記憶の奥底に眠る懐かしい風景たち
思い浮かぶのは 故郷のことばかり
淡い茜色 本当の優しさ
ストーブの匂い 春の澄んだ青空
カエルの声 虫の音
夕方5時の帰り道のサイレンも あの約束も
忘れないことばかり
出典: RED/作詞:横山優也 作曲:横山優也
都会の喧騒の中で悲しい時、辛い時。
そんな時ほど、自分を送り出してくれた故郷を想った時はありませんか。
懐かしい人の声に、夢を諦めてもう帰りたいと思った事。
別れ際に貰ったメッセージを見て、もう一度だけ頑張ってみようと思った事。
都会に出てきた人々は誰しも、そんな思いを経験したことがあると思います。
KOTORIのボーカルを務める横山優也。
彼も大学進学を機に、故郷の宮崎から東京に進出し音楽を始めた人間の1人です。
この歌詞に並ぶのは、そんな彼の記憶の隅に眠る故郷の風景なのでしょう。
ですが彼だけでなく、この風景はきっと多くの人の記憶に共通して眠っている光景なのではないでしょうか。
春の日の穏やかな太陽の光。
夏の熱気を含んだ風に乗って届く青草の匂い。
秋の冷たさを帯びた風と、夕陽に長く伸びた影。
しんとした冬の真夜中の静寂。
都会に住んでなお、そんなふとした季節の変わり目に私たちは故郷を思い出します。
忘れたくても忘れられない光景ばかりが、そこには残っているのです。
いつだって今に繋がっている
僕はまだ あの日のまま
あの日のまま あの日のまま
変わらない 変われない
変わらずに故郷を思うよ
出典: RED/作詞:横山優也 作曲:横山優也
都会を夢見て故郷を後にした日も。
憧れの街で生活を始めたあの日も。
忙しい日々の中で自分を見失いそうになった日も。
この街に来てよかったと心から思えた日も。
いつだって自分の心も記憶も変わらないのです。
なぜなら今の自分が経っている場所は、これまでの自分が歩いてきたからこそ辿り着けた場所だから。
都会での苦しい暮らしも、懐かしい故郷の景色も、全て今を生きる自分の軌跡なのです。
それでも、故郷にはもう帰らない
過去と今を繋ぐ【RED】に燃える夕日
泣きそうになるくらい 真っ赤な夕日を見たよ
ここじゃなきゃ叶えられない 夢があるんだ
僕はもう戻れない 真っ赤な夕日を見ると
もう少し歌を 歌っていたいと思うから
出典: RED/作詞:横山優也 作曲:横山優也
彼の見た真っ赤な夕日は、都会に立ち並ぶビルの隙間から見えたものでしょう。
しかしその夕日は故郷の広い大地で見た夕日と全く同じ色をしていました。
夕日を見ると全てを思い出すのです。
懐かしい故郷の光景も、都会に憧れ夢を見続けた日々も。
故郷に帰りたいと負けそうになった日々も、ここまできてよかったと思った特別な1日も。
夕日を見て、それを歌う彼の歌を聴いて、郷愁の想いに駆られるのはきっと彼だけではありません。
故郷を離れ夢に向かって走る、多くの人々がきっとそうであるように。
辛くても苦しくても、故郷には帰れないのです。
この街で走り続ける楽しさを知ってしまったから。
この街で戦い続けることでしか、得られない景色があると知ってしまったから。
今日も多くの人が、故郷から遠く離れた街で夢に向かって走り続けています。
夕日と共に聴こえた懐かしいメロディ
夕方5時の帰り道のサイレンも あの約束も
忘れないことばかり 僕はまだ
出典: RED/作詞:横山優也 作曲:横山優也
夕日で赤く染まった景色と共に思い出すのは、決まって17時に響き渡る懐かしいメロディ。
そのメロディは『早くお家に帰っておいで』の合図です。
けれど、まだ故郷に帰るわけにはいかないのです。
この街で叶えたい夢が、まだたくさん残っているから。