心に火を灯してくれる「馬と鹿」

人は逆境に立たされたとき何を思うでしょうか。

「なにクソ!」と立ち向かっていくのか、「もうダメだ…」と歩みを止めるのか。

逆境の先にどんな未来を望むのか、その思いの強さが判断基準となるのでしょう。

今回解説していくのは、米津玄師楽曲「馬と鹿」

挫折を味わい、一度は心が燃え尽きてしまうも、再起していく姿が描かれています。

今、逆境に立たされている方へ。

「馬と鹿」が心を灯す火となることを願っています。

米津玄師の「馬と鹿」について

「馬と鹿」は米津玄師が2019年にリリースしたシングルです。

楽曲は大泉洋主演、TBS日曜劇場「ノーサイド・ゲーム」の主題歌として制作され、リリースと同年に日本で開催された「ラグビーワールドカップ2019」と複数のコラボレーションを果たし、音楽配信チャートで複数週に渡ってトップを保持した。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/馬と鹿

『ノーサイド・ゲーム』はラグビーをテーマにしたドラマ

ドラマ終了直後の9月20日からはラグビーのワールドカップが開催されました。

ともに大きな盛り上がりを見せ、「馬と鹿」を至る所で耳にした方も多いのではないでしょうか。

まさにラグビーで一色となった日本を「馬と鹿」が華を添えました。

命のように儚く、美しいサウンド

米津玄師のYouTubeチャンネルには、「馬と鹿」のMVが公開されています。

ザクザクと刻まれていく骨太なギターサウンド。

ストリングスが胸を締め付けるような切迫感を伴って鳴り響きます。

リズムトラックに、クラップを取り入れているのも印象的です。

サウンドに肉体感が生まれ、切なさの中にぬくもりを感じます。

ラストサビでの命を振り絞るように歌う、米津の歌唱は圧巻。

少し掠れた声が強い訴求力とともに、燃え尽きていくような儚さを感じさせます。

悲壮感に満ちた春

歪んで傷だらけの春
麻酔も打たずに歩いた
体の奥底で響く
生き足りないと強く

出典: 馬と鹿:作詞/米津玄師 作曲/米津玄師

季節は春。

新生活のスタートなどポジティブなイメージが強い季節ですが、主人公にとっては違うようです。

光が強いほど、影が濃くなるように。

冬ではなく春という季節を舞台にすることで、悲壮感がより浮き彫りとなっています。

満身創痍の身体でも

主人公の身体は満身創痍のようです。

痛みを和らげる手段があるにもかかわらず使おうとはしません。

あえて痛みを求めているということでしょう。

そうしなければ生きる実感が湧かないのだとでもいうように。

主人公にとって、増えていく傷跡が生きた証なのです。

勝利への覚悟

「馬と鹿」はラグビーを題材にしたドラマ主題歌として書き下ろされた楽曲です。

そのことを考えると、満身創痍の主人公とは選手のことを表しているといえます。

多くの選手が、至るところに怪我を抱えながら、グラウンドに立っていることでしょう。

這いつくばってでも勝利を手にしにいくという強い覚悟を表現しているのです。

心の火は燃え続けている

飽きることのない大切なもの