偶然の巡り合いが育んだ愛
たとえば 出会わなかったら 今頃どこで何してたかな
想像してみるだけで 鼻の奥がツンとなるんだよ
出典: 月食 ~winter moon~/作詞:miwa 作曲:miwa
この曲の歌詞は女性から男性へ宛てたものであり、他の誰かに自慢している訳ではないです。
のろけているのかなとか哀しい感想を持たないでください。
それにしても熱い気持ちを素直にいえるというのは素晴らしいことです。
運命の人と出逢ったという経験は多くの人に共有されることでしょう。
しかしその運命の人と今もまだお付き合いできている人は少ないかもしれません。
今は家庭を築いて平穏に過ごしている人でもパートナーが運命の人であるかどうかは別のお話です。
このカップルはかなり幸せなふたりでしょう。
運命や宿命と人との関係は偶然に任されることと必然によるものとに分けられます。
この主人公の女性は出逢いは偶然によるものと認識している側面があるのです。
偶然の巡り合いだからこそ貴重なもので大切にしていきたいと願っているよう。
いずれにしても出逢いというものはどこまでも大切にしたいものです。
毎日が奇跡
感性を磨くレッスン
きっとこうして ありふれた毎日
いとおしいくらい 特別な時間に変わる
出典: 月食 ~winter moon~/作詞:miwa 作曲:miwa
ふたりが一緒にいられるならば毎日が奇跡という思いを明かします。
実際にひとりの人間にとって運命の人に巡り会えたことは何万分の1かの奇跡です。
その運命の人と別れることもなくうまくやっていけることはさらに輪をかけた奇跡でしょう。
日常感覚に溺れてその奇跡に気付かなくなるのが普通のことかもしれません。
この歌の主人公のように毎日に感謝できる感性を磨いていけたなら日々は輝き出すでしょう。
肉感的な愛の裏付け
愛とは現実で知るもの
そばにいたいと思える人がそばにいる
何も言わずに ただぎゅっと 抱きしめたい
たしかめたいの あなたのぬくもりを
出典: 月食 ~winter moon~/作詞:miwa 作曲:miwa
2回目のサビです。
この歌詞では珍しく肉感的な愛が歌われます。
ハグをされるなど相手の体温を感じていたいという愛情表現が描かれます。
愛を観念的に捉えてしまうと恋愛関係はバランスを失って破局することが多いです。
文豪・夏目漱石の小説での愛の把握なども観念的だと指摘されています。
観念的な愛の捉え方しかしないために夏目漱石の文学では愛が破綻するのです。
一方で肉体的な裏付けのある愛はより強いもの。
恋愛相手を生身の身体で受け入れられる愛は現実的なものなのです。
自分の勝手な観念の中に相手を理想化するよりもよほど理に適っています。
月食の夜に負けない
見事なタイトル回収
もっと同じ景色見ていたい
涙出るほど 笑いあいたい
月から光が消えたとしても
大切なかけがえのない日々
あなたを愛して こんなに強くなれた
出典: 月食 ~winter moon~/作詞:miwa 作曲:miwa
月が綺麗だといいながら初めて手をつないだふたり。
今はたとえ月の光がなくなってもふたりでやっていけるだけの強さを育んだと彼女はいいます。
「月食 ~winter moon~」のタイトル回収です。
制作期間中の2014年10月8日に観測された皆既月食に触発されて書いた歌詞になります。
winter moon=冬の月ではなく、秋の月だったようです。
日本での皆既月食は2021年5月26日、2022年11月8日などに起こるよう。
晴れた空だといいです。
月食と違い日食は禍事と捉える風潮があります。
月食についてはそうした心配はないようです。
それでも普段見かけている月に何かしらの変化があることは何か特別な報せのように感じるもの。
特にふたりが初めて手をつないだ日に見た月が綺麗なものであったこと。
その月が完全に光を失くす瞬間には様々な想いを抱くでしょう。
月は自ら光を放っている恒星ではないのですが、それでも皆既月食というイベントは特別なものです。
そんな特別なイベントにも左右されない強い気持ちはとても大切なもの。
ふたりが培ってきた愛の強さや逞しさを感じさせます。
冒頭に伏線を張ってクライマックス寸前にこの歌詞を配置したmiwaの詩才は素晴らしいです。