僕はこれまで自分は冴えない人生だったと想っていたみたいです。
辛いことが重なって眠れなかった夜もあったでしょう。
そんな日々にキミが救世主として登場しました。
キミも僕に好意を持ってくれていることが何よりの力になります。
これからの自分はさっきまでの自分とはまったく違う存在になれる予感がする。
恋愛というのはここまで人をポジティブに変える力があるのです。
僕は自分を創り上げている細胞のひとつひとつから生まれ変われるような気になっています。
螺旋というのは僕を創り上げたDNAの構造を指しているのです。
生まれる前の因果からも変えてしまう。
恋愛の瞬発的な力はそれほどすごいものです。
愛は身体で覚えよう
祝祭感があふれる歌
あぁベイビー 悲しみ捨てちまいたい
キミの話す愛ってやつの意味を 僕に教えてよ
そいつを歌って踊ってみたいな
出典: ミラクルをキミとおこしたいんです/作詞:山口隆 作曲:山口隆
僕にとっては苦い人生の中で初めてめぐりあった愛なのかもしれません。
誰かに好かれるということは自分自身の拠り所になります。
これまで噛んできた様々な辛苦や悲しみを捨て去るチャンスが来ました。
これからはキミがくれる愛というものの滋養をいただいて大きく成長できるでしょう。
何でもロックに還元してしまう山口隆とサンボマスター。
キミからいただく愛までもロックの流儀で消化します。
愛を歌や踊りに変えるのです。
歌詞は祝祭感が増していきます。
愛は観念で知るよりも身体で覚えるものです。
古来より人は愛の喜びを歌や踊りで表現してきました。
それはもう祭りというものの起源といっても差し支えないです。
森羅万象に奇跡は宿る
当たり前のことがすでに奇跡なのだ
窓の外 幸せな風景を ひざを抱えて眺めてたのさ
呼吸を整えて始めるんだよ 奇跡の可能性は見るもの全て
見るもの全て!
出典: ミラクルをキミとおこしたいんです/作詞:山口隆 作曲:山口隆
紙幅の関係でリフレインは省略いたしました。
申し訳ございません。
幸せをただ眺めている季節は終わりました。
もう幸せは窓の外にあるものではなくなります。
僕の心の内側からあふれ出る喜びこそが幸せの姿です。
奇跡が起こる可能性は森羅万象すべてにあるはずだとサンボマスターはいいます。
万人に等しく奇跡が起こるチャンスが有るのだと歌っているのです。
実際にいつでもどこででも起きてしまうと奇跡も有り難みを失くします。
普段から常日頃目にするものを人はそのうち奇跡とは呼ばなくなるでしょう。
それではなぜ山口隆はすべてに奇跡が宿ると歌うのでしょうか。
それは生存して愛を育むという当たり前のことが奇跡なのだという逆説のテーゼです。
日常のあらゆる局面は愛が育まれたことで生まれ落ちたもの。
目の前の景色すべてに愛の証があるのです。
愛が奇跡の兆候ならば、実際に生まれ落ちたことはさらなる奇跡の証拠。
山口隆はその可能性に目を啓いてくれと歌います。
個性に応じて奇跡を起こそう
踊りの群れに加わること
キミだけに起こせる奇跡があって 僕だけに起こせる奇跡がある
やらかせベイビー 踊ろよベイビー We want Miracle!
やるなら今だぜ 奇跡の実感 踊りまくってスゲーこと始めろよ!
出典: ミラクルをキミとおこしたいんです/作詞:山口隆 作曲:山口隆
キミも僕もそれぞれの個性に応じて奇跡を起こせます。
どんな軌跡を起こせるかはその人自身の可能性に依拠するのです。
しかし今はふたりが一体となって世界を変えることができるくらい熱くなっています。
自分自身の眠っていた力に鼓舞されてなでもできる気がするくらいに盛り上がるのです。
祭りは佳境に入りました。
「ベイベー」という箇所は亡くなったフォークシンガー遠藤賢司の楽曲の面影があります。
山口隆は一貫してポジティブなことしか歌詞にしません。
しかし彼の歌詞に背中を押されるという人は苦境にいる人でしょう。
逆風の中で頑張って立っている人のような人。
そうした人たちがサンボマスターの音楽に勇気付けられています。
生きている限り何もかもポジティブでいることは難しいです。
しかし音楽というものは古代の祝祭の中から生まれた祈りが本体でしょう。
そうした意味では音楽とは常に逆境に打ち克ってゆく人たちのものでした。
サンボマスターの歌の存在意義は音楽の歴史から全肯定されるべきものです。
奇跡の到来を待ち侘びている人にとっては福音のような曲。
つべこべいわずに踊りに参加することが正しいようです。