アルバム「DocumentaLy」収録!
2011年に発売されたサカナクションのアルバム、「DocumentaLy」。
【アイデンティティ】や【ルーキー】、【バッハの旋律を夜に聴いたせいです。】などなど。
サカナクションの数々の名曲が収録された名盤として、今なお呼び声高い作品となっています。
今回ご紹介する曲は、そんな「DocumentaLy」に収録の1曲【モノクロトウキョー】。
この曲でサカナクションは、どのような東京の風景を描いているのでしょうか。
さっそくその歌詞の内容に迫っていきたいと思います。
早速歌詞を見ていこう
コンクリートに囲まれた街の見慣れた光景
チチッと舌を鳴らして呼んだ野良猫
走り去りすぐ影の中に消えたんだ
出典: モノクロトウキョー/作詞:山口一郎 作曲:山口一郎
街にそびえ立つコンクリートビルの合間から、ひょっこりと顔を出した野良猫。
東京に住む人であれば、彼らが街の隙間を縫うように歩いてゆく様を見かけたことがあるでしょう。
私たち人間を警戒する猫を呼び寄せようと、舌を鳴らして気を引きます。
しかし思いとは裏腹に、猫はくるりと踵を返してコンクリートジャングルの中に消え去っていきました。
無機質さを感じさせる都会の中に感じる、人間ではない生き物の命。
それをどこかちぐはぐに感じたことのある方も、きっといるのではないでしょうか。
フルカラーの憧れとは?
午前5時の都会は妙にゴミ臭い
空が少し湿って曇り始めました
東京 モノトーン
憧れ フルカラー
出典: モノクロトウキョー/作詞:山口一郎 作曲:山口一郎
うっすらと夜が明け始めた早朝の東京の街の空気に、皆さんは触れたことがありますか?
普段はそこかしこに溢れかえる人々も、嘘のように消え去った静かな街。
まるで自分ひとりを置いて世界が滅亡したかのような、そんな光景が広がっていることでしょう。
道端に捨てられた生ごみや煙草の吸殻だけが、たくさんの人がいたことを証明する僅かな証。
それを突くカラスや野良猫だけが、その街に生きる命です。
数多の命が消え去った、沈黙だけが支配する東京の街。
どこかじっとりとした、湿って冷たい据えた匂いが漂います。
温もりのないコンクリートに囲まれた街の空気は、お世辞にも良いとは言い難いものです。
けれどこの東京という街には、多くの人々の夢が今この瞬間も息づいています。
まるでくすんだ街の景色と相反するかのような、人々によるフルカラーの憧れや夢。
この2つを対比させることによって、それぞれの色彩がより鮮やかに描かれていますね。
モノクロな都会の色に染まる、僕の心を潤すものは一体?
そう 絡み合う電線を見上げ僕は
ほらアクビをした
そう からからに乾いてる心は
心は雨を待ってるんだ
出典: モノクロトウキョー/作詞:山口一郎 作曲:山口一郎
東京の街で日々暮らす僕。
そびえ立つコンクリートジャングル、空を覆うように枝葉を伸ばす電線。
無機質な環境に囲まれた彼は、どうやら退屈した毎日を送っているようですね。
たくさんの群衆や情報に囲まれながらも、刺激のない単調な日々。
そんな日々を変えてくれるものが、モノクロな自分の毎日を色鮮やかに染めてくれるものが現れないか。
誰かの色彩鮮やかな憧れや夢が、自分の心に潤いをもたらしてくれたないか、と。
ぼんやりとそんな「なにか」を、僕の心は彼は待っているのでしょう。
もっとも、そんな「なにか」は待っているだけでは永遠に現れません。
彼自身が自らの探しに行かなくては、いつでも受け入れることのできる姿勢を取っていなくては。
たとえ目の前に現れたとしても、簡単に見逃してしまうようなものなのですけれどね。
東京に渦巻く夢と憧れと混沌と
格差が同居する街、東京
チッと舌を鳴らして寝転ぶ人
その隣を通り過ぎてく左ハンドル
出典: モノクロトウキョー/作詞:山口一郎 作曲:山口一郎