あいみょん
幅広い層に刺さる歌詞
新世代のシンガーソングライターとして圧倒的な人気を誇るあいみょん。
若者の気持ちの代弁者でありながら、どこか懐かしさを感じさせる歌詞とメロディを持っているのが特徴です。
そのストレートで飾らない歌は同世代の若者だけではなく幅広い層のハートを鷲掴みにしています。
あいみょんが曲で描き出す心情や情景が普遍的なものであることも幅広い層に愛される要因でしょう。
多くのタイアップ曲
あいみょんの楽曲には聴き手の頭の中に景色や風景を思い浮かばせる力があります。
共感できるワードや比喩表現を巧みに操り、心情や情景を切り取り歌にする力です。
あいみょんはその情景描写に長けた作詞センスを発揮し、ドラマや映画の主題歌も多く書き下ろしています。
【生きていたんだよな】、【裸の心】、【愛を知るまでは】などがドラマ主題歌として起用されました。
映画『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』では楽曲提供も行っています。
さらにアニメ映画『あした世界が終わるとしても』では主題歌と挿入歌の2曲を書き下ろしました。
その情景描写能力は実写作品に留まらずアニメ作品の世界観でも見事に発揮されています。
この記事でご紹介する【葵】もアニメーション映画のために書き下ろされた楽曲です。
【葵】
シングル【空の青さを知る人よ】カップリング曲
【葵】はシングル【空の青さを知る人よ】のカップリング曲、B面曲です。
【空の青さを知る人よ】はメジャー9枚目のシングルとして2019年10月にリリースされました。
このシングルのA面B面の2曲ともがアニメ映画『空の青さを知る人よ』のために書き下ろされた楽曲です。
アニメ映画『空の青さを知る人よ』エンディングテーマ
『空の青さを知る人よ』は2019年10月に公開されたCloverWorks制作のアニメーション映画です。
監督は『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』で知られる長井龍雪が手がけています。
舞台は秩父市の山あいにあるとある町。
主人公の高校生「あおい」、その年の離れた姉「あかね」、「あかね」の同級生でギタリストの「慎之介」。
3人の主要人物を軸に13年という時の流れの中で変わってしまったものと変わらないものを描いた恋愛作品です。
あいみょんはこの作品の世界観に寄り添い、主題歌として【空の青さを知る人よ】を書き下ろしました。
そしてもう1曲、エンディングテーマとして書き下ろしたのが【葵】です。
主人公「あおい」目線で歌われた楽曲
「あかね」と「慎之介」は学生時代恋人同士でした。
卒業後「慎之介」はギタリストを目指し上京、しかし「あかね」はついては行かず離れ離れに。
「あかね」は両親を事故で亡くし、幼い妹の「あおい」を養うために地元で働く道を選んだのです。
その別れから13年後が物語の舞台。
「あおい」は高校生、「あかね」と「慎之介」は31歳になっています。
「慎之介」は大御所演歌歌手のバックバンドとして13年ぶりに地元に帰ってきました。
夢見て上京したもののバックバンドに落ち着いてしまっている現状に「慎之介」はやさぐれてしまっています。
しかし一度は東京でソロデビューを果たしたことがありました。
そのソロシングルに収録されていたのが【空の青さを知る人よ】であるという設定です。
つまり主題歌の【空の青さを知る人よ】は「慎之介」目線で物語の世界観を歌った楽曲となっています。
対してエンディングテーマの【葵】はタイトル通り「あおい」目線で書かれた楽曲です。
両曲とも非常に作品と密接に書かれており、歌詞を紐解く上で作品の世界観は無視できません。
なのでこの記事では作品のストーリーに触れつつ【葵】の歌詞を考察していきたいと思います。