ライブデートをした際、海へ行った2人。

まだ幸せだった頃です。

その時に履いていたチノパンツのめくっていた裾から出てきた砂。

裾を折りっぱなしにしていたことからも、その時の状態そのままということが伝わってきます。

とても想像できるシチュエーションですが、心理的な描写もこの表現に含まれているのはないかと考えました。

裾がそのままであったように、おそらくこの時も彼女のことが好きな気持ちはそのまま。

しかし、何かの拍子に砂が出てくるのです。

砂を見るだけでもきっと彼女との思い出を頭にめぐらせたことでしょう。

4行目から、もう2人が同じ場所にいないということが伝わってきます。

おそらく彼女とじゃれていたときに見た空はとても明るかったでしょう。

幸せだと感じるほどの、快晴のような空だったのではないでしょうか。

しかし、もうそんな空はここにはない。

好きな気持ちはそのまま残っていましたが、自分の近くにはもう彼女はいないのです。

そのことをまるで自分に言い聞かせているかのように「いない」と言い切るのです。

別れ

謝るのをやめた彼女

いたずらが過ぎて困らせてばかりいる
君におこったふりをしたら
ごめんねと何度か言っていたのに
あきらめたようにやめたのがつらかった

出典: Witch hazel/作詞:槇原敬之 作曲:槇原敬之

「遊びの恋」だと思っている彼女。

まさか相手が本気だとも思わず、ちょっかいを出していたのでしょう。

おそらく恋人のようなちょっかい。

自分が好きな相手からそんなことをされたら嬉しいような気もします。

しかし、主人公にとってはもちろんそんな気持ちにはなりません。

理由は彼女が自分のことを本気で好きではないことがわかっていから。

主人公が怒ってしまいたくなる気持ちもわかります。

彼女はその主人公の姿を見て謝っていたものの、様子を見て辞めてしまいました。

4行目にあるように、主人公にとっては彼女のその姿にショックを受けた様子。

本気の恋でなかった時は、笑ってちょっかいも済ましていたのでしょう。

しかし、そうできない自分に対する悔しさや虚しさを感じてしまったのです。

さらに今までの対応ができず、結局彼女を困らせてしまったのです。

大人になること

太陽がやけどをさせて
痛かった背中も
君を強く抱く時は
平気だったんだ
大人になることが
忘れて行くことなら
僕は今のままでいたい

出典: Witch hazel/作詞:槇原敬之 作曲:槇原敬之

このの描写で、どんなことも彼女がいれば耐えることができたということが伝わってきます。

彼女の存在がとても大きかったことがわかるのではないでしょうか。

どれだけ本気で好きだったかということが表現されています。

そして7行目から彼女のことを忘れたくないという気持ちがわかります。

困った顔は思い出したくはないけれど、彼女との思い出は忘れたくはないのです。

考察してみよう

タイトルに込められた意味

それでは歌詞を見てきた上でこの「Witch hazel」というタイトルについて考えてみたいと思います。

この言葉には、海外では「あなたは私を愛している」という花言葉があるとお話しました。

歌詞を見てくると、この言葉が彼女側の気持ちであることがわかるのではないでしょうか。

「あなた」が主人公で「私」が彼女を表しています。

もしかしたら彼女は主人公の気持ちに、薄々気がついていたのかもしれません。

そして、この言葉には主人公の気持ちも含まれていると感じました。

主人公は彼女が自分を愛していると思い込みたいのかもしれません。

また、「Witch」は「魔女」のこと。

「好き」という感情は魔法のようなものでもあります。

主人公にとって彼女は、本気の恋の魔法をかけた魔女なのです。

どんな恋をしていた?

この歌詞からわかったことは、2人はお互い同じ気持ちではないこと。

相手に対しては本気、しかし相手は自分のことを遊びの恋の相手だと思っている。

そのことをわかった上で、自分が本気で好きになってしまったのです。

どれだけ相手のことを好きだと思っていても、上手くいかないのは予想がつきます。

報われない、とても切ない恋をしていたのです。

自分が彼女に思いを伝えることで、その切なさを身をもって感じてしまう。

そのことがとにかく怖かったのです。

まとめ

槇原敬之さんの「Witch hazel」の歌詞について解説しました。

自分は相手のことが好きなのに、相手は自分と同じ気持ちではない。

そのことに気がついてしまった、辛い恋を表現したこちらの曲。

このタイトルになった理由も納得ができるのではないでしょうか。

歌詞はとても辛いものですが、心にしみます。

夏のように爽やかなメロディもとても心地よく、素敵な楽曲です。