15周年の9mmが放つ応援ソング
15周年目にリリースされた10thシングル
2019年にリリースされた、9mm Parabellum Bulletの10thシングル『名もなきヒーロー』。
彼ららしい、攻撃的で激しいドラムやギターの重厚サウンドの上で、華麗に舞い踊る澄んだ歌声は必見です。
この曲から結成15周年を迎えた彼らが積み重ねてきた歴史と重み、蓄えた経験値を感じることができます。
こんなにも激しい音楽の中で耳に、心にしっかり歌詞が届いてくるのは彼らならではでしょう。
そんな歌詞に込められたテーマは、9mm Parabellum Bullet史上初めての「応援歌」です。
直接的な言葉ではないけれど、思いをストレートに伝えようとするボーカル菅原卓郎さんの心を感じます。
2016年からギターの滝 善充さんが体調の問題でライブ活動を休止されるなど、様々なことを経験したバンド。
だからこそ、しっかりとしたバックボーンの上で人を応援することができるのだと思います。
スタイリッシュなミュージックビデオ
公開されたミュージックビデオは印象的な色を多用したスタイリッシュなものでした。
この色合いの意味は？登場人物の意味は？
色々な仕掛けが散りばめられたミュージックビデオは必見です。
では、そんな10thシングル『名もなきヒーロー』のミュージックビデオについて解説していきます！
二色の世界で掻き鳴らすギターサウンド
パープルバックにブルー照明の意味
冒頭から1コーラス目は終始、バンドでの演奏シーンが続きます。
その間、基本的に背景はパープルで描かれているのです。
そしてメンバーはブルーをベースにした照明に照らされています。
これらの色の意味とはなんでしょうか。
色の持つ意味を調べてみました。
まずはパープル。つまり紫色について。
紫色には、神秘的、高貴、優雅、不安定といった意味があるようです。
次にブルー。つまり青色について。
青色には、知性や理性、誠実といった意味が添えられることが多いようです。
このことからわかること。
それは、不安定な「なにか」を背景に奮闘する、理性を持った人間を表しているということです。
倒れる女性と佇む少女
倒れる女性
2コーラス目になると、ストーリー性が絡み始めます。
冒頭、マスクをした女性が倒れているシーンが映し出されるのですが、この女性が意味するものとは。
2コーラス目の中で、マスクの女性の行動をまとめると下記のようになります。
- 霧の中で倒れている
- ゆっくりと立ち上がる
- よろめきながらどこかに向かう
- 空を見上げて倒れ込む
そしてサビに入る頃には照明が明るくなり始め、間奏明けからラストにかけての行動は下記の通りです。
- 立ち尽くす少女を抱きしめる
- 少女の解けた靴紐を結びなおす
- マスクを外して素顔を少しだけ見せる
- 再びマスクをつける
- 走り去る
これらの行動と、女性そのものが意味するものとはなんなのでしょうか。
複合的に考えると、女性は「自分の中にある迷い」を表していると思われます。
普段は出てこず、そこにあっても見えない存在で、たまに現れてもその正体も気付けません。
これが、「倒れている」「霧に覆われている」「マスクをしている」という行動で表現されています。
しかし、その「迷い」の象徴である女性が紐を結び直したり抱きしめたりするのはなぜか。
それは、迷いが敵ではないということを意味していることからくる行動だと思われます。
敵視すべきは自分自身であり、迷うことが悪ではないのだといっているわけです。
そっと寄り添ってくれて、時にはその迷いが正しい道へと案内してくれることもあります。
最後、走り去るのは、また元どおり、見えない存在へと還っていくという意味なのでしょう。
こういった意味の比喩として、これらの行動に繋がっているのです。
佇む少女
では、そんな「迷い」に対峙する少女は何を表しているのでしょうか。
少女は立ち尽くし、解けた紐を結んでもらい、抱きしめられるという役柄になっています。
つまりは、なすがままといったところです。
この少女が意味するもの。
それは自分自身です。
迷いに対してなすすべなくされるがままであれど、少女が取った行動がひとつだけあります。
それは、「受け入れる」ということ。
迫る迷いの指し示す方向（靴紐を結ぶという行為） を受け入れたのです。
これによって迷いは去って行きました。
つまりは、迷うことは悪くなくて、それを受け入れるかどうかだ、ということが言いたかったのです。
