カラフルな服装はどう変わる?
女性の服の色は、賑やかな街や屋台村の中でも少し浮いて見えました。
その後、女性が暗い部屋で何かに思い悩むシーンを挟み、夜が明けます。
そこで女性の服装に変化が見られたのです。
新しい自分に出会えた瞬間
赤や黄色といった鮮やかな色を身にまとい、激しく踊っていた女性。
夜が明けると、白地に黒のボーダーをあしらったカットソーに黒いパンツを穿いています。
別のシーンでは、黒いキャップに白いつなぎです。
着衣から「色」と呼べるものがなくなりました。
これは「新しい自分」を表現しているのではないでしょうか。
白は純粋さ、黒は芯の強さを感じさせます。
またキャップを被った女性に注目してください。
背後に映っている建物と彼女の服装が、ぴたりと一致しませんか?
ボーダーのカットソーの女性の場合も、周囲の細い木々を模しているかのようです。
これは、その国の文化や人々に寄り添うことを表現していると考えられます。
しかし自分を押し殺して相手に合わせてしまったら、日本にいるときの自分と大差ありません。
踊りで自分自身を表現しながらも、その国の空気に溶け込むこと。
これこそが、彼女が旅に出た一番の目的なのではないでしょうか。
旅を続けるという選択肢
着衣から色がなくなった後半、黄色をあしらったTシャツを着ている女性が何度か映し出されます。
白いTシャツの前側だけに黄色いタンクトップが重なっているようなデザインです。
彼女は白い建物の中腹に腰を下ろしているため、黄色が非常に目立ちます。
でも、彼女だってその国の空気に溶け込めるのです。
MVの終盤、彼女がレンガ作りの建物の前に立っているシーンがあります。
背後から太陽が橙色の光を放ち、レンガの色と太陽、そして橙の光に染められた彼女が一体となるのです。
このことから、自分らしくいられる場所は人それぞれ違う、という意味を感じます。
原色の服を着ているから溶け込めない、ということはありません。
女性は強い陽差しによって見事に溶け込みました。
それは、彼女自身が陽のあたる場所を選んだから。レンガの前を選んだから。
うまくいかなければ、別の場所を旅すれば良いのです。
サングラスは何を意味する?
前半、街中や屋台村を歩く女性は丸いサングラスをしていました。踊るときには外していますね。
日中、それほど陽差しが強くもないのにサングラスを掛けていること。
夜、太陽はもう沈んだのにサングラスを掛けていること。
これにはどんな意味があるのでしょうか。
フィルター越しの世界
彼女のサングラスは濃い色ではなく、薄く色づいているだけのようです。
それでも彼女に見える景色は、実際の景色よりもわずかに暗く見えるでしょう。
これは、相手の本質に目を向けない態度を表現しているのではないでしょうか。
サングラスをしていたから、街の人々の視線が実際よりもネガティブなものに思えたのです。
サングラスを外していたら、彼らの口元に浮かぶ僅かな微笑みに気づけたかもしれません。
「先入観」ともいえるでしょうか。
「外国人だから奇異の目で見られているに違いない」と思い込んでしまうのです。
反対に、相手を受け入れない態度とも考えられます。
人の心は瞳に映るといいます。サングラス越しでは本当の瞳の色が見えないはずです。
MVの後半、黄色い服の女性もきっと、もうすぐサングラスを外すのでしょう。
あまりにも短い夜空のシーン
MVの前半は日中と夜、後半は朝から昼にかけての場面が映し出されています。
屋台村の夜は非常に明るく、夜であることを感じさせません。
本当の「夜」が登場するのはほんの一瞬でした。
紺色の空に、細い三日月が浮かんでいるシーン。たったそれだけです。
これにはどんな意味があるのでしょうか。
変化に時間は要らない
MVの前半と後半で、女性は明らかに変化しました。
たったひと晩を経ただけですが、彼女は変われたのです。
変わりたい。一歩踏み出したい。それを叶えるのは他でもない自分自身。
時間の力でどうにかなる問題ではありません。思い悩む時間の長さは意味を持たないといえます。
ですから、長い夜を経ても変わらないものは変わらない。
一瞬の月を見ただけの夜でも、女性は新しい一歩を踏み出しました。
つまり、時間ではなく変わりたいという意志が大切なのです。