Hello, hello
Wanna hear you before I
C'mon, c'mon
Go to sleep dreamin' of ya
Show me what you got, and I'll give it what I got
Baby, heaven's what we make it
Don't you know it
Gotta live it don't ya stop!

出典: Heaven/作詞: Emyli 作曲:Anton Zaslavski Emyli Tommy Clint

「Heaven」の創造を高らかに歌う箇所です。

「Hello,hello

あなたの声が聞きたいわ

C’mon C’mon

私があなたのことを夢に見るために寝付く前にね

あなたの獲たものを見せてちょうだい そうしたら私は最善を尽くすわ

あなた、天国とは私たちが創造するものよ

あなたは知らなかったの?

そうするために生きましょう、やめないでね」

あなたの夢を見たいがために声を聴かせて欲しいとねだります。

いつでもそばにいてくれる上に、夢の中でもあなたに会いたいのです。

恋へ没頭する姿、一途な想い。

リスナーの誰もがうらやむような完璧な恋愛をしているのでしょう。

人は天国を創造できるのか

安室奈美恵【Heaven】歌詞を和訳&考察!「Heaven」にはどうやったら行ける?愛の力を感じようの画像

ついに天国の創造を高らかに歌い上げます。

天国はもともと神の概念と近いものであるのですが、畏れを知らない恋の逞しさが眩しいです。

死んだもののために神の恩寵とご加護のもとにある天国という場所。

この曲「Heaven」は若い男女ふたりが創造するものに変わります。

本来の天国の在り方とは違うのでしょう。

死者を弔う要素は少しもないです。

むしろ生きているもののためにあるのが、ふたりが望む天国でしょう。

現世でも救われるというのは仏教の一部宗派にはある概念です。

しかしキリスト教的な従来の観念では中々こうした発想にはなりません。

不遜な考え方であり、神の領域を侵すことにもなりかねませんから。

また「Heaven」では神聖な天国の在り方とは違い、もっと肉欲的な悦びに満たされた土地であるようです。

敬虔な宗教者は頭を悩ませることでしょう。

しかし、リスナーである私たちはこうした新しい天国の創造をどこかで待ち望んでいました。

享楽的な悦びに満ちた土地であり、どこまでも現世的である天国

むしろ死んだものはこの天国を享受できません。

ふたりは生きているものでしか悦びを感じえない天国を創り出してしまったのです。

生きているものへ捧げる

恋愛と音楽に共通する悦び

安室奈美恵【Heaven】歌詞を和訳&考察!「Heaven」にはどうやったら行ける?愛の力を感じようの画像

I'm lovin' every minute with you, boy
Got me singing LaLaLa tonight
You give me wings and you give me power to go high
Fly me away

出典: Heaven/作詞: Emyli 作曲:Anton Zaslavski Emyli Tommy Clint

詩的な表現が満載ですのでぜひ原詩で味わってください。

「あらゆる瞬間もあなたを愛しているの

今夜は私にLaLaLaと歌わせてちょうだい

あなたは私に翼をくれて、高みへ到達するほどの力を与えてくれたわね

私を連れて飛び去りなさい」

作詞のEmyli自身もシンガーですが、安室奈美恵のために宛書きしたような歌詞になっています。

気分が高まると歌ってしまうというラインは、ミュージカルを鑑賞しているような気分になるでしょう。

愛することの悦びを音楽にして表現するのだという力強い気持ちが陰に潜んでいます。

音楽の悦びというものも現世的なものです。

死んだものに贈るレクイエムもありますが、祝祭的で色華やかな音楽は生きているものだけが知ります。

翼を与えてくれたというのは、音楽家としての修練を積むことが苦痛ではなくなったことが背景。

音楽で獲られる愉悦と恋愛で味わえる絶頂感がダブルミーニングのように表現されているのです。

実際、安室奈美恵は日本の音楽シーンでトップになった歌姫。

そして悲しいかな本当に私たちの手の届かないところへ飛び去ってしまいました。

交錯する愛の構文

難しい構文で表現したかった愛

安室奈美恵【Heaven】歌詞を和訳&考察!「Heaven」にはどうやったら行ける?愛の力を感じようの画像

Don't you worry, my love
Lovin' whatcha do, whatcha whatcha wanna do
Cuz you're acting like you
Never met a girl like me and
Talking like you
Never did a girl like me, so
Kiss me now, hold me now

出典: Heaven/作詞: Emyli 作曲:Anton Zaslavski Emyli Tommy Clint

リフレインの箇所は紙幅の関係で省略いたしました。

申し訳ございません。

原詩の構文が難しい箇所ですので和訳を参考にしてください。

「心配しないで、私の愛しい人よ

あなたのすること 欲したことが愛しいの

なぜってあなたはあなたらしく振る舞うから

私のような少女はめったにお目にかかれないし

あなたらしい口ぶりだから

私のように何かをする少女も決していないわ、そう

私にキスして、今すぐ抱きしめて」

なぜって「あなたはあなたらしく振る舞うから」と「あなたはあなたらしい口ぶりだから」は並列の関係です。

そこに「私のような少女はめったにお目にかかれないし」と「私のように何かをする少女も決していない」。

この文章も並列の関係です。

二連の文章がそれぞれ互い違いに挟み込まれているのです。

この社会でいつでも自分らしく振る舞うことは難しいことでしょう。

人はどこか社会人としての節度などを気にし、マナーにがんじがらめにされている面があります。

また物言いまでも自分らしさを貫き通すことは至難です。

しかし歌詞の中のあなたはこうした慣習に惑わされません。

語り手の私はあなたのこうした素直な側面をこよなく愛します。

語り手はさらに交錯するように自分の長所を挙げているのです。

めったにいないタイプの少女であり、行動も個性的である。

だから私とあなたは固く結ばれる。

ふたりの個性を交錯するような構文で描きました。

難しい構文で「なぜこうなるの」と思われるかもしれません。

しかし、ふたりの相性がぴったりであることを表現するための非常に高度な作詞になっています。

とにかく私はあなたのすべてを愛しているし、あなたにぞっこんであること。

この愛が「Heaven」のテーマである天国の創造を条件的に裏付けるものなのです。

あなたとは誰を指すのか

安室奈美恵【Heaven】歌詞を和訳&考察!「Heaven」にはどうやったら行ける?愛の力を感じようの画像

Heaven is a place inside your heart
Heaven is the place with all of your love

出典: Heaven/作詞: Emyli 作曲:Anton Zaslavski Emyli Tommy Clint

とても重要な箇所ですので慎重に解釈したいです。

「天国はあなたの心の内面にある場所

天国はあなたの愛のすべてと一緒にあるところ」

天国は現世に存在するものと規定しますが、目に見えるものではないことが明かされます。

実際に私たちは生きている中で天国を直に見たことはないです。

天国とは愛に裏付けされた心の内側にあるものだから安室奈美恵は歌います。

もう一方でこのラインを読む内にあなたとはいったい誰を指すのかもう一度考えたくなるのです。

安室奈美恵のリスナーは男女の垣根を超えてたくさんいます。

歌詞の中のあなたは男性ですが、女性ファンもたくさん抱えている安室奈美恵。

このあなたとはリスナーのことではないか。

「心の内側に意識を向けて欲しい、そこにあなたなりの天国があるのだから」

安室奈美恵が伝えたかったメッセージをこのように解釈することもできる気がします。

歌詞の解釈というものは最終的にはリスナーのものです。

何でも好きに解釈していいものではありませんが、届けられた想いに気付かないでいることも罪でしょう。

天国を現世のものへ地上に引き落とした理由は生きている私たちすべてを救済したい気持ちがあるはず。

安室奈美恵とリスナーとの間で生まれた愛に裏付けられた天国。

「Heaven」の隠された場所はこの記事を読んでいる皆さんの心の内側にもあるのです。

重ねられた様々な意味