夫妻は幼い頃から仲が良かったようで、子供の頃は一緒にあやとりで遊ぶという回想も。

一人の時に夫を恋しく思い、空を見上げるとそこにはあやとりのような電線が。

きっと、一人の時は電線を見て夫の姿を思い出していたのでしょう。切ないですね。

そして、死の間際には電線の上に乗る夫とバスが彼女を迎えに来ました。

二人は屋根で隣同士に座ったりしている姿が描かれましたが、息子はそれを発見したようです。

彼女達を追いかけると、夫妻は夏祭りの提灯の上を渡っていくようにして去っていきました。

夫は妻を抱きかかえて連れて行き、息子はそれを茫然と見送るのでした。

シーンは冒頭に戻り、一人ベンチへ座る息子。

すっかり年を取った彼は、今でも空を両親が乗ったバスが通るのを見るようです。

こちらのMVじんわりくる内容でしたね。

さて、次からは歌詞についても解説していきたいと思います。

歌詞を解説!

季節それぞれに思い出が

桜舞い散る 春待たずして
もしもあなたが この世を去ったら
実り黄金の 秋待たずして
あたしは あなたを 追うのでしょう

夏の夕暮れ 裏通りへと
あなたが散歩に出かけたなら
あたしは庭の 錆びたベンチで
あなたの帰りを 待つのでしょう

出典: 愛のカタチ/作詞:中村つよし 作曲:中村つよし

季節は春になる前のこと…この歌詞の主人公が愛する「あなた」の命の灯は今にも消えそうな状態のようです。

もし「あなた」が死んでしまったら…

主人公は秋になる前に後を追うだろうと言っています。

ここでは「裏通り」と言っていますが、死後の世界をそんな風に例えているのかもしれません。

「あなた」がいなくなったことを受け入れられない主人公は、いつも待っていた場所で「あなた」を待つことに。

愛なんて似合わないけど

愛なんて あたしには
愛なんて 似合わないけれど
一人で居る時にあなたを
思う事が愛ならば これは愛です

あなたが教えてくれた事
言葉には 何もないけれど
あなたが教えてくれた事
それは本当の「愛のカタチ」

出典: 愛のカタチ/作詞:中村つよし 作曲:中村つよし

日本では「愛」とストレートに伝えるのはなんだか気恥ずかしいという人が多そうです。

年配の方ならその気持ちも強いのではないでしょうか。

それでも、ただ「好き」という言葉では語れないほど、主人公が「あなた」を想う気持ちは深い…そう感じました。

MVのように何気ないことで「あなた」を想い出す。

主人公が主張している通り、それは紛れもなく「愛」なのだと思います。

そして、このことに気づけたのは「あなた」のおかげであると主人公は独白。

きっとお互いに口に出すことは無かったのでしょう。

それでも、心では通じ合っていたのだとこの歌詞からは伝わりますね。

あなたが北へ旅に出るのなら

それでも「おやすみ」は欠かさない

冬の夜   夢を諦め切れず
あなたが北へと旅に出るなら
あたしは毎夜 北へと向かい
あなたに「おやすみ」と言うのでしょう

幾年老いて あたしの記憶を
病が徒に食らえども
愛子の名を忘れ 我が名を忘れ
それでもあなたを 忘れません

出典: 愛のカタチ/作詞:中村つよし 作曲:中村つよし

季節は冬へ…自分ではなく夢を選んで旅立つ「あなた」。

一緒にいてくれなくても、「あなた」がいる方向へ挨拶は欠かさない。

そうすることで、側にいない寂しさを紛らわすという意味もあるのかもしれません。

なんだか切ないですね…

ここで、歌詞はこのストーリーの核心に踏み込みます。

MVを観て分かる通り、主人公は認知症の女性。

他の家族や自分のことすら記憶が無くなってしまいました。

しかし、「あなた」のことだけは忘れないと言っています。

モデルとなった中村つよしさんの祖父母は65年間連れ添ったのだそうです。

それだけ長く一緒にいれば、忘れようにも忘れられないのかもしれませんね。

もちろん、それだけ大事に思っているということも伝わります。

それでもあなたを忘れません

愛なんて あたしには
愛なんて 分からないけれど
一人で居る時にあなたを
思う事が愛ならば これは愛です

あなたが教えてくれた事
言葉には 何もないけれど
あなたが教えてくれた事
それは本当の「愛のカタチ」

幾年老いて あたしの記憶を
病が徒に食らえども
愛子の名を忘れ 我が名を忘れ
それでもあなたを 忘れません

出典: 愛のカタチ/作詞:中村つよし 作曲:中村つよし

若い頃もそうだったように、一人の時は「あなた」のことを習慣のように想う主人公。

病気で記憶が曖昧になってもその習慣は根付いているのでしょうか。

65年間の中には楽しいことや辛いことが沢山あった事でしょう…

たとえ脳に記憶が残っていないかったとしても、体や心がそれを覚えているということもあるのかもしれません。

最後に