平井堅【いつか離れる日が来ても】
アルバム「FAKIN' POP」
綺麗なファルセット混じりのミックスボイスで聴く人の心を癒してきた歌手、平井堅。
彼は人間の奥底にある弱さに目を向け、そこに寄り添った楽曲をつくるのが得意です。
今回ご紹介する【いつか離れる日が来ても】もその一つ。
ものすごく大きな幸せを手にしても、いつか失うことを想像してしまう人間の哀しさを表現しています。
この楽曲は、2008年に発売されたアルバム「FAKIN' POP」に収録されていたもの。
そこからシングルカットされ、同年に発売されました。
映画『あの空をおぼえてる』
【いつか離れる日が来ても】が主題歌となった映画『あの空をおぼえてる』。
映画の原作はアメリカの作家、ジャネット・リー・ケアリーによる『Wenny Has Wings』という児童文学です。
あらすじはWikipediaにて以下のように記載されています。
10歳の英治はある日、妹絵里奈と共に事故に遭う。絵里奈は命を落とすも、命をとりとめた。英治は、悲しみにくれる両親を何かと励まそうとするが、父、雅仁はいつまでも悲しみに心を閉ざすばかりだった。
家族が再生していく姿を、英治の目線から描かれている。途中、絵里奈が生きていた頃の幸せそうな家族の様子が、幾度となく登場する。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/あの空をおぼえてる
この作品は、“幸せ”に焦点をあてて描かれています。
失ってしまった幸せを取り戻すことはできるのか?
いつか失うなら何も大切にしない方がいいのか?
この映画と主題歌【いつか離れる来ても】は、それらの問いを私たちに真正面からぶつけてくるでしょう。
主人公とヒロイン
正反対の二人
今回は楽曲をより分かりやすくするために、主人公とヒロインを設定しておきます。
まず主人公は、臆病で少し女々しさも感じる男性。
対して主人公の恋人となったヒロインは、さっぱりした性格でいつも笑顔の女性です。
真反対の性格を持つ二人が織りなすストーリーを想像しながら、歌詞をご覧ください。
大きすぎる幸せ
失うかもしれないという事実
魔法のような笑顔に 何度救われただろう
手をつないだ帰り道 ふと心細くなる
自分より大事なもの 手にするのが幸せだと
教えてくれた君は 僕を強くも弱くもする
出典: いつか離れる日が来ても/作詞:平井堅 作曲:平井堅
主人公とヒロインは、最近付き合い始めたのでしょう。
まさに幸せは絶頂の最中。
笑顔が何よりも素敵なヒロインを見て、主人公は大きな幸せを感じています。
しかし、臆病な性格を持つ主人公はある事実に直面してしまいました。
それは「この幸せもいつか失ってしまうかもしれない」という事実です。
きっと主人公は過去に何度か別れを経験してきたのでしょうね。
別れを経験していなければ「この幸せは永遠だ」と、もっと盲目的に幸せに浸れるはずなのです。
しかし、幸せには保証がありません。失うことも現実にあり得ることだと主人公は知っています。
自分のことよりも大切な彼女。
そんな存在を失くしてしまったら、一体自分はどうなってしまうのか…。
主人公が不安になってしまうのも分からない話ではありません。