「星空の下で」を紹介!当時一線を画したパンクロック
みなさんはパンクロックと言われるとどんな印象を持っておられるでしょう。
恐らく多くの方が「激しい」「熱狂的」のようなイメージをお持ちではないでしょうか。
パンクロックというのは、溢れんばかりの衝動を激しいサウンドに乗せて歌ったそれを表しています。
感情が先走った音楽と言えばいいのか、逆に言うと演奏がシンプルな故に玄人好みではなかったりもしますね。
「星空の下で」は泣けるパンクロック
そしてパンクロックと聞くと数ある感情の中でも「怒り」「喜び」といったものが浮かんで来がちです。
しかしご存知の通り感情というものは決してそれだけではなく、様々なものがありますよね。
つまり何が言いたいのかというと、今回紹介するSHAKALABBITS(以下シャカラビ)の「星空の下で」がそれらとは一線を画すパンクロックであるということ。
この曲は確かにパンクロックと呼ばれる類の音楽。
しかし通常のそれらのイメージにはない、「泣けるパンクロック」なのです。
青春パンクブームの中でも異彩を放っていたシャカラビ
「星空の下で」は2003年11月6日に、「ポビーとディンガン」との両A面シングルとしてリリースされた楽曲。
当時はシャカラビも含めて邦楽シーンでパンクロックがブームを迎えており、若さ故の衝動を吐露した内容に「青春パンク」なんて言葉も登場するほどの勢いを見せていました。
その影響もあって、未だに彼女たちの楽曲と言えばこの2000年初頭の作品のイメージが強いですね。
実際に長きに渡って演奏されることになる名曲もこの頃にたくさん生まれました。
そんなブームの中でもこのシャカラビというバンドは他のパンクバンドとは異彩を放っていた印象があります。
それは楽曲を聴いていただければよくわかっていだだけるはず。
当時だけではなく、15年経った2018年現在に至っても未だにシャカラビのようなパンクバンドは現れていないような気がします。
男勝りな歌声なのに女性的で繊細?
冒頭部分を読んで「泣けるパンクロックなんて、他にもたくさんあるでしょ」と思っていた方もきっとおられるのではないでしょうか。
しかし多くのパンクロックの「泣ける」の意味は恐らく男泣きのような印象でしょう。
シャカラビがそれらと違うところは、やはり女性らしい繊細さが表れているところです。
しかしボーカル、UKIの歌声は女性的なイメージとは全く逆で、男勝りといった感じ。
何故男勝りなのに女性らしい繊細さを感じるのか。
「泣きたいのに強がっている」
この曲でのUKIの歌声からそんなニュアンスを感じた方もきっとおられるはずです。
強いようでいて本当は弱い部分もある。
それってすごく女性的で繊細な部分ですよね。
だからこそこの曲が他のパンクロックとはまた違って聴こえ、ギュッと胸を締め付けられるような気持ちにさせられるのです。
そうなってくると彼女が考えた歌詞の内容もいよいよ気になって来ますね。
ここから順を追って覗いていってみましょう!
似た者同士の二人が運命を感じながらも別れてしまったのは
今まで何度も思った「僕たちはよく似てる」
あの時ふたりで消えてしまえたなら
出典: 星空の下で/作詞:UKI 作曲:MAH
好きな相手との共通点が見つかったときというのは嬉しいものです。
同じものを好きだったり、同じものが苦手だったりすると余計に親近感を覚えたりしませんか?
「似ているな」と思うことが何度も重なったりすると、相手に運命を感じたりなんてこともあるでしょう。
そしてこの曲に登場する二人にも、そんなことが何度もあったようです。
しかし「あの時ふたりで消えてしまえたなら」という言葉に覗かせるのは、もう手遅れだという気持ち。
二人は運命的なものを感じながらも、結局は別れてしまったのでしょう。
似た部分が見えるたびになくなっていった刺激
はじめて描いた不安で刺激的な将来も
とり憑くウサギにかじられたのだろう
出典: 星空の下で/作詞:UKI 作曲:MAH
運命を感じた彼と過ごす中で描く将来は、「どうなってくんだろう」という刺激に溢れたものでした。
しかし二人が似た者同士だということを考えてみてください。
相手が自分に似ているのだから、彼が何を考えているのかも大体わかるのです。
似た者同士という関係は安心ではあっても、きっと刺激的ではありませんよね。
最初のうちはどうなっていくかわからない二人の関係にドキドキした気持ちで居られた。
でも二人が似ているということがわかるに連れ、そのドキドキもなくなっていってしまった。
この部分で描かれているのはそんな内容なのではないでしょうか。
歌詞にウサギが登場するのはシャカラビのバンド名へのリンクを意識させますね。
長く続かないこともわかっていた
きっとこうなる事をわかってて繰り返してた
出典: 星空の下で/作詞:UKI 作曲:MAH