ゼッタイ諦めはしないと 強く胸に誓うのさ
勝利(とわに) 目指し(強気) いざ構えろ
出典: ユメひとつ/作詞:Shoma Yamamoto・TAKAROT・FUNK UCHINO 作曲:FUNK UCHINO・茅野イサム
1行目を歌うのは加州清光(佐藤流司)です。
沖田総司の愛刀の1本。
池田屋事変で使われた刀で、沖田総司が病で血を吐いたときもすぐ側にあったとされています。
ここで歌う"諦めはしない"の内容の解釈は、筆者は2つ思い浮かびました。
刀の頃、すぐ側にいながら病に弱っていく主をどうすることもできなかった加州清光。
その後悔を抱いているからこそ、次こそは助けたいという意味にもとれます。
もう1つは刀剣男士としての覚悟。
どんな事態が起ころうとも、いまの主から命じられた任務を遂行するという強い意志です。
筆者は、後者で捉えています。
本作で出陣する6振のうち、加州清光だけが以前阿津賀志山に出陣した経験があるのです。
阿津賀志山での経験が、より強い"刀剣男士としての覚悟"を加州清光に自覚させたのではないでしょうか。
その覚悟が表れている歌詞に感じられます。
大和守安定が経験した苦悩
イッショウ振り返りはしない どんな困難も超えろ
誰より自分を信じてやれ
出典: ユメひとつ/作詞:Shoma Yamamoto・TAKAROT・FUNK UCHINO 作曲:FUNK UCHINO・茅野イサム
1行目のソロを歌うのは大和守安定(鳥越裕貴)です。
大和守安定も加州清光と同じく沖田総司の愛刀の1本。
しかし、池田屋事変では選ばれず、"留守番"することとなった刀です。
もっと主の力になりたかったと願っていた大和守安定は、この任務のなかで新選組に入隊します。
沖田総司と言葉を交わさないという約束のもと、隊士として側で彼を見守り戦う日々を過ごすのです。
それは、長年抱えていたであろう"もっと力になりたい"という願いが叶った日々でもあったでしょう。
しかし、歴史は変えてはいけないのです。
沖田総司の病を治せるという薬を渡すことも許されません。
そんな経験をした大和守安定が"振り返りはしない"と歌うのです。
筆者は劇中の、幸せそうに沖田総司の背中を見つめる大和守安定の表情を思い出して涙が……。
この部分の歌詞からは、かつての主への想いを抱えながらも"自分は刀剣男士である"という心を感じます。
いっときの夢のような時間を過ごせたとしても、彼らは刀剣男士。
振り返ることなく、"歴史が変わらない未来"のために剣を振るう存在なのです。
6振とシンクロする歌詞
顔で笑い 心で泣けば
いつか強さの意味を知るだろう
どうせ散り行く運命(さだめ)
徒花(あだばな)を咲かせたれ
まことの旗の下(もと)
出典: ユメひとつ/作詞:Shoma Yamamoto・TAKAROT・FUNK UCHINO 作曲:FUNK UCHINO・茅野イサム
サビ前のこの部分。
筆者としては一番感極まってしまう歌詞です。
"顔で笑い~"の1行目。
このパートを歌う長曽祢虎徹(伊万里有)の姿にも重なる描写です。
長曽祢虎徹は、言葉の少ないキャラクターで劇中でも"言葉が足りない"と言われます。
おおらかな笑顔をみせて皆のお兄さんのような態度を取ることが多い人物です。
しかし、黙って自分一人で抱え込もうとする傾向があります。
それを表現するような歌詞になっています。
2行目を歌うのは蜂須賀虎徹(高橋健介)。
真作の虎徹であるがゆえ、戦には持ち出されず大切に飾られてきたという刀です。
贋作ながら戦うための刀として生きてきた長曽祢虎徹に対して、苦悩する様子がみられました。
そんな彼が、"強さの意味"について歌うというのは胸に迫るものがあります。
"どうせ~"を歌うのは堀川国広(小越勇輝)、"徒花~"を歌うのは和泉守兼定(有澤樟太郎)です。
この2振は土方歳三の愛刀。
豪快に散ろうとする歌詞は、まさに本編で描かれた土方歳三そのもの。
彼の豪胆さを受け継いだ2振だからこそ、歌える歌詞ではないでしょうか。
最後の新選組の誠の旗印を思わせる"まことの~"は、加州清光と大和守安定がともに歌います。
新選組ファンにとっては、このパートだけでも泣けるかもしれませんね。
サビで描かれる新選組
ユメひとつ それだけで 浮世を渡れ 燃え尽きるまで
オトコなら変えて見せろ
真剣捨て身のココロで 歴史に名を残せ
荒れ狂う時代 進め
出典: ユメひとつ/作詞:Shoma Yamamoto・TAKAROT・FUNK UCHINO 作曲:FUNK UCHINO・茅野イサム
力強い歌詞が印象的なサビです。
筆者はこのサビで、本編で描かれた新選組の姿を思い浮かべました。
歌詞で"ユメ"と表現されているもの。
それが新選組でいうところの"誠"なのかもしれません。
サビを聞いていると、高い志を掲げて生き抜いた新選組の物語が重なります。
そしてそんな新選組に愛された刀たちに受け継がれた意志を垣間見ることができるのではないでしょうか。
Bメロの解説
仲間だから歌える歌詞
ゼッタイ引き返しはしない 強く胸に誓うのさ
ユメを(ともに) 目指し(きっと) いざ集えよ
イッショウ後悔などしない どんな荒波も超えろ
信じたこの道つらぬくまで
出典: ユメひとつ/作詞:Shoma Yamamoto・TAKAROT・FUNK UCHINO 作曲:FUNK UCHINO・茅野イサム
ここもAメロの冒頭と同じように、新選組の魂を歌うような歌詞です。
今作で出陣した6振のうち5振が新選組隊士の愛刀。
時代や由来がばらばらの刀たちによって組まれた編成ではなく、刀の時代から"仲間"として近くにいた刀たちです。
そんな彼らだからこそ"ユメを共に目指して集え"と歌っても違和感なく聴けるのだと思います。