切符が象徴するものは?
曲中には、「切符」が重要なアイテムとして登場します。
本来は、どこの駅から電車に乗り、どこで降りたかを管理するためのものです。
しかし曲の中では、別の象徴的な意味も込められている様子。
一体どんな意味なのでしょうか。
おそらく「君」と僕それぞれの心情です。
電車に乗っているということで、2人はそれぞれ自分の切符を持っているでしょう。
それになぞらえて、2人の心模様が表現されているのです。
ポケットつまづいた僕の切符
乗り越しラブストーリー
出典: 乗り越しラブストーリー/作詞:重岡大毅 作曲:YHANAEL
ここでは、僕は「君」への想いが薄れていないことに気づき、動揺しているところでした。
せっかく破局から立ち直った想いが鈍ってしまうからだと考えられます。
僕は「君」と別れ、気持ちを切り替えて生きようと思ったかもしれません。
そしてまったく別の用事で、電車に乗りました。
すると、その電車に偶然「君」も乗っていたのでしょう。
気持ちを切り替えたはずなのに、「君」の姿を見れば心が昔に戻ってしまいます。
新しい気持ちを持ったけれど、それが中断されそうになっている。
だからこそ、つまずいて順調に歩けなくなっているのです。
喜びと悲しみの過去
お揃いのアイテム
誕生日にくれた流行りのキャップ
実はサイズきつい
「私も一緒に使いたくって」
ってエヘヘちゃうで
出典: 乗り越しラブストーリー/作詞:重岡大毅 作曲:YHANAEL
僕の回想は続きます。
次に思い出したのは、誕生日を祝ってもらった時のことでした。
男性と女性では、帽子のサイズが大きく違うこともしばしば。
「君」がきちんと大きさを見立てるのが難しかったのかもしれません。
誰かに贈り物をする時、無意識のうちに自分が欲しいものを贈る女性もいるといいます。
本当にお揃いが良かったのか、それとも「君」が欲しかっただけなのか?
笑う「君」に突っこみを入れる僕ですが、本音はまんざらでもないのでしょう。
お似合いの2人
怒らせたくてパシャリ寝顔
「もうやめて~」って僕見つけてギュッ
アダムとイヴも二度見しとったやろ
ドア開く まだ降りないで
出典: 乗り越しラブストーリー/作詞:重岡大毅 作曲:YHANAEL
好きな人の行動は、些細なものでも可愛らしく映るものです。
2人の幸せな様子が目に浮かぶように思えます。
当時、2人は「お似合いのカップル」だったのでしょう。
神話上、人類の祖先とされる2人が振り返るくらいのカップルです。
一方、電車は次の駅に到着し、ホームへのドアが開きました。
僕は「君」とまだ同じ車両に乗っていたいと願います。
涙の思い出
ガタンゴトン揺れる僕らは
きっと笑うため泣いてたの
ポケットでぼけーっと僕の切符
乗り越しラブストーリー
出典: 乗り越しラブストーリー/作詞:重岡大毅 作曲:YHANAEL
しかし、そんな2人にも幸せな思い出だけではなかったようです。
涙を流した過去があったことが示唆されています。
それが破局に繋がってしまったのでしょうか?
悲しいことがなければ、「嬉しい」という感情を理解することはできません。
とはいえ悲しみの最中にいるときは、気持ちも沈み込んでしまうものです。
現在は穏やかな日常を手に入れたからこそ、過去の悲しみを振り返ることができています。
僕もここで、そうやって少し哲学的なことを考えているのかもしれません。
僕の心はぼんやり考え事に浸っています。