あるはずのない丸い角砂糖
角砂糖なのに丸いなんて、何だか謎かけのような言い回しです。
その妙な感じが、SNSにおけるちぐはぐさを表現しているのではないでしょうか。
角砂糖は四角いから角砂糖というのであって、丸ければ角砂糖とはいいません。
しかしそういったことがまかり通っているのが、InstagramなどといったSNSの現状といえます。
あるはずのない丸い角砂糖を、誰もが「イイね!」ともてはやしているような状態です。
ありのままの君が好きなのに
引用歌詞の2行目からは、「僕」と「君」の付き合いが長いことが窺えないでしょうか。
女の子はインスタ映えを狙って、ついつい背伸びをしてしまいがちです。
そんな風にならなくていいのにと、「僕」は少し残念に思うのでしょう。
「シミ」というのは、愛を歌うには何とも大胆で意味深なフレーズです。
個人的な解釈ですが、こんな考え方はいかがですか?
子供の頃、女の子でも活発で、身なりにあまり構わないような子っていたと思います。
袖口にご飯粒が付いていたり、服に食べこぼしのシミが付いていたりということもあったはずです。
「僕」としてはむしろ、そんな「君」のことが好きなのかもしれません。
やれSNSだインスタ映えだと自分を偽るよりは、そんなありのままの彼女のことが好きだったのです。
偽りで記憶が上書きされていく
このまま明日のように過ぎ去って 愛した過去も薄れていって
記憶をペンでなぞり濃くして 虚しさだけが溢れかえってる
出典: SNSを愛してる/作詞:Rin音 作曲:Rin音・Shun Maruno
同じ嘘を言い続けると何だか本当のように思えてくることって、あると思います。
SNSも同じで、何が本当なのか分からなくなってくることもあるのではないでしょうか。
このパートの歌詞は、1つ前のパートを踏まえて、警告しているように感じられます。
完全に嘘ではないけど嘘っぽい記憶で、本来の記憶はどんどん上書きされていきます。
日々が過ぎていくように、それが当たり前になってくるのです。
誰かを本気で好きになった記憶すら、曖昧にもなってきます。
上書きされた記憶に浸れればいっそ楽なのでしょうが、おそらく「僕」にはそれができないのです。
だからこそ、記憶が置き換えられていく状況に、虚しさを覚えずにはいられません。
繋がらなくなってしまったもので繋がっていたい
I loved you darling 愛してたdarling
消せないLine Talking to. About me.
You were my honey 愛されたhoney
繋がらないLine Never looking back with.
出典: SNSを愛してる/作詞:Rin音 作曲:Rin音・Shun Maruno
これまでの歌詞は現在を歌っている感じだったのに、ここでいきなり、過去形で表現されています。
もしや2人の関係は終わってしまったのかと、そう思う人もいるかもしれません。
現在の「僕」と「君」がどんな状況であるかは、この歌詞からでは憶測の域を抜けきりません。
ただ、かつてとは違う何かの区切りがついてしまったのは、おそらく事実なのでしょう。
彼女を愛した日々は過ぎ去って
「darling」や「honey」は日本でもお馴染みの、恋人や大切な人に対する呼びかけです。
「loved」や「愛してた」というフレーズから、「僕」が彼女を愛した日々が今は過去のことだと考えられます。
引用3行目の歌詞からも、同じことが推測できるでしょう。
「僕」と「君」の関係は、もはや終わってしまったと考えるのが妥当といえそうです。
繋がりはなくなってしまったはずなのに、Lineを未だに消せない理由は何なのでしょう。
Lineの中に詰まっている幸せな時間
引用歌詞の2行目に注目してみましょう。
Lineを消せない理由が、そこに歌われているのが分かります。
「話している」「僕のことについて」とは、つまりどういうことを指しているのでしょう。
これらはおそらく、こういうことだと思います。
彼女との現実での関係は終わってしまったけど、Lineのトークの中には幸せだった時間が残っています。
彼女がもっとずっと、自分のことを話題に出していた頃です。
そこにそんな時間の名残を感じられるので、「僕」はLineを消す決心が付かないのでしょう。
4行目の歌詞は、正直なところ難解ですね。
こちらに関しては、2通りの解釈をしてみましょう。
1つ目は、「僕」が不通となったLineを振り返ることはないよというニュアンスです。
この場合、幸せな時間が詰まったLineを消すことはできないけど、という前置きが見えてきます。
もう1つは、彼女は繋がりを失ったLineのことなんか振り返るわけはないというものです。
個人的には、後者の方が歌詞の流れに合っているように思います。
彼女が顧みてくれるわけはないのに、「僕」は未だに、繋がっていたSNSから抜け出すことができないのです。
SNSという世界に何があるのか
ねぇ一体何が本当の目的 ねぇ一体何が愛情のものさし
時計は3時を回っているのに 変身はとけない 精神は12時前
出典: SNSを愛してる/作詞:Rin音 作曲:Rin音・Shun Maruno
「僕」は「君」に語りかけます。
パッと聞くと「何のこと?」となりそうな歌詞ですが、ここで思い出してほしいことがあります。
この曲の前半部で、「僕」にはピンときたことがあったのではないでしょうか。