映画「バイプレイヤーズ」主題歌
100人の名脇役を「主役」に据えた一作
テレビ東京系で放送されていた人気シリーズ「バイプレイヤーズ」。
その劇場版として制作されたのが「もしも100人の名脇役が映画を作ったら」です。
しかし彼らはどんな作品にも欠かせない存在です。
そして脇役だからこそその演技力、技術は確かなもの。
そんな彼らが所狭しと活躍する、笑いあり、涙ありの一作…。
その主題歌として新たに書き下ろされたのが、Creepy Nutsの「Who am I」です。
Creepy Nutsの実感も乗せたナンバー
脇役、というポジションで自分たちを語ることが多いCreepy Nuts。
彼らもまた「主役になれない」という立ち位置で自分を描き続けることで共通しています。
だからこそ描けるシンパシー。
地方から夢を見て東京に旅立ち、けれど主役として華々しく脚光を浴びることはない。
それでも生業を続ける彼らの「正体」とはどこにあるのでしょうか。
そして彼らが「帰る場所」に気付くのはなぜなのでしょう。
そんな役者達の生き様を、リリックから読み解いていきましょう。
「俺は誰だ?」という問い
思い出す自分の姿
Who am I?
俺が誰かを
思い出させてくれる
景色や街の音に耳を貸せば
出典: Who am I/作詞:R-指定 作曲:DJ松永
フィルムの回る静かな音、そこから始まるビッグバンドのリッチな音が印象的なイントロ。
まさに古き良き時代の映画を思わせるサウンドが、名脇役たちの映画への愛を思わせます。
楽曲ごとに変幻自在にサウンドの色を変えるDJ松永のトラックもCreepy Nutsの大きな魅力です。
そんなリッチでメロウな音に乗せ、「Who am I」はフックから入ります。
思い出すということは忘れていた、見失っていた、ということ。
「俺は誰か」を一度見失った主人公の「俺」が、街の風景の中で自分を思い出す。
そんな風景が描かれます。
俺が見失っていた自分の正体とは何なのでしょうか。
リリックを通してその姿を追ってみましょう。
帰る場所を思い出す
You & I
言葉にしなくてもそう
ちゃんと覚えてる
分かってる
俺の帰る場所はここさ
出典: Who am I/作詞:R-指定 作曲:DJ松永
「Who」と「You」で韻を踏みながら、大切な人の存在を思わせるリリック。
言葉にすることはなくても思い返します。
自分の帰る場所。
俺が思い出したその場所とはどんな場所なのでしょうか。
そして、帰る場所を思い出す理由はどこにあるのでしょうか。
リリックは最初に答えを示し、そこから理由を描き出していくような構成になっています。
ゆっくりと流れるロマンチックな音に乗せて、ひとつづつ辿ってみましょう。
あの頃とは変わった己
別の街、別の自分
Who am I?赤の他人…
あの頃のお前とはきっと赤の他人…
似合わない街並みと
見たことない格好
出典: Who am I/作詞:R-指定 作曲:DJ松永