「不幸になってほしいなんて思ってないよ。だから…」
幸せには
ならないで

出典: ズルいよ ズルいね/作詞:指原莉乃 作曲:長沢知亜紀,永野小織

「私」の複雑な思いが吐露されているフレーズです。

好意の言葉と同じように、「不幸」と「幸福」にも幅があります。

「私」は君が人生のどん底に突き落とされることは望んでいません。

過去に愛した相手です。

夢のために旅立った人ならば、夢を叶えることも願っているかもしれません。

けれどもそれと、君の幸福を願う気持ちは別物のようです。

ここでいう「幸福」とは、おそらく「別の恋人」のことだと思われます。

新しい街に引っ越せば、新しい出会いが待っていることでしょう。

「私」以外の女性と交際している可能性もあります。

進む人生の先で、いつか結婚もするかもしれません。

ですが「私」には、まだそこまでの「君の幸せ」は受け容れられないのでしょうか。

君の成功を願いながらも、心の底からの幸福は、一緒に祝う気持ちになれないようです。

「ズルい」のは君

(ズルいよ)好きにさせて急にいなくなる
(ズルいね)白雪姫はキスを待っている
(ズルいよ)気づかずに
(ズルいね)目を閉じたままで
(ズルいよ)こんな気持ち 二度とないでしょう
(ズルいね)「好き」はゴール知らずに走る
(ズルいよ)ありがとう
(ズルいね)もう会わない人
今もまだ想ってる

出典: ズルいよ ズルいね/作詞:指原莉乃 作曲:長沢知亜紀,永野小織

「私」が君に抱く想いは、紛れもない本心だったようです。

それなのに、君は突然「私」の前からいなくなってしまいました。

報われない想いを捧げていた「私」は、君をズルいと感じています。

「私」にとっては、後にも先にもないほど大きな想いだったのでしょう。

残された想い

君が教えてくれたもの

難しい映画やコーヒー
全部君が教えてくれたね
好きなものを話す時の
真っ直ぐな眼差しを思い出す

出典: ズルいよ ズルいね/作詞:指原莉乃 作曲:長沢知亜紀,永野小織

好きな人ができると、相手の趣味も気になりだすことがあります。

誰かと深くかかわると、相手の好きなもの、新しい世界に触れる機会ができるのです。

同時に、それが別れた後の傷跡に変わる可能性も秘めています。

実際に「私」は、君の趣味と君自身を混濁してしまっているのです。

「私」は映画を観るたびに、君のことを思い出すでしょう。

本質的には、「君」と「君の好きなもの」は、何のつながりもありません。

ですが「私」にとっては、「君の好きなもの」が引き金となって、恋の想いを呼び起こすのです。

いなくなった君へ

枯葉は踏まれ 音を立て歿る 
生きたカケラさえ残さないね
神様 どうか 伝えてください
「君は綺麗だった」と

出典: ズルいよ ズルいね/作詞:指原莉乃 作曲:長沢知亜紀,永野小織

「歿」は難しい漢字ですが、ここでは送り仮名と併せて「なくなる」と読みます。

落ち葉が砕かれて消えるように、君も「私」の前から急にいなくなってしまったようです。

もしも別れの前に会うことができたなら、いろいろと伝えたいことがあったかもしれません。

「私」は言いきれなかった想いを、祈るように託します。

月日が流れても、君に抱く印象は変わることがありません。

葛藤が続く

もう 無理なんてことは
あぁ わかっているのに
でも 考えてしまう

出典: ズルいよ ズルいね/作詞:指原莉乃 作曲:長沢知亜紀,永野小織

「私」の葛藤が描かれているフレーズです。

君のことを忘れられない一方で、「私」は冷静でもあるのかもしれません。

理性のどこかでは、現状を理解しているのです。

君はいなくなってしまいました。

新しい街に引っ越して、夢に向かっているかもしれません。

君の夢が実現すれば、それは「私」にとっても喜ばしいことではないでしょうか。

君は「私」のそばを離れ、ステップアップしているのです。

そんな君にとって、「私」のいるこの街は過去のもの。

もう戻ってくる可能性は低いかもしれません。

「私」は君にとって、もう過去のものである可能性もあります。

それを分かっているのです。

けれど、「分かっている」ことと、「想いに区切りをつける」のはまた別の問題。

「私」が君を忘れることはできません。

できなかった「もしも」