここから連想されるものとは?
そう!浴衣です! 浴衣は丁度くるぶしを少し掠る丈ですものね。
ここで読者はみんな、一行目の音が花火だと想像することができます。
しかも「君」の横顔を追うという記述から、ここに自分の心臓の音を重ねていることが読み取れます。
なんと美しく豊かな表現なのでしょう。
いつも横顔を追っていたということから、以前から想いを寄せていたことも分かります。