まだ歩けるか 噛み締めた砂の味
夜露で濡れた芝生の上
はやる胸に 尋ねる言葉
終わるにはまだ早いだろう

出典: 馬と鹿:作詞/米津玄師 作曲/米津玄師

倒れ伏せ、全身に染み渡ってくる痛みや悔しさ。

「まだやれるはずだろう?」と、自分自身を鼓舞するかのように言葉が並んでいます。

しかし本当は限界で目には涙さえ浮かべているかのようです。

心の火は燃え尽きた

チームメイトとの決裂

誰も悲しまぬように微笑むことが
上手くできなかった
一つ ただ一つでいい 守れるだけで
それでよかったのに

出典: 馬と鹿:作詞/米津玄師 作曲/米津玄師

弱気になった理由。

それはチームメイトとの決裂が原因なのではないでしょうか。

この歌詞からは主人公の不器用な性格が伝わってきます。

チームプレーに不可欠な大切なコミュニケーションを上手くとることができず。

ラグビーへの思いが強いあまり、意見も素直に聞くことができなかったのかもしれません。

次第に、溝は深まっていきました。

主人公も決して悪気があったわけではないのでしょう。

自分自身の不器用さを責めているようにも思えます。

決裂したことで、これだけ頑張ってきたラグビーも続けることが難しくなってしまいました。

もう生きる意味を失ってしまった、そんな喪失感と孤独に苛まれています。

消えない「願い」

あまりにくだらない 願いが消えない
誰にも奪えない魂

出典: 馬と鹿:作詞/米津玄師 作曲/米津玄師

一度は燃え尽きてしまった心。

それでもやはりラグビーに対する愛を完全に消すことはできなかったのでしょう。

満身創痍になり、挫折を味わってきたのにもかかわらず、まだラグビーを続けたいと願っているのです。

そんな自分に対し「馬鹿みたいだ」と、半ば誇りにも似た気持ちで自虐しています。

再び心に火を灯して

何に例えよう 君と僕を 踵に残る似た傷を
晴れ間を結えばまだ続く 行こう花も咲かないうちに

出典: 馬と鹿:作詞/米津玄師 作曲/米津玄師

ここにきて初めて僕以外の「君」という人物が登場します。

君とは誰なのでしょうか。

これは2つの解釈ができます。

1つはこれまで描かれてきた通り、ラグビーに対する

そしてもう1つはチームメイトのことではないでしょうか。

自分だけじゃなく、同じようにみんなも傷を抱え、ともに乗り越えてきたのでしょう。

もう一度みんなとラグビーをやりたい、心からの願いを描いているのです。

桜がまだ咲く前、耐え忍ぶ冬を再びチームメイトと乗り越えようとしていきます。

ラグビーへの愛を桜に誓う

これが愛じゃなければなんと呼ぶのか
僕は知らなかった
呼べよ 恐れるままに花の名前を
君じゃなきゃ駄目だと
鼻先が触れる 呼吸が止まる
痛みは消えないままでいい

あまりにくだらない 願いが消えない
止まない

出典: 馬と鹿:作詞/米津玄師 作曲/米津玄師

ラグビーに対する愛を再確認した主人公。

1つ違うのは、誇りであるはずだった桜に対し、恐れを抱いていることです。

これは一度諦めようとした自分を戒めているのではないでしょうか。

「自分にはユニフォームを着る資格がないのかもしれない、それでもラグビーを、このチームで続けていきたい」

再起にかける思いがひしひしと伝わってきます。

再び心に灯すことができた火、もうどんなに涙で濡れても消えることはないのでしょう。

これからも人生をラグビーに捧げていく。

そう誓いを立てながら「馬と鹿」は幕を閉じます。

逆境の先へ