異色のロングヒット演歌

【松村和子/帰ってこいよ】歌詞の意味を徹底解説!幼馴染のあの娘に会いたい…切ない男心を三味線に乗せての画像

ご紹介します「帰ってこいよ」は1980年の大ヒットソング。

メロディに耳を傾けながら歌詞を読むと、もっと古い時代の曲であるような印象を受けます。

年代も歌手もちょっと異色のこの曲について読み解いていきましょう。

三味線と演歌

三味線といえば、民謡や浪曲を連想する方が多いのではないでしょうか。

演歌は決して、洋風なものではありませんがなんとなく三味線はマッチしません。

歌い手の松村和子は当時10代。

ロングヘアに独特の衣装で三味線を弾きながら歌う姿は不思議なインパクトがあります。

歌詞の内容は1980年代においてもどこか古臭く、少しやぼったい感じがぬぐえません。

そんな「帰ってこいよ」が、年を跨いでの大ヒットとなったのにはどんな理由があるのでしょうか。

人々の心を虜にし、未だカバーバージョンも歌われるこの曲の歌詞についてみていきましょう。

二人の誓い

きっと帰ってくるんだと
お岩木山で 手を振れば
あの娘は 小さくうなずいた
茜の空で誓った恋を
東京ぐらしで 忘れたか
帰ってこいよ 帰ってこいよ 帰ってこいよ

出典: 帰ってこいよ/作詞:平山忠夫 作曲:一代のぼる

「帰ってこいよ」という歌にはどんな背景があるのでしょうか。

どんな二人の物語なのでしょうか。

歌詞から読み説いていきましょう。

待つ人と行く人と

「帰って来いよ」の主人公が見送るお相手は女性のようです。

従って、主人公は男性。

東京という都会へ出ていく恋人を見送る男性の姿が浮かびます。

女性は、進学若しくは就職で東京に行くのでしょうか。

もしかしたら、何かしら夢を持って上京するのかもしれません。

その先にあることはわかりませんが、何かしらウキウキした気持ちで出かける女性。

そしてそれを見送る男性というイメージでしょうか。

「きっと帰ってきてね。」

そう言った男性の言葉にかすかにうなずいた恋人。

見送る側はそのかすかな同意に希望を持ち、信じて待つのでしょう。

一方、見送られる側は優しい故郷と、優しい男性に後ろ髪を引かれながら。。

その目には今からやってくる未来ばかりがチラついていたのではないでしょうか。

都会への想い

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この歌の出だしから、主人公の男性と、見送られる女性との間には溝が感じられます。

都会へ出ていくというのは何かしら目的があってのこと。

その目的が何であれ、見送るときには笑顔で送り出すことが一般的でしょう。

主人公の男性は、恋人に都会に行って欲しくないと思っているようです。

できれば、この場所にいて自分と一緒にいて欲しい。

そんな想いでしょうか。

その想いを充分に知りながら、東京に行く女性。

その理由は、自分の意志である場合や、抗えぬ人生の定めによるものなど。

それは計り知れません。

もしかしたら、都会に行くことは、女性自身が望んだことではないかもしれません。

理由はともあれ、彼女が都会に行くことを憂う男性。

そして、躊躇いながらも新しい運命に身を任せようとする女性。

二人の心に大きな隔たりを感じます

茜の空の向こう

二人が恋を誓った茜の空の向こう側

そこにはどんなことが待ち受けているのでしょうか。

都会の風景は

お岩木山、茜の空という言葉にはどこか牧歌的な雰囲気があります。

故郷、田舎のもつ暖かで優しい思いが感じられるようです。

茜の空の向こうに続く都会の空の元へ彼女は出ていきました。

茜の空の下とは反対に、一度飲み込まれるともう探すことができなくなる

都会にはそんなイメージがあります。

見送る側の主人公は、そんな都会に彼女を行かせたくありません。

彼女の方は。

優しい故郷や主人公のこと。

そして茜の空のこと。

それらは、東京ぐらしが一日、また一日と重なる度に。

ゆっくりとはがれるように、遠いものになっていくのかもしれません。

思い出は