アルバム「狂(KLUE)」で何が語られているのか
「MVの解説」「弾ける風船」を理解するには?
「狂(KLUE)」というタイトルが収録されている楽曲のただならぬ威力を物語っています。
その収録曲であるGEZAN「東京」を理解する前に、まずはアルバム全体の意味を知っておくことが必要です。
理解することでMVの理解を深められるでしょう。
収録曲冒頭の「狂」を聴けば、このアルバム全体がGEZANが訴えかけている1つのメッセージだと明白になります。
前半ではこの世界の破綻の詳細と奮起を、後半では希望という癌について、反抗に対する再定義について
出典: 狂/作詞:GEZAN 作曲:GEZAN
このアルバムの中で「東京」のMVを理解するために特に聴くべき曲をいくつか紹介していきます。
アルバム「狂(KLUE)」に込められた私たちへの「警報」
今、お前はどこでこの声を聞いている?
出典: 狂/作詞:GEZAN 作曲:GEZAN
アルバム冒頭に収録された楽曲「狂」で衝撃を受けたリスナーは多いことでしょう。
ここでは東京ひいては日本の状況と、これから「狂(KLUE)」で語られることの目録が掲げられています。
同時に、聴くべき人とそうでない人とをはっきりと分別している箇所でもあるといえるでしょう。
シティポップが象徴してたポカポカした幻想にいまだ酔っていたい君にはオススメできない
出典: 狂/作詞:GEZAN 作曲:GEZAN
ここのリリックを噛み砕いて言い表せば、次のようになるでしょう。
宗教や組織という括りの中に落ち着いてしまった世界。
インターネットに覆われようとする世界。
そんな世界に、革命を起こさなければならない。
その手段こそが、愛や希望を歌うシティポップではなくDUBだということです。
この冒頭曲に限らず、アルバム「狂」の全曲がGEZANの高解像度な表現で描かれています。
ただ耳や目や心で感じ取れることを何度も吟味しなければ、この作品の意味は見出せません。
冒頭曲からは以上のような「狂(KLUE)」を読み取る上での前提を把握することができました。
3つの「神」への危惧
生命活動には適さないインターネットという「神」
インターネットの中に仮想世界を形成したムーブメント、電気の無くなった未来であっけなく消滅した
出典: 訓告/作詞:GEZAN 作曲:GEZAN
アルバムを通じて、GEZANは「神」の存在に警鐘を鳴らしています。
その「神」が意味する存在は「宗教」「組織」「インターネット」の3つです。
「訓告」では電気がなくなれば消失してしまうインターネットに支配されている危うさが描写されています。
コミュニティの究極系を阻む宗教と組織という「神」
神さまは不在 祈りだけがある 教祖も階級もない宗教 imaginationだけの連帯
数分の間だけ集結する部族よ もう一度未来という言葉をこの場所で科学しよう
出典: 赤曜日/作詞:GEZAN 作曲:GEZAN
アルバム9曲目「赤曜日」ではこう歌われています。
前提としてGEZANが求めているものは一種の原始的なコミュニティです。
部族の間でも宗教や組織は存在します。
それはあくまで法や風俗・慣習のように集団活動に規律を添える機能に過ぎません。
しかし現代では宗教や組織が生活を飲み込み「神」として人々を統治しているという実情があります。