別れから始まりへ

別れを仄めかす言葉たち

それでは早速紐解いて行きましょう!

お別れしたのはもっと 前のことだったような
悲しい光は封じ込めて 踵すり減らしたんだ

君といた時は見えた 今は見えなくなった
透明な彗星をぼんやりと でもそれだけ探してる

出典: ray/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

別れと一言で表しても、それは大切な人との別れかもしれないし、部活のように自分が熱中したものとの別れかもしれません。

ここではそのどちらもが言えると感じます。 しかし、「悲しい光」というのはどういうことでしょうか。

「悲しみ」と「光」には対照的なイメージを抱いてしまいますが、後に続く歌詞から、大切な人や物事がそばにある時のあたたかさや希望を「光」に例え、失ってしまったが為に悲しみを内包した光となってしまったと言いたいのではないでしょうか。

そしてそれは何色にでも染まる「透明な彗星」となり、今はそれを探し続けることで新たなスタートラインに立っている、と受けとることができます。

しょっちゅう唄を歌ったよ その時だけのメロディーを
寂しくなんかなかったよ ちゃんと寂しくなれたから

出典: ray/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

寂しくなれたのに、寂しくなんかないの?と初めて聴いた時は戸惑ってしまう一節です。

これは矛盾している訳ではなく、寂しくなれるだけ過去の自分はそこで輝いていた。

存在していた証だからこそ、寂しさを引きずることはないんだと捉えられます。

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前へ前へと足を動かす消えない痛み

上手くいかない日々

引き続き解釈して行きましょう。

いつまでどこまでなんて 正常か異常かなんて
考える暇も無いほど 歩くのは大変だ
楽しい方がずっといいよ ごまかして笑っていくよ
大丈夫だ あの痛みは 忘れたって消えやしない

出典: ray/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

サビの最初の部分はまさに生きることの難しさ、上手くいかない日々の事。

楽しい方がいい、ごまかして笑って、なんとか毎日を乗り越えていく。

そんな日々は辛い事の方が多いかもしれません。しかし「あの痛み」、つまり自分が挫折するほど何かに熱中できた過去や誇れる人々との出会いと別れがあったからこそ、今こうして頑張っていられるんだということではないでしょうか。

そしてその痛みはたとえ忘れても、心の中に残り続け、常に自分を鼓舞してくれるのです。

理想で作った道を 現実が塗り替えてくよ
思い出はその軌跡の上で 輝きになって残ってる

お別れしたのは何で 何のためだったんだろうな
悲しい光が僕の影を 前に長く伸ばしてる

時々熱が出るよ 時間がある時眠るよ
夢だと解るその中で 君と会ってからまた行こう

出典: ray/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

まさに理想と現実のギャップ、そしてそれに打ちのめされた時に何の為に新たなスタートをきったんだと悩む姿が表されています。

楽しかった過去を思い出すたびに悩んでしまうものですが、それがまた自分を前へ進める力になってくれているのです。

時々熱が出る、時間がある時眠る、そんな繰り返しの日常の中で、夢=「現実ではないもの」だと解る中で過去と向き合い力を得ることで、また進んでいけるのだと歌っているのではないでしょうか。

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晴天とはほど遠い 終わらない暗闇にも
星を思い浮かべたなら すぐ銀河の中だ
あまり泣かなくなっても 靴を新しくしても
大丈夫だ あの痛みは 忘れたって消えやしない

出典: ray/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

藤原基央らしい言い回しですね。人生の中で必ずそんな時期はあると思います。

そんな中でも「星」つまり未来への希望を思い浮かべたなら、可能性溢れる未来の中へ行けるのだと、BUMP OF CHICKENらしいエールの送り方に感じられます。 あまり泣かなくなる、靴を新しくする、そんな自分の変化や大人への成長の中でも、過去に自分が熱した事やそれ故に傷ついた事は忘れない。その痛みがあるからこそ生きていけるんだと歌っています。

歌詞の冒頭とも一貫しており、失った事、辛かった事は自分の熱量の裏返しでありそれがあるからこそ新たなスタートを切れているのだと受け取る事ができます。

伝えたかった事が きっとあったんだろうな
恐らくありきたりなんだろうけど こんなにも

お別れした事は 出会った事と繋がっている
あの透明な彗星は 透明だからなくならない

出典: ray/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央