ここまでの解説でお分かりになったかと思います。
ZOCが『チュープリ』を通して「相互愛」を確認したい相手が誰なのか?
それはアイドルとファンの関係性です。
ZOCのファンだからといって乃木坂46や人気声優への愛を断つ必要などありません。
「私たちの姿を見て一瞬でも自分を肯定することができたらいいね♪」
『チュープリ』2番のA&Bメロの歌詞ではそのことを伝えようとしているのです。
「共感」と「肯定」
どこか私に似てる君
あ ああ あいどんきるゆー
年の差ある君でも
どこかは私に似てる んでなんか
許せないとことかあったとしても
あ ああ あいどんきるゆー
あ ああ ぜんぶ好きだよ
君が君であるディテールのひとつに
私が立っていられたらそれは
なんという…!
チュープリンセス chu!
出典: チュープリ/作詞:大森靖子 作曲:大森靖子
某公共放送局の人気番組で物知りの5歳児の女の子が言いました。
「アイドルとは?姿を与えられた神様~♪」
“idol”とは“崇拝すべき偶像”を表す言葉です。
しかし現実のアイドルはもちろん神ではなくれっきとした人間...。
仮にアイドルが神様だとしたらファンである私たちはどんな存在なのでしょう?
人は誰しも人に話したくない過去、いわゆる黒歴史を持っています。
不登校、依存症、整形、家庭内不和、そして非行など...。
ましてやZOCのメンバーは公表しているだけでも凄まじい過去の持ち主です。
アイドルとファンの関係は写し鏡のようなものだと考えられます。
ZOCの歌い、踊る姿に勇気をもらうファンは黒歴史を乗り越え、強く生きる姿に共感しているのです。
自身も熱烈なアイドルヲタを公言する大森靖子はそのことに自覚的なのでしょう。
だから『チュープリ』においてアイドルとファンの関係性をこのように表現したのです。
コントに込められた意味
「ね~え、私のカワイイところを100個言って!」
「お~お~可愛いでちゅね」
「じゃなくて!セクシー!?」
「顔・髪・肌」
「あと何があった?、あー、オッパイ、オッパイ」
「いつでも一番カワイイよ~」
「あ~でも~、ぶっちゃけ知ってるから」
「自分がカワイイって思わないところキミに好きでいてほしいんだな」
「ね~え、もっとCHUしてよ♡」
出典: チュープリ/作詞:大森靖子 作曲:大森靖子
ここで正式には歌詞としてクレジットされていないパートも見てみましょう。
間奏部分で繰り広げられる兎凪さやかを中心とするコントのような掛け合い...。
ラストに向けリスナーがシリアスに受け取りすぎないような配慮がなされています。
同時に彼女たちもまたアイドルという地位に立ちながらも普通の女子であること。
つまりコンプレックスを抱えながら仲間と共に生きていることを表現しているのです。
これからも私たちは歌い続ける!だから会いに来てね♪
あ ああ あいどんきるゆー
あ ああ アイドルになって
君のこと好きになりすぎたのは
私のほうなの 会いに来て 会いたい
あ ああ あいどんきるゆー
あ ああ アイコン変えよー
どんな私がキャッチーよ んでもっと
その先の微々たる乙女をみてね
愛してる
チュープリンセス chu!
出典: チュープリ/作詞:大森靖子 作曲:大森靖子
誰にでも消してしまいたい過去、黒歴史は存在するものです。
しかし過去を抹消することなどできません。
むしろそれらの黒い過去も含めて現在の自分が形成されているのです。
だからこそZOCはこれからも「生の肯定」を歌い続けるのでしょう。
今という瞬間を生きているからこそCHU=KISSで「相互愛」を確かめ合うことができる。
そんな深いメッセージが『チュープリ』には込められているのです。
最後に
今回はZOCの『チュープリ』の歌詞に込められた意味を中心に彼女たちの魅力を紹介いたしました。
今や世界共通言語となった「kawaii」の伝道師として。
そしてアイドル界に波紋を広げる存在として令和はZOCの時代となることでしょう。
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