蜘蛛と蝶、遂に遭遇

Hungry Spider【槇原敬之】は○○と△△の物語?!歌詞の意味を徹底解釈!PVもチェック♪の画像

今日も腹を減らして一匹の蜘が
八つの青い葉に糸をかけた
その夜 月に光る巣になにか
もがく様な陰を見つけた
やっかいなものが巣にかかった
星の様な粉をまくその羽根
おびえないように闇を纏わせた
夜に礼も言わず駆け寄る

出典: https://twitter.com/tatihibi/status/657197230634303488

2番の前半は1番と同じ出だしでありながら、違うのは「かける」から「かけた」になっていることです。

すなわちずっと片思いを続けていたら、本当にその思考が現実化して綺麗な蝶が引っかかってしまったのです。

千載一遇ともいうべき絶好の機会なのですが、蜘蛛はそこで格好をつけて助けに行こうとします。

何故ここで「夜」を選んだのかというと、昼間だと自分の姿を蝶に見られてしまうから。

蜘蛛はおそらく自身が醜く見えてしまうことも理解していて、だからこそ姿が見えない夜にしたのでしょう。

切ないのは欲望を孕んでいながら、同時に蝶を思いやる優しさまでこの蜘蛛が持ち合わせていることです。

単なる下卑た欲望だけではない理性と優しさもあるところが下品さと上品さの現われとして綺麗ではないでしょうか。

真に欲するものは手に入らない

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今すぐ助けると言うより先に
震えた声であの子が
"助けて"と繰り返す

I'm a hungry spider
You're a beautiful butterfly
叶わないならこの恋を捨てて
罠にかかるすべてを食べれば
傷つかないのだろうか

出典: https://twitter.com/surlatable1/status/718464418267340802

遂に蜘蛛は動き出すのですが、蝶はどうやらそんな蜘蛛を怖がり「助けて!」と叫んでしまうようです。

それもその筈、蜘蛛の親切心は蝶にとっては単なるストーカーの百鬼夜行にしか見えないでしょう。

巣に引っかかったところに蜘蛛が来たのですから、蝶にとっては自分を捕食しに来たとしか思えません。

そう、真に欲しかった美しい女性の心は手に出来ず、片思いの恋は完全に破れてしまったのです。

下から2行目の「罠にかかる~」以降に綴られているフレーズがそんな蜘蛛の悲しさを象徴しています。

変に紳士的な振る舞いで好かれようとして嫌われるなら、最初から餌と割り切ってドライに捕食すれば良かったというのです。

これはすなわち、変に片思いして傷ついて失恋するくらいなら、最初から恋なんてしなければよかったということでしょう。

どこまでも報われない片思いの恋を繰り返す男の寂しさ・儚さ・醜さを歌っているのではないでしょうか。

くどいようですが、歌詞の意味は

自分のかわいい恋人のことを「my sweet」と言うらしいですね。

それに恋人への呼びかけを「Suger」とか「Honey」とかって言いますよね。食欲と性欲がくっついているような表現です。

可愛い子ちゃんのことを「eye-candy」(目の保養)と言うらしいですし。

食べてしまいたいほどに愛しているという感覚、わからないこともない。

それをクモとチョウの関係に置き換え、クモの巣を道ならぬ恋のトラップにたとえているのかもしれませんね。

ただ、面白いのはこれが単なるモテない男の嫉妬じみた片思いに終始していない所です。

もし蝶が蜘蛛に性欲を抱えていたら、利害が一致して結ばれていたかも知れません。

恋愛とは詰まるところそのような下卑た欲望を綺麗にラッピングしたものでしかないということでしょう。

片思いの恋を歌っていながら、同時に男と女や聖と邪といった二項対立を通して「恋とは何か?」を根源的な部分まで突き詰めています。

蜘蛛と蝶の関係を通して、表面上狂気じみていながらも実は鋭く深く恋の深層心理を歌い込んでいるのです。

これだけ深い歌詞だからこそ時代を超えて尚も人気であり続けるのだと推測されます。

おわりに

槇原敬之の『Hungry Spider』をご紹介しました。一時は自身の不祥事によって市場から一斉に姿を消してしまったこの楽曲ですが、後に販売されます。

さらにこの事件により一時的に活動を自粛せざるを得なかったことから、ファンがマッキーの楽曲を買いあさるという現象が起こるなど、彼の楽曲がいかに愛されていたかを彼自身が知ることとなり、事件から立ち直る大きな力になったことも否めません。

今も人生のさまざまな出来事を多彩な言葉とメロディーで紡ぎ続けている槇原敬之、これからもどんな楽曲を私たちに届けてくれるのかが非常に楽しみですね。

この先の活躍にも期待したいところです。

狂気と思える歌詞の中に深いメッセージや哲学が織り込まれている彼の才能は誰もが認めるところでしょう。

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