カタツムリみたく丸まったその背中は
困難を前のめりに生きた現れだろ
時間が経つだけで実感が湧かねえ
死んでも生きてくれ俺は信じてるぜ
つまんねえ生き方で裏切ってごめんな
こっからは俺の道だ
出典: カタツムリ/作詞:GADORO 作曲:YUTO.COM
ここではじめてタイトルの【カタツムリ】というワードが出てきます。
年を取って体も小さくなり、背骨も曲がってきたおばあちゃん。
その丸さがあまりにも愛おしくて、「カタツムリ」を連想したのではないでしょうか。
そしてそこに感じるのは、おばあちゃんの生きてきた人生です。
背中が丸くなっても、元気だった頃はいなくなるなんて思わないもの。
私たちの人生は有限なはずなのに、それを日々思って生きることはなかなかできません。
大切なものを失って気づくことの方が多いのです。
そしてGADOROの最後のフレーズからは、覚悟のようなものが感じられます。
独りにしないと約束したのに
親父が釈放されて引っ越しを決めた
独り身になるばあちゃんは不満げな様子だ
大丈夫だって俺が毎回遊びに行く
孤独にはさせねえから心配すんな
その言葉が俺の初の嘘になった
時は経ち大人になり会う機会も減った
時より掛かってくる電話すらも出なくなり
繰り返す入院には慣れすらも生まれた
ベッドの上ではきっと孤独だったはずなのに
出典: カタツムリ/作詞:GADORO 作曲:YUTO.COM
隠したいような過去もGADOROはさらけ出します。
これは本楽曲に限ったことではありません。
この現実をさらけ出すことこそ、彼の音楽といえるでしょう。
当時の様子を鮮明に覚えているのがわかりますね。
そして自分だけでなく、おばあちゃんの様子がどうだったかも、未だに忘れることはできません。
その理由は、自分がおばあちゃんに投げかけた言葉にあります。
3行目のように約束をしたのに、守れなかったことが心残りで、自責の念となっているようです。
何度も入院を繰り返すおばあちゃんを見舞う事もしなくなっていったのでしょう。
楽曲を聴くとわかりますが、この部分では泣きそうな声で歌っているのが印象的ですね。
後悔先に立たず
その時に何で気づいてやれなかったんだろうな
痩せこけた姿で無理して立とうとするな
もう無理して笑うな
幸せが何もわからねえが何かとありがとう
明日も歌い続けるよ
少し遅ればせながらこれが俺からの気持ちだ
BGMにもならねえか
出典: カタツムリ/作詞:GADORO 作曲:YUTO.COM
ここではあの時できなかったことを後悔しているのがありありと伝わってきます。
その時は優しくできなかったのかもしれませんが、思い返すと弱っていることは明白でした。
何もしてやれなかった自分を責めてはいますが一方でおばあちゃんには感謝を伝えています。
いつも笑顔を絶やさなかったおばあちゃんを、彼は過信していたのですね。
“まだ大丈夫”と、高をくくっていたのかもしれません。
現実を受け入れようともがく様子が本楽曲からは伝わってくるようです。
2011年11月29日
2011
11月29俺の誕生日にクソなプレゼントだ
温かい手の平も絶やさない笑顔すらも
今じゃ動きなく冷えて嘘みたいに無表情
普段は早起きのくせしていつまで寝てる
いつものように濃いめの味噌汁を作ってくれ
そっか起きないのか
せめて死ぬ直前に後悔をしてなけりゃいいな
根拠なんてねえけど不死身だと思っちょったよ
出典: カタツムリ/作詞:GADORO 作曲:YUTO.COM
2011年11月29日、おばあちゃんはGADOROの誕生日に亡くなりました。
365日ある中で、この日に、というのは運命的なものを感じずにはいられませんね。
この日に亡くなったことは、おばあちゃんからGADOROへの何らかのメッセージなのかもしれません。
目を覚まさないという現実が亡くなった事実を突きつけてきます。
悔しさや悲しみが痛い程伝わってきて、胸が苦しくなるほどです。
大切な人に、十分な想いを伝えることができないまま別れなければならない…。
その深い悲しみが伝わってきます。
いなくなったあなたが恋しい
実際生きてれば聴きたいまな板の上に響く包丁の音色や
鼻歌交じりのあの演歌がまた聞きたい
あなたが好きな庭一面の花は共に枯れ土へ還り雲の上へと舞い散った
旅立って気づいたよ俺宛の日記
内容は伏せとく2人だけの秘密
出典: カタツムリ/作詞:GADORO 作曲:YUTO.COM
どれくらいの月日が経っても、恋しさは消えはしないのでしょう。
記憶が薄れていけばいくほど、思い出を手繰り寄せるように懐かしんでしまいます。
ここでは、GADOROが見つけたおばあちゃんの日記にも触れていますね。
きっと孫のことを心配し、想いの丈を願うように綴っていたのではないでしょうか。
自分の育ってきた環境ややってきたこと、人生そのものをさらけ出してきたGADORO。
この日記の内容だけは秘密にしておきたい、という彼の想いも理解できますね。
それほど、おばあちゃんの想いの詰まった大切な日記なのです。