【アンチビート feat.初音ミク】で描かれる感情とは
ちょっぴり歪んだ恋愛ソング?
この楽曲、あえて大きなテーマで括るとすれば「恋愛ソング」でしょう。
しかし一般的に想像される、甘酸っぱくてキュンキュンするような普通の恋愛ソングではありません。
歌詞に登場するのは「好き」「愛する」といった甘い言葉ではなく、「嫌い」「不快」といった否定的な言葉。
楽曲全体を通して相手からの行為を全否定するほど、徹底的にマイナス方向へ振り切っているのです。
登場人物の関係性
君は主人公の僕に好意を寄せています。
それに対して主人公の僕は、君から注がれる愛を全力で拒否し続けるのです。
主人公にとって君が理想の相手ではなかったから?興味がない相手だったから?
実はそんな簡単な理由ではないのです。
君からの愛を拒否する理由、そして君を愛せない主人公の心の問題に迫っていきましょう。
早速歌詞を解釈!
不快感
背中が痒いんだ 君がギュッとするから
好意を寄せるその目 抉り出していいかな
出典: アンチビート feat.初音ミク/作詞:DECO*27 作曲:DECO*27
冒頭の歌詞からすでに、主人公の僕が抱く嫌悪感がハッキリと綴られています。
1行目にあるハグは相手に好意を抱いているからこその行動ですし、それは2行目の視線も同じでしょう。
君は僕のことが好きで、それを伝えるべく様々なアプローチをかけているのです。
しかし興味のない相手から向けられる好意は、時に不快感を与えてしまいます。
この2人の関係性においてはまさにそんな状態でした。
主人公は君に興味がありません。だからこそ君が寄せる好意へ嫌悪感をあらわにしているのでしょう。
愛=罰?
抉り出したその目を 飾り付けてください
痛いほどに不快だ さあ僕を愛した罰を受けろ
出典: アンチビート feat.初音ミク/作詞:DECO*27 作曲:DECO*27
主人公が抱いている嫌悪感は、並大抵のものではありません。
その中でも自分に向けられる視線が不愉快だったのでしょう。
君の目がなくなれば、その視線から逃れられると考えているようです。
あまりにも極端な感情ですが、それほどまでに嫌悪感を抱いていると思えば納得ではないでしょうか。
しまいには愛することは悪だと捉えられる表現まで登場していますね。
主人公が非常に激しい感情を抱いていることが窺えます。
不快な愛から逃れる方法?
アンチビート
もう早く死んじゃいたい 楽になりたいんだ
アンチビート
でもでも「痛い痛い」 どこにも逝けないよ
アンチビート
出典: アンチビート feat.初音ミク/作詞:DECO*27 作曲:DECO*27
これは造語でしょうが、おそらく主人公の中に募っていく不快感を表現しているのでしょう。
ビートは音楽での拍子・リズムを表します。
つまりビートを刻むかのように不快感が募っていく…と捉えられそうですね。
そんなネガティブな感情に支配されている主人公ですが、2行目では自分自身の存在を否定しています。
あまりにも極端な表現で、そこまでして君の好意から逃げたいのかと不安になるほどです。
しかし4行目を見ると、2行目までのような勢いが失われているようですね。
君の好意から逃れられず、自分自身の存在を消すことも叶わない。まさに八方塞がりといった状況です。