1つ前の歌詞で読み取ったように、男性は主人公に対し、自分が1番に選ばれていることを望んでいます。

その想いの強さがここで描かれていますね。

生半可な気持ちなら関わるのをやめて欲しい…。

それくらい本気でぶつかってきているのでしょう。

また序盤の歌詞では男性の一人称は"僕"と漢字で表記されていました。

ですがここでは"ぼく"とひらがなに変化しています。

これが漢字の堅い印象とひらがなの柔らかい印象を使い分けているのだとしたら、心を開きつつある証拠のように思えます。

出会った当初は少し心を閉ざし気味だったけれど次第にほだされて心のドアを開きはじめた…。

そんなイメージです。

そしてより一層主人公の女性に愛を注ぎたいという気持ちが強まったからだと感じます。

歌い出しからこのパートに至るまでに男性の心情に変化があったことがここでわかりますね。

これからのこと

2人の未来

生きてるって危なっかしくて
どのみち擦り減って傷つけあうどうし
花が舞おうと慈しみあっていたい

出典: 命の帳/作詞:椎名林檎 作曲:伊澤一葉

主人公の女性に対する男性の扱いがこれからどのように変わるかわかりません。

もしかしたらお互いを傷つけてしまう日がくる可能性もあります。

または傷ついたもの同士で慰め合う様子が描かれているようにも思える一節です。

マッチングアプリで出会った人と、これからどうなるのか…という心理もここに反映されているように思えます。

しかしそれでも愛情をもって相手と向き合いたいという心もあるようです。

「花=愛」ならばここでは愛が消えゆくことを表現しているのでしょう。

男女の関係の儚さを物語っている歌詞になっています。

改めて描かれる、男性の想いの強さ

今あなたへ触れる指は
宇宙いちと伝えてるよ

出典: 命の帳/作詞:椎名林檎 作曲:伊澤一葉

主人公に対して限りない愛情を注いでいきたいという想いが明かされています。

男性の主人公に対する想いの強さがとてもわかりやすく表現されている部分ですね。

優しさや温かみを感じるフレーズにより、女性を繊細なガラスのように扱っていることもわかります。

またあえて"いち"とひらがなを使っているのもポイントです。

途中の歌詞にもあったように、自分を1番に選んでほしいと願う心がここにも反映されています。

そして自分だけのあなたでいてほしいと思う気持ちも重ね合わせているでしょう。

ナンバーワンの意味とオンリーワンの意味を両方もった"いち"なのだと推測できます。

紆余曲折あった2人の関係が徐々に強いものに変わっていく様子が歌詞からも読み取れますね。

傷つくことを恐れずに触れ合う理由

「命の帳」の歌詞には女性の一人称は登場せず、男性視点での男女のストーリーが描かれていました。

そしてその中では傷つけあうようになってしまう未来が訪れるかもしれないということも示されています。

それでも肌を重ね合わせる理由は、今の2人の関係を信じて大切にしたいからなのではないでしょうか。

もちろん誰かの1番になれるのならばそんな幸せなことはありません。

たくさんの人の中から選ばれて信頼関係を構築していく難しさを2人は知っています。

だからこそより多くを相手に求めてしまうのでしょう。

2人でいられるわずかな時間だけでも慈しみあっていたいという想いもあります。

別れてしまういつかの話よりも、触れ合うことができる今を大切にする方がずっと幸せなのかもしれません。

男女が出会い、交わることの本質はお互いが愛情を注ぎ慈しみあうことなのでしょう。

そしてマッチングアプリが出会いの主流になった現代においても、その本質は変わらないことを示しているように思います。

最後に

東京事変【命の帳】歌詞の意味を考察!傷つくことを予感しながら触れ合う理由は?束の間の慈しみを読み解くの画像

いかがでしたか?

今回は「命の帳」の歌詞の内容について解説いたしました。

作詞を担当した椎名林檎の言葉の選び方、ワードセンスには毎回驚かされます。

東京事変ドラマ主題歌を担当するのはこの楽曲が初めてだそうです。

ドラマの世界観を取り込みながらも、椎名林檎ワールドが満載の楽曲となっていました。

最後に東京事変を含め、椎名林檎のセンスが溢れるおすすめ楽曲を紹介いたします。

東京事変「透明人間」

2012年、一度東京事変としての活動は幕を閉じました。

そのライブのアンコールにて演奏されたのが「透明人間」です。

それからもこの曲は愛され、2018年にはCM曲にも抜擢されるほど人気でした。

2020年に東京事変が再始動してからもなお、ファンから愛され続けている楽曲となっています。

こちらの記事で歌詞の意味を詳しく解説していますのでご覧ください。

「透明人間」がライオンのCM曲として起用され、解散してなお、東京事変のカリスマ性にはハッとさせられるばかり。ライブの締めの曲としても人気が高かった「透明人間」の歌詞に注目します!「透明人間」って、誰のこと?

椎名林檎「丸ノ内サディスティック」