「私にはどんな嘘もつかないで

あなたには内面のことなど見えないなんて私はお見通し」

男性たちは女性たちの外見を第一に考慮する傾向があります。

現代日本でもまだ女性の雇用に関して内面より外見を優先する会社もあるのが実情です。

こうした男性社会の浅はかさ安室奈美恵は見過ごしません。

もうそんな旧い価値観はゴミ箱に捨て去りなさいと迫ります。

女性自身も外見を磨くことばかりに専念していたならば本当の「Hot Girls」にはなれないかも。

こうした旧い習慣は男女ともに乗り越えてゆかないといけないのでしょう。

女性の美しさの基準が歴史や地域とともに変わっているのはよく知られていることです。

最新の時代では外見的な美しさよりも内面を如何に磨いたかが問われるようになるでしょう。

このことはおそらく男女の区別に関わらず、社会人に求められるようになるのが筋です。

女性上位時代の復権

安室奈美恵【Hot Girls】歌詞の意味を和訳&解説!世界を回すのは…?ガールズパワーを感じよう♪の画像

I gotta say it's understood
& It's all good

出典: Hot Girls/作詞:Miriam Nervo Olivia Nervo Michael Dennis Smith Stefanie Ridel 作曲:Miriam Nervo Olivia Nervo Michael Dennis Smith Stefanie Ridel

「それが常識だって私はいい立ててみせるわ

完璧でいい感じ」

「Hot Girls」の勝利。

それはもう勝負がついたことだと語り手の私は勝ち誇ります。

実際に女性の魅力に勝てるほどの男性は稀でしょう。

女性たちが世界を動かしている事実を認められないなら捨て置かれます。

長い長い潜伏期間がありましたが、女性上位時代が復権するのです。

かつて母系社会が人類の基本だった時代がありました。

この時代には大きな争いごともなく人々はその日を生きていたのでしょう。

日本では縄文時代にあったような社会です。

女性は後に神官として特殊な地位にのぼりつめました。

しかしそのことが社会に階級・階層を生んでしまうと男性に権力を奪われます。

男性中心の社会は争いが絶えません。

社会の中でも日常的に争いが起こるような様相になってしまいました。

しかしまた歴史の中で女性の力が躍動してきます。

ガールズパワーの台頭です。

時代は螺旋状に上に向かって一回転しながら新しい女性の世界へ生まれ変わりました。

いかした女性からあなたへ

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少し歌詞の内容が変わります。

男性への提言から女性への提案歌詞の基軸が動くのです。

健康でいることを

So if you want him to commit
You gotta keep yourself fit
Hey just admit it
Admit it

出典: Hot Girls/作詞:Miriam Nervo Olivia Nervo Michael Dennis Smith Stefanie Ridel 作曲:Miriam Nervo Olivia Nervo Michael Dennis Smith Stefanie Ridel

「あなたが彼と約束をしたいならば

あなた自身も健康でいなければだめよ

ねえ このことをまるごと認めなさい

この事実を認めなさい」

「Hot Girls」の歌詞の行く先が女性たちへ向けられます。

男性にいいつのるだけではなく女性の意識を向上させないと「Hot Girls」の哲学は完成しないのです。

彼との約束と直訳しましたが、様々な意義があるでしょう。

一緒に生きてゆくためには健康でいなさいと歌っているようです。

男性と女性との間にはどうしても体力の点で差が生まれてしまいます。

こうした具体的な差があるのは仕方がないことでしょう。

その差を埋めるためには女性の側も相応の努力が必要かもと安室奈美恵は歌います。

この点は女性も認めましょうと提言するのです。

いかした女性というのはすべての女性を表現した言葉ではありません。

先進的で最高の女性であるために自分を律して欲しいという想いを込めています。

誰しも無条件で勝利を宣言できる人はいないのです。

自己鍛錬を忘れないで欲しいと「Hot Girls」は歌います。

ハイヒールでのレジスタンス

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Now get your heals & get on out
Lets show them what it's about
Go on & get it
Go get it

出典: Hot Girls/作詞:Miriam Nervo Olivia Nervo Michael Dennis Smith Stefanie Ridel 作曲:Miriam Nervo Olivia Nervo Michael Dennis Smith Stefanie Ridel

「さあ ヒールを履いて外に出ましょう

それがどのようなものかを彼らに魅せつけましょうよ

外へ出て つかみとるのよ

つかみとりに行きましょう」

引き続き女性たちへ喝を飛ばします。

ハイヒールでのレジスタンスを歌うのです。

近年、「ハイヒールは苦痛」という女性側からの告発がありました。

「Hot Girls」が発表された時点ではまだこうした告発は目立たなかったです。

歴史の進行は「Hot Girls」の歌詞をも乗り越えてゆくのでしょう。

こうした現実が歌の世界を超越すること自体が素晴らしい未来を約束します。

「Hot Girls」はとりたててフェミニズムに特化した歌ではないのです。

女性の魅力の描写に関しても少し旧さを感じる箇所があります。

クリエイター陣に女性が少なかったという制作の事情がそうさせたのかもしれません。

しかしガールズパワーというもの自体がフェミニズムと同じものではないのです。

すでにガールズに限定している時点でフェミニンという括りより狭いもの。

それでも若い女性の青春の美しさに目を見開かされます。

新しい時代の女性の代表として十分な資格を獲た存在。

それがガールズパワーです。

狭いコミュニティを抜け出して、広い世界へ挑戦する若い女性に勇気をもらえます。

社会の周縁から中心へ

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Just let your mind & body free
All for the sake of your sexy
You gotta work your own tonight
And it's alright

出典: Hot Girls/作詞:Miriam Nervo Olivia Nervo Michael Dennis Smith Stefanie Ridel 作曲:Miriam Nervo Olivia Nervo Michael Dennis Smith Stefanie Ridel

「あなたの精神と身体を自由に解き放ちましょう

すべてはあなたの魅力のために

今夜、あなたは自分自身でひと働きして

それで大丈夫よ」

旧い因習的な考えのもとで長い間、女性は奔放に愛することの自由を奪われていました。

今はそんな時代ではありません。

未だに家父長的な観念を抱えた男性に苦労している女性もいるとは思います。

しかしそうした男性は女性の側の無視によって社会的に孤立させてしまう自由が女性にはあります。

心と身体でともに愛を表現することが大事でしょう。

ダンス・ミュージックの核心はリスナーの心と身体を解放するためにあります。

聴くだけではなく踊ること。

ダンスの自由は身体の解放にとってとても大事なことなのです。

夜に大人の女性として男性と向かい合うこともわずか何十年前には因習的な観念で白い目で見られました。

日本社会で男女平等が理想とされたのは戦後になってからです。

肉感的な愛の大切さを歌うブラック・ミュージックがアメリカ合衆国で誕生したのはさらにその後。

ブラック・ミュージックが日本で移入されて安室奈美恵が「Hot Girls」を歌ったのは2012年。

ガールズパワーの台頭が如何に新しい文化であるのかを思い知ります。

男女の区別なく人はもっと自由に解き放たれないといけないはずです。

そのためにまだまだ闘いが必要なのはとても哀しいことであります。

アメリカ合衆国で社会の周縁にいた黒人が権利を主張してゆく歴史とガールズパワーは相似関係です。

社会の周縁から中心へと進出する際にはどうしても闘いが必要になるのでしょう。

「Hot Girls」の行進は続く