欅坂46「大人は信じてくれない」

シングル「二人セゾン」収録曲

『大人は信じてくれない』欅坂46が大人批判を繰り返す理由を考察!カッコよすぎるPVを公開♪の画像

「大人は信じてくれない」は、2016年11月に発売された欅坂46の3枚目のシングル「二人セゾン」のカップリングとして収録された曲です。

「二人セゾン」は通常盤とDVDが付属したType-A、Type-B、Type-Cの計4バージョンで発売され、それぞれ収録内容が違う仕様になっていますが、「大人は信じてくれない」は全てのバージョンに収録されています。

シングルオリコンデイリーチャート、週間チャート、月間チャート全てで1位を記録し、年間ランキングでも11位の大ヒットとなりました。

「大人は信じてくれない」はそのタイトル通り、自分たちを信じてくれない大人への剥き出しの不信感を歌う一曲となっています。

激しく攻撃的なPVにも注目

タイトルから挑戦的な「大人は信じてくれない」ですが、その特徴はPVにも表れています。

PVではメンバー激しいダンスを見せる一方で、その表情はどこか冷めきっているような雰囲気を感じさせます。

理解されない思春期の葛藤が静かな激情となって表現されていて、曲のテーマを描いています。

PVの背景やメンバーの衣装は産業革命期がテーマになっていて、どこかレトロながら落ち着いていて凛とした雰囲気が魅力的です。

「大人は信じてくれない」の歌詞を紐解く

諦めと葛藤が交差する歌詞

いいことなんかない
退屈な毎日さ
やりたいこともない
夢なんかひとつもない

心が叫び続けていたって
誰にも聴こえないよ
(助けて)

出典: http://j-lyric.net/artist/a05b333/l03d34e.html

「大人は信じてくれない」の歌詞では、出だしから全てを諦めきったようなネガティブで冷めた言葉が綴られます。

何もやる気がおきない、ただ退屈な気持ちで過ごすだけの日々。そんな気持ちを抱える裏には、心の叫びを訴えたってどうせ誰にも聴こえない、という諦めがあります。

思春期には、こんな葛藤を抱えた経験がある人も多いのではないでしょうか。また、10代の人は今まさにこの歌詞と同じ思いを抱えているかもしれませんね。

隠されたSOS

大人は信じてくれない
こんな孤独でいるのに
僕が絶望の淵にいるって思ってないんだ
And why? Believe me I really wanna die, don’t ya know?
Why? No way I can find my sign

出典: http://j-lyric.net/artist/a05b333/l03d34e.html

そしてサビでは、「大人は信じてくれない」という曲のテーマともいえる言葉とともに、絞り出すようなSOSが叫ばれます。

子供の孤独や絶望を大人は判ってくれません。たとえ大人から見れば鼻で笑ってしまうような悩みでも、自分の世界しか知らない子供にとってはとてつもなく重い悩みとして感じられます。

時にはその悩みのせいで、自分を傷つけたり命を断ってしまうこともあるでしょう。一人で抱えた絶望がそれほどまでに膨らんでしまうのは、その悩み自体が深刻に感じられるだけでなく、「どうせ大人は自分の苦しみを判ってくれない、信じてくれない」という救いのない状況に諦めを感じてしまうからではないでしょうか。

英詞の部分では「私が本当は死にたいと思っていることを信じて、そのサインを見つけて」と訴えます。それは大人を突き放すような日本語の歌詞の中に隠された、子供からの必死のSOSなのではないでしょうか。

大人は私たちを見ていない

どこかのゴミの上
カラスが鳴いているよ
嫌われ者でいい
愛なんか欲しくもない

涙を流し続けていたって
まだ気づいてないだろう
(虚(むな)しい)

出典: http://j-lyric.net/artist/a05b333/l03d34e.html

愛なんか欲しくもない、と自ら世界を拒絶するような言葉を発しながらも、涙がこぼれます。そうやって泣きながらも大人はそれに気づくこともありません。

誰にも気づかれず虚しく涙を流し続ける。そんな状況が続けば、やがて誰もが諦めて、泣いても救いは来ない、と絶望してしまうでしょう。

自分が子どもだったことは忘れてしまう