“何でもなさ”にほっとする瞬間

ピンとくるものではないけれど

Woo,babe,can you hear calling from that city?
遠くでも 近くでも
Woo,everybody’s waiting for the sunset
愛しているよ

出典: 街の報せ/作詞:荒内佑 作曲:荒内佑

みんな同じように、変わり映えのしない生活を送っている。

特別な誰かが待っているわけではないけど、この街は待っていてくれる。

“ふるさと”というほどでもない、今暮らしている街。

親元を離れた生活なのか、どこからか聞こえてくるあたたかい言葉。

「遠くでも近くでも愛しているよ」なんて、ずっとそばにいたら小っ恥ずかしくて言えません。

変わらない、なんでもない日常が、意外と大切なものだと気づかされます。

街はいつでも待ってくれている

みんなも年を取り いつかはいなくなるけど
また誰かがやって来て 音楽をかけてくれそう
何度も

夏に映画館出た時
終電が終わった駅前
波も涙もあたたかい
忘れていたのはこんなこと?
(街の報せを待っている)

出典: 街の報せ/作詞:荒内佑 作曲:荒内佑

何でも揃えることができる、モノにあふれた都会。

しかし、その分人間関係の繋がりの薄さを感じることがあります。

そんなちょっとした切なさもあらわれている部分。

でもそんな哀愁の中にも、普段はわかりにくい“あたたかさ”に気づきます。

と同時に、これを忘れているから、寂しくなるのか?と拍子抜けしている様子。

逆に言えば、こんなことに気づくだけで“あたたかい”気持ちになれる。

身近で簡単なことでも、いつでも前向きになれる。

そう思えば、この先とても生きやすくなるような気もします。

新しい命へこれからの人生に向けて

誕生する前夜に

先述にもありますが、この「街の報せ」は高城晶平さんのお子さんに宛てた曲。

実は高城さんのお子さんが生まれる、前夜に歌詞を書いたのだそうです。

父親になるメンバーと、誕生するその子どもの未来を想ってつくられたもの。

音楽を通じて祝福するところにも、なんだかセンスを感じます。

そのお子さんにとっても、自分のテーマソングがあるなんて誇りに思うことでしょう。

今後生きていく糧になるかもしれませんね。

自分たちらしく愛情を伝える

この「街の報せ」を含むシングルには、全3曲が収録されています。

ceroの3人全員が1人1曲ずつ楽曲を制作しているものです。

ちなみに、お子さんが生まれた高城さんがつくっているのは「ロープウェー」。

これはジャケット写真になっている、リフトに乗った親子の様子を曲にしたそうです。

写真を見てつくった、とのことですが、これもテーマは親子。

この「ロープウェー」にも、お子さんへの想いが込められているのかもしれません。

「街の報せ」にしても、「ロープウェー」にしても。

こんなにもおしゃれに愛情を伝えてもらえたら、お子さんはとても幸せですよね。

いずれも、人生のどんな場面にもやさしく寄り添ってくれるような気がします。

どこまでも洒落ているバンド

経歴から何から何まで、とにかく洒落たところだらけのcero

まず彼らに目をつけたのが、シティポップ界を牽引する鈴木慶一さん。

その後、様々な個性派ミュージシャンが集まるカクバリズムに所属します。

ブラックミュージック色の強さが注目されているcero

はっぴいえんどやはちみつぱいなど、日本語ロックの流れもきちんと受け継いでいます。

街の報せ(cero)の歌詞を解釈!友人の子どもが生まれる前夜に書いた祝福ソング!溢れ出る愛に感動!の画像

ceroのつくる楽曲には、あらゆる音楽ジャンルのエッセンスが散りばめられている印象。

90年代のポップシーンに大きく影響を与えた渋谷系やヒップホップなど・・・。

様々な要素が集まり、より深みのあるサウンドになっているような気がします。

そしてこの「街の報せ」のように、どこかあたたかさを感じる歌詞

緻密につくりあげられた楽曲でありながら、リスナーを突き放す雰囲気は一切ありません。

自分たちの芸術性を押し付けるわけでもなく、“分かる人にだけ分かればいい”とすました様子もない。

あくまで誰にでもある、何でもない日常を切り取っているものが多いような気がします。

そのおかげか、どことなくすんなりと心地よく曲を聴くことができるのかもしれません。

日本のポップシーンが受け継がれている