楽曲だけではなく活動にもやりたいことが表れて来たクラムボン
1999年のデビューから数えて、早くも20年を迎えようというクラムボン。
彼女たちの音楽はポピュラーではあるのだけど、ちょっと玄人好みなイメージ。
人気のあるアーティストではあっても、流行の最先端と言われるとちょっと違う気がします。
メジャーのシーンには居ながらも、やりたい音楽を貫いて来たといった感じでしょうか。
そういった姿勢で活動して来たからこそ根強いファンも多いのですが、近年は楽曲だけではなくその活動スタイルにも彼女たちのやりたいことが如実に表れて来ています。
2016年以降CDの全国流通をさせていない
2016年に入ってからというものの、2018年現在まで彼女たちがCDを全国流通させていないことはご存知でしょうか。
作品を出していないわけではなく、ミニアルバムを3枚リリースしているのですが、いずれも全国流通には乗せていないのです。
「モメント」と名付けられたこの3作品はそれぞれライブ会場、または販売を希望した店舗でしか買うことが出来ません。
全国流通を介した方が絶対に売れるのに、何故全国流通をさせないのか。
それは流通させるためにかかるお金を考慮した上での判断だったといいます。
全国流通させることより、その分こだわった作品を
流通を自分たちのルートでやってしまうことで、その分のお金を制作に回すことが出来る。
その結果よりこだわった音楽をファンに届けることが出来るという考えから、この試みが行われているのです。
つまり全国流通すればもちろん売れるけど、全国流通をせずとも十分に売れるし、仲介がない分自分たちへの利益も大きいということ。
これも彼女たちが20年の間で築いてきた根強いファンとの絆があってこそ成り立つものです。
飽くまでファンのための音楽をしようとしている!
そして販売希望店に関してもジャンルを問わないところがまた面白い。
カフェや美容室、ラーメン屋なんかでも販売されていたりするんです。
その店舗の多様さが、クラムボンを応援したいという人の多さを物語っていますね。
このようにして彼女たちは音楽だけでなく、活動に関しても独自のやり方で突き進んでいこうとしているのです。
その活動から、クラムボンが飽くまでファンのための音楽をしようとしていることが伝わってきますね。
またこうした活動がファンとの絆をより強固なものにしていき、独自の道を歩み出した彼女たちをさらに波に乗せるのではないか。
そんな力強さを近年のクラムボンからは感じることが出来ます。
ゆらゆらと漂うような雰囲気を湛えた1曲「タイムライン」
そして今回紹介するのも全国流通を介さずに販売されている作品のうちの一つ。
2017年6月1日にリリースされた「モメント e.p.2」に収録されている「タイムライン」という楽曲です。
J-POPのような展開がない?
聴いていただくとわかるのですが、J-POPの王道であるA→B→サビのような展開がこの曲にはないのです。
少しメロディが高ぶりを見せる部分や、クライマックスへ繋げるCメロこそあるものの、ほとんど一つのモチーフの繰り返しで曲が構成されています。
そのシンプルな繰り返しこそが、楽曲のゆらゆらと漂うような雰囲気を形作っているのではないでしょうか。
MVの内容もまた然り。
メッセージ性の強いものではなく、飽くまでも抽象的なイメージだけが流れていきます。
これらの要素は描かれている歌詞にも繋がってくる部分があるのでしょうか。
楽曲を聴いていただいたところで、いよいよその内容が気になってくるところですね。
ここから順を追って、どんなことが歌われているのかを垣間見ていきましょう!
一つの公園の中にもたくさんの物語がある
いつもの公園 ちょうど5時の時報
鳴り渡る空は 真っ赤な夕暮れどき
ボール追いかけて 遊ぶ子供たち
見守る親たち 自転車 子犬 木々
平穏であれたら そんなことを願う
陰影の濃淡 映画のようで
歌がきこえてる ささやかにゆれる
歌がきこえてる それぞれのタイムライン
出典: タイムライン/作詞:原田郁子 作曲:ミト
舞台は夕暮れ時の公園といったイメージ。
遊ぶ子供たちやそれを見守る親たち、公園を彩る様々な要素を見守りながら物思いにふけっているといったところでしょうか。
それぞれには想いがあって、それぞれのときを過ごしている。
一つの公園の中にもたくさんの物語があって、それを感じられることをとても心地良く感じている。
そんな主人公の様子が伝わってきます。
タイムラインというのは時間軸のこと。
自分とは違う時間軸を小さな公園の中にもたくさん感じられるということですね。