人は弱いものよ
とても弱い者よ

出典: https://www.uta-net.com/song/10205/

この歌詞はまるで、女性が男性に向かって言い放っているセリフのようですね。

これは一体、誰のことを指すのでしょう。

古来より、男性は世間から“強くあれ”と言われることが多かった存在。

ですが多くの男性もまた人間ですから、きっと強くあることができない瞬間もあるはずです。

そんな瞬間に、“あなたは強くなくてもいい。人間なんだもの、弱くてもいいのよ”なんて。

私の前では弱いところを見せてもいいのよ、なんて言われたら。

思わずぐらっときてしまう男性も、きっと多いのではないかと思います。

あなたは弱い人なのよ、と誘導されているかのようなセリフ。

そうして彼女の”誘惑”が始まるのです。

人はいつか変わってしまうもの、だから…

魔性の女と、甘いお菓子

私の部屋へいらっしゃい 甘いお菓子をあげましょう
抱いてあげましょう

出典: https://www.uta-net.com/song/10205/

言葉だけではありません。態度でも女性の誘惑がじわじわと始まります。

美味しいお菓子があることを口実にお茶をしませんか、と彼を自宅に招きました。

今後自分がどうなってしまうのか、愛しいお姫様の元に帰れる日はくるのか。

そう思いながら不安になってしまう男性の心を癒すべく、慰めるように彼を抱き締めるのです。

不安や心配で心が弱ってしまっている時に、大丈夫だよ、と誰かに優しく抱きしめられたら。

思わずその人に縋りたくなってしまうことは、きっと誰しもあることなのではないでしょうか。

もちろん彼女も、そんな男性の心理を分かっているからこそのこの行動です。

言い方を配慮せず言えば、彼女はかなり人を誑かす術に長けた人物のようですね。

始めのうちはお姫様の事が忘れられない男性。

だけどその心はグラグラと揺れ始めます。

そんな彼の様子を見計らい、そこで彼女の最後の一押しが入ります。

だって、あなたも変わり始めているでしょう?

だけど飛魚のアーチをくぐって
宝島に着いた頃
あなたのお姫様は
誰かと腰を振っているわ

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時間の移ろいは、人の心をも簡単に変えてしまうもの。

確かに昔、あなたはお姫様と心を通わせたこともあったかもしれない。

いなくなったあなたの帰りを、待ち侘びていたかもしれない。

けれど、今も彼女の心が変わっていない保証などどこにもないのです。

あなたがあれほど愛し、愛を確かめ合ったお姫様は、すでに違う誰かと腰を振っている。

つまりもう他の男性と…。

きっとそのようなことを、彼の耳元でこっそり囁いたのでしょう。

そんなこと言われてしまったら、心が折れて、空気に流されてしまう気持ちもわかります。

彼女が囁いたことが、本当である保証はどこにもありません。

けれど一方で、それが嘘である可能性もどこにもないのです。

何より彼がもし、彼女のその言葉を信じたのであれば。

それはつまり彼もまた、お姫様から目の前の彼女へと。

自身の心が移り変わりそうになっていたからではないでしょうか。

自分もこうして心変わりをしそうになっている。

だから自分を待っていたお姫様も、心変わりをしそうになっているに違いない。

きっと彼は、そんなふうに思ってしまったのではないでしょうか。

人は弱いものだが、強くならざるを得ないこともある

人は強いものよ
とても強いものよ

出典: https://www.uta-net.com/song/10205/

さあ、この強い人は一体誰なのでしょう

したたかに次の男性に抱かれた”かもしれない”お姫様?

それとも傷ついた男性を励ます言葉?

そんな言葉を男性に賭ける彼女は、まさにザ、魔性の女。

出来れば出会いたくないものです。

何も失わずに、同じでいられると思う?

この駆け引きは結果として、魔性の女に軍配が上がったようですね。

傷ついた男性を取り込み、彼女は心も体も自分のものにしてしまったのです。

何度も彼に「もうお姫様はあなたのことを見ていない」と言い聞かせながら…。

人は強いものよ
そして 儚いもの

出典: https://www.uta-net.com/song/10205/

最後のこの一言。

「ちょろかったわ」とほくそ笑んでいるようにも聞こえます。

ああ、なんて怖い女なんでしょう。

しかしきっとこんなふうに誰かを魅了し、自分のものにしたことは初めてではないのでしょう。

人間は強い、だけど人の心は儚い。

人の一番見たくない部分を見せられたような、ヒリヒリとした歌詞で綴られた1曲です。