Huw…シャツの背中 風が抜けてはふくらんだ
くすぐったそうに振り向いた あなたを観てたら
すごくいいこと思いついた 聞いてね
出典: 時間旅行/作詞:吉田美和 作曲:吉田美和,中村正人
少し緩いシャツを着ていると起こりうる光景ですね。
真っ直ぐだった背中は風船を入れたみたいに丸くなり、すぐに空気を失ってしぼみます。
その度に彼は眩しそうな笑顔で笑うのでしょう。
彼女から見れば、彼の笑顔は太陽よりも宝石よりも何よりも強い輝きを放っているのです。
背中の丸み、彼の笑顔。繰り返されるその様子を眺めていた彼女は、何を想起したのでしょうか。
宇宙の奇跡がくれるもの
指輪をくれる? ひとつだけ 2012年の
金環食まで待ってるから とびきりのやつを
出典: 時間旅行/作詞:吉田美和 作曲:吉田美和,中村正人
彼の様子を見ていた彼女の頭をよぎったのは「指輪」でした。
確かに、丸いものの先に輝きを放つもの。指輪に見えますね。
でも彼女が欲しいのは、ジュエリーショップのショーケースに並ぶ指輪ではありません。
市販の指輪なら、それなりの金額を支払えば誰でも、いつでも買うことができます。
そこに彼女は価値を見出していませんし、お金をかけてまで欲しいとは思っていないのです。
彼女が欲しいのは、2012年の天体ショーで見られる指輪。そう、金環日食です。
この日食(観測地域により金環日食あるいは部分日食)は、中国南部、日本列島、太平洋、アメリカ合衆国西部などで、現地時間の2012年5月20日あるいは21日に観測された。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/2012年5月20日の日食
この曲のリリースが1990年ですから、22年後の金環日食について歌っていることになります。
太陽がなければ見られない日食。もしも悪天候で太陽が出ていなければ観測することはできません。
もちろん日本の天気が悪くても世界のどこかで見ることはできるでしょう。
しかしこの歌詞からは「どこかしらで日食が見られるから」というアバウトさを感じません。
彼女は、2012年の金環日食が目の前で見られる奇跡を信じていたのではないでしょうか。
22年後まで二人の仲が続いていれば、必ず二人は金環日食を目にできるであろうと信じているのです。
天気予報が味方をした!
忘れないでね
そうよ 太陽の指輪(リング)
出典: 時間旅行/作詞:吉田美和 作曲:吉田美和,中村正人
2012年5月21日、日本の広い範囲で金環日食や部分日食が観測されました。
しかも、ちょっとした奇跡が起きていたのです。
当日は日本の広い範囲で曇りとなるとの天気予報が出ていたが、東京では雲の合間から金環日食が観測されるなど、多くの地点で金環日食や部分日食が観測された。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/2012年5月20日の日食
天気が悪く、金環日食がはっきりと見えないのではないかと予想されていたのです。
しかし雲の存在をものともせず、輝く金環が全国的に観測されました。
彼女が願った奇跡に奇跡が重なった瞬間です。
彼は彼女に22年後の天体ショーの話をされ、正直「いやいや、確実に見られるとは限らないだろう」と思ったかもしれません。
それでも彼女のお願いですから、22年間忘れなかったはずです。
きっと2012年の5月21日に二人は空を見上げたのでしょう。
太陽の指輪は現実のものに
歌詞の中に2012年の金環日食の事が書かれている。
2012年5月には13日に大阪、20日に東京でライブ「みんなで金環食する?LIVE 2012 〜CREATE THE FUTURE〜」が開催された。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/WONDER_3
日食の前日に行われたライブでは、FUZZY CONTROLのJUONとの入籍をファンに報告した吉田美和。
まさに2012年、太陽の指輪を吉田美和自身が受け取ったことになります。
22年前に書いた歌詞をそのままなぞるようなことが起きるなんて、誰も予想していなかったはずです。
太陽の指輪はすぐに消えてしまいますが、二人の瞳には強く焼き付いたことでしょう。
彼女にとって人生最大、「とびきり」の指輪になりました。
想いを100%伝えるすべがない
どうすれば伝えられる? こんな気持ちを
どうしたら伝えられる? 愛してるって…
出典: 時間旅行/作詞:吉田美和 作曲:吉田美和,中村正人