寂しさを隠す子供
2番では、ひとりで遊んでいた子供に母親が今日はどうだったかを聞いています。
そして笑顔で楽しかったと答える子供。
「ひとりぼっち」という言葉からも、本当は遊んでいても楽しくなかったのでしょう。
このことから母親を心配させたくないと、子供は嘘をついているのがわかります。
一方、仕事をしている母親は、家でも子供の相手をできていない可能性があります。
母親は家事に追われたり、家でも仕事をしたりしていて、ずっと忙しい状態。
子供はそんな忙しそうな母親を見ているからこそ、心配事を増やしたくないと思ったのでしょう。
「楽しかった」とあえて嘘をついているのです。
母子家庭であれば、なおさら心配させたくない気持ちと寂しい気持ちが出てくると思います。
しかし、どんなに幼い子供でも親の表情を伺うものです。
こうして、どんどん自分の気持ちを抑え込んでしまうことはよくあることなのではないでしょうか。
カラス目線の歌詞
第三者視点
歌詞全体を通してわかることは、すべてがキョエ目線ということです。
言い換えれば第三者の目線。
キョエの目線が私たちの目線なのです。
そうすることによって、客観的に物事を見ることができます。
先ほど「自分」に置き換えて考えてみるとわかりやすいと述べました。
ストーリーに入り込んだ上で、次はキョエの気持ちになってみましょう。
頬杖をついてふてくされている2人、笑顔で嘘をつく「あの子」。
おそらくほとんどの人が、どの登場人物の気持ちもわかるのではないでしょうか。
謝りたいけれど謝れない、本当は寂しいと言いたいという気持ちになると思います。
キョエは登場人物たちの隠している気持ちを見抜いているのです。
神のような目線
上から見てると手に取るように
わかるんだ
出典: 大好きって意味だよ/作詞:槇原敬之 作曲:槇原敬之
1行目ではキョエは「上」から人を見ています。
カラスということもあり、飛び回っているのでしょう。
飛びながら、様々な状況の人間たちを見ているのだと思います。
空から人間たちを見ているこの状態は、もしかすると神様目線なのかもしれません。
普通のカラスは、人間の間で何が起きているかは気にしないと思います。
でもキョエは人間の言葉がわかりますし、人間のことを見守っているのです。
直接的な描写はないですが、キョエは神様のように人を見守っています。
そして「本当はこうするべきなのではないか」と諭す役割なのかもしれません。
小さな嘘をつく人間たち
キョエ目線の人間たち
キョエが思う「人間」とは、素直になれない存在なのではないでしょうか。
意地を張って嘘をついたり、優しい嘘をついたり。
素直になりたくてもなれない、そうしてはいけない状況は生きていれば良くあることです。
自分の意見ばかりを主張していたら、周りの人と協調することはできません。
キョエはその気持ちをわかりつつも「素直になればいいのに」と思っているのです。
「バカ」に込めた想い
そんな誰かに向かって今日も
バカー!って鳴くけれど
それはバカって意味じゃなくて
大好きって意味だよ
キョエはそんな優しくて
小さな嘘をついてる
人間達が何故だか
大好きなんだよ
出典: 大好きって意味だよ/作詞:槇原敬之 作曲:槇原敬之
キョエは「チコちゃんに叱られる!」内でも「バカー!」とよく鳴いています。
あまりはっきりと誰かに言うべき言葉ではないです。
悪口に思われがちですが、キョエにとっては悪いことだとは思っていません。
どうして人間は素直にならないのかということが、キョエははっきりとわかっていないのです。
人間が「何故か」好きという言葉からその様子がわかるのではないでしょうか。
しかし、素直になれない人間たちを「バカだなぁ」と思いつつ「人間らしい」と思っているのです。
例えば1番に出てくる、喧嘩をして謝ることができない2人。
キョエは「素直になればいいのに、バカだなぁ」と思っているのかもしれません。
謝ればすぐに仲直りできることは、おそらく喧嘩している2人もわかっていると思います。
でもそんな素直になれない意地っ張りな部分が、人間らしさなのです。
2番の母親に嘘をつく子供の場合。
「本当は寂しいのに、心配させたくないから嘘をつくなんてバカだなぁ」とキョエは思っています。
しかし、そんな優しさを持つ人間は、本当に素敵なのかもしれません。
嘘をつくのはあまり良くないことですが、相手のために嘘をつくなんて、なんて優しいんだろうと思います。
人間らしさが人間の良さであることを改めて感じました。
キョエはいろんな人に向かって「バカー!」と鳴きます。
その相手が、どんなに意地を張っていても、人間らしくて素敵だと思っているはずです。
「バカ」は「大好き」という意味。
そんなキョエも実は素直ではないのかもしれません。