なんでもない様な顔して犬
ご機嫌損ねてる「バウワウ」と
今日は レイニイデイ

屋根の上で少女が泣き濡れては
林檎飴を舐めて空を見た
今日は レイニイデイ

カンテラ持って歌うたって
明日の準備を拵えて
賛美の言葉唱えようぜ
ほらハイネリィランラ

魚の面で歌うたって
有刺鉄線を飛び越えて
遊ぼうぜ、笑おうぜ!

くだらない愛を歌う この街の中
明りを灯せば何にもない
1,2,3,4,5, ほら合図で君に会いに行こう

新しい灯を迎えに行こう

出典: ワンダーランドと羊の歌/作詞:ハチ 作曲:ハチ

明日は、お祭りがあるのでしょうか。そのお祭りは一体何のお祭りなのかは、分かりません。

MVの世界では、街には人っ子一人いなくて、がらんとしています。

ちょっとジブリを思い起こさせる街並みですよね。

そこを歩いていく羊に乗った少女。

祭囃子を思わせるにぎやかな曲調ですが、街の中は打って変わって静かな様子です。

”レイニイデイ”=雨の日なのは、現実世界でしょうか。

羊に乗った少女が迷い込んだワンダーワンドは、晴れているようです。

現実世界では、祭りを控えて準備を進めると同時に、悲しいムードが街を覆っているような雰囲気が歌詞からは受け取れます。

泣き崩れる女の子。機嫌の悪い犬。不穏なムードが立ち込めています。

羊に乗った少女は、不思議な面を被った子供に出会い、導かれていきます。

ワンダーランドに灯を掲げた少女が訪れたのを知って、迎えに来たのです。

今日も雨降り

何て名前かも忘れてまた
赤電話が鳴り「フワウワウ」と
今日も レイニイデイ

煙草の煙濡れちゃってまた
噎せ返る路地裏去って歩いていった
レイニイデイ 

アンテナ立ったらもういいかい?
商店街から顔出して
泣いてる子には唱えようぜ
ほらハイネリィランラ

「さよなら」ばっかり詰め込んで
二律背反を背負い込んで
泣かないで 揺れないで

右手の上で回る地球儀を
左手の灯で照らそうか
空の色が変わる その時に
胸に残るのは 君の事

出典: ワンダーランドと羊の歌/作詞:ハチ 作曲:ハチ

寂れたワンダーランドの街中で少女の目に映るのは、ほとんど読めない鏡文字や逆さ文字や店名。

そして放射能を示すハザードシンボル。

放射能の影響下に、ワンダーランドはあるのでしょうか。

赤電話は、昭和の時代にあった公衆電話。

そしてまた、そのころは今のように禁煙が浸透していなく、街のいたるところで喫煙が許されていました。

現実世界では、そういった空気の中で、祭りの用意は進んで行きます。

何かを失うような悲しい雨の降る中。

ワンダーランドでは、不思議な少年たちに導かれて、少女は神社の鳥居をくぐります。

そこは、木々も空もない、全くの異空間。

儀式が行われます。

地球儀に光を。

少女の使命が、終わっていきます。

トンネルの先には……

雨宿り駄菓子屋で
神様の帰りを待った
さぁ、歌おうか 羊の歌!
君の手の そのカンテラが

全てを照らす 太陽なんだ

君が歌を歌う この街の中
明りを灯せ 素敵な事
1,2,3,4,5, ほら合図で君に会いに行こう

新しい灯を迎えに行こう

トンネルの先には 何がある?
街の外に踏み出して行く
1,2,3,4,5, ほら合図で君に会いに行こう

新しい灯を迎えに行こう

出典: ワンダーランドと羊の歌/作詞:ハチ 作曲:ハチ

ワンダーランドに変化が起こります。

三つ目の猫の神様のようなものが現れ、街を通り過ぎると、鏡文字や逆さ文字は元通りに、鳥居の内は異空間ではなくなります。

カンテラは、現実世界=この世とワンダーランドをつなぐ大切なもの。

少女は、崩れてしまった均衡を取り戻す使命を背負っていたのでしょう。

その使命が、ワンダーランドに来て、世界に灯をかざすこと。

それによって失われたワンダーランドに、また世界が取り戻されたのです。

ワンダーランドは、この世との並行世界。いわゆるパラレルワールドのようなものではないのでしょうか。

放射能に汚染されたワンダーランド=パラレルワールドとこの世が混線しそうになっているのを、少女が救ったのでしょう。

ワンダーランドに表れた不思議な子供が面をとると少女そっくりだった。

そのことに少女は驚くこともなく、カンテラを手渡します。

そして少女が救った両方の世界。

元の世界も、悲しい雨の日ではなくなっているかもしれません。

少女の行為によって、どちらの世界にも影響は及んでいるはずです。

そして新しくなった世界へと、少女は駆け出します。

少女の目には、どんな世界が見えているのでしょうか。

謎めいた「ワンダーランドと羊の歌」の世界

西洋では、羊は生贄や犠牲を表す場合もあります。

少女の使命は、もしかしたらそういった要素を含むものだったのかもしれません。

トンネルをくぐり抜けて、生まれ変わったと解釈することもできます。

もっと他にも、ネットなどに色々な解釈があります。

恋愛の歌だとしたものや、神様を迎えに行くことを歌ったものだという解釈も多いです。

非常に難しく、そしていろんな解釈ができるのが”ハチ”の歌詞の魅力。

その解釈を聴く人に委ねる、そういった彼の音楽は聴く人の心を捉えて離しません。

ボカロPハチ”でも、”米津玄師”でもその本質は変わらない。そのことを私たちに改めて思い知らせてくれました。

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