悲しい恋なのか、「何もかも許された恋じゃない」とは意味深な言葉です。
歌詞を読んでると、何だかかわいそうに思えてきてしまいます。
空き箱のような部屋でも、二人だけで満たされている愛の気持ちが優しく伝わってきますね。
二人の有様を、捨てられた子猫みたいに哀れだと喩(たと)えて歌っています。
この部分は、惨めで可哀そうな猫に自分たちを例えている部分です。
世間から見放された捨て猫は、愛を求めて空き箱の中にいるのでしょう。
空き箱の中にいるのは二人…。
独りではないのに、とても孤独を感じる歌詞になっているのは尾崎豊の優れた感性によるものでしょう。
誰にも振り返ってもらえず、手を差し伸べてもらえない捨て猫なのです。
まるで世間に忘れられているかのように、落ち葉に埋もれてしまいます。
小猫の様な泣き声
出典: I LOVE YOU/作詞:尾崎豊 作曲:尾崎豊
この部分は、尾崎豊の独特の言い回しではないでしょうか。
側にいる彼女の様子が手に取るように伝わってきます。
彼女もまた全てを捨て逃げてきたので、愛だけが残っている状況です。
そんな彼女の様子を切なく見守っているのでしょう。
愛を消してはいけない
きしむベッドの上で
きしむベッドの上で 優しさを持ちより
きつく躰 抱きしめあえば
それからまた二人は目を閉じるよ
悲しい歌に愛がしらけてしまわぬ様に
出典: I LOVE YOU/作詞:尾崎豊 作曲:尾崎豊
ギシギシと軋(きし)むベットの音が感じられる歌詞で、そんな経験があったことを、ふと思い出させます。
青春時代の思い出は誰にでもあると思いますが、初めて好きな相手と小さな部屋で過ごした思い出は、この歌と似たような体験ではないでしょうか。
確かに、許されない恋なら、幸せの中にも悲しい思いが去来するのが理解できます。
目を閉じて、じっと今の幸せな思いに浸っていたいという気持ちが伝わってきます。
愛は消えやすいもの
二人は愛を確かめ合うように体を寄せ合っています。
もう彼らには愛しか残っていない状態なのです。
だからこそ愛を消さないように大切にしているのではないでしょうか。
悲しい歌に愛がしらけてしまわぬ様に
出典: I LOVE YOU/作詞:尾崎豊 作曲:尾崎豊
熱く燃え上がった愛でも、いつか冷めてしまう時が来る。
そのことを彼は知っています。
自分たちの境遇が、二人の愛を消してしまう可能性があることも感じていたのかもしれません。
だから愛を消さないように努力しているのです。
この歌は、ただ愛してるという気持ちをぶつけているだけではありません。
愛を消さないように、二人の関係を維持していく為に愛を紡いでいく歌ではないでしょうか。
辛い現実に引き戻されてしまえば、二人の関係は終わってしまうのでしょう。
お互いの気持ちを確かめ合っているようにも聴こえます。
堕胎した彼女
若すぎる二人の愛
I love you 若すぎる二人の愛には触れられぬ秘密がある
I love you 今の暮しの中では 辿り着けない
出典: I LOVE YOU/作詞:尾崎豊 作曲:尾崎豊
「若すぎる」という言葉で、許されない恋という意味が少しわかってきました。
それが、触れられない秘密なのでしょうか。
それとも、秘密はまだ別にあるというのでしょうか。
確かに、若すぎることで、将来のことや生活のことなど、そこまでの考えには辿り着けないということなのかもしれません。
堕胎した子供
尾崎豊の残した本曲のメモには、子供が出来ちまった…という意味のフレーズが残っていたそうです。
それこそ「秘密」の正体だったのではないでしょうか。
若さゆえに子供を産み育てることが出来ないのでしょう。
そして今の状態の生活の中では、子供を幸せに育てることが出来ないのです。
幸せな家族の場所へは辿り着けていません。
いつ子供を産むをことを許されるのか、先の読めない状態であることも感じます。
彼女が泣き声で話した内容は、子供のことだったのでしょう。
二人の愛の形である子供を堕ろしたことで、愛が消えるのを恐れていたのかもしれません。