バンド初期から愛される狂気を孕む1曲
圧巻のライブパフォーマンスは必見!
メンバー4人の独特な佇まいが熱狂的な支持を得ているバンド、女王蜂。
今回ご紹介するのは、そんな彼女たちによる楽曲【告げ口】です。
現在流通されている女王蜂の作品の中では、最も古いアルバム「孔雀」に収録されているこの曲。
ピアノとドラムによる不穏なサウンドからイントロは始まります。
ボーカル・アヴちゃんの女声と男声を織り交ぜた唯一無二の声色が描くのは、とある少女の怒りの衝動。
実際の演奏となるライブでは、緊張感を帯びたこの曲のステージングはまさに圧巻の一言です。
幼い子どもが持つ、純粋故に鋭く狂気を帯びた憤怒と憎悪。
彼女たちの抑えきれない感情の矛先は、一体どこに向かうのでしょうか。
バンドでセルフアレンジしてるってホント?
最も古いアルバムに収録されている楽曲ながら、今現在も女王蜂のライブでは非常によく演奏されるこの曲。
それだけ彼女たちにとっても、愛着の深い1曲となっているのでしょう。
実は2019年発売のシングル【火炎(FIRE)】には、この【告げ口】のセルフアレンジも収録されています。
曲タイトルが【あややこやや】に変わった為、気づかなかったという方もいるかもしれませんね。
原曲の【告げ口】に、少しだけ歌詞が付け足されているこの【あややこやや】。
曲の変化や内容が気になる方は、ぜひ聴き比べもして頂ければと思います。
それではここから、その原曲となる【告げ口】の歌詞の内容を紐解いていきましょう。
早速歌詞をチェックしよう
1人の少女を取り巻く、小学校ではよくある光景
あややこやや 先生に言ったろ
あややこやや 先生に言ったろ
掃除サボってランドセル
隠してあの子をいじめてる
あややこやや 先生に言ったろ
クラスで飼ってる動物に
何度も餌をやっている
出典: 告げ口/作詞:薔薇園アヴ様 作曲:薔薇園アヴ様
学校に通う、どこにでもいる1人の普通の少女。
ですが彼女は、きっととても正義感の強い子なのでしょう。
皆さんも小学生の頃、こんな女の子がクラスに1人はいませんでしたか?
あるいはもしかしたら、自分はこんな少女だったと思う人もいるかもしれません。
同じクラスの、特に男子がいけないことをしていると一目散に先生に報告するのです。
どこか懐かしさを感じるような、不思議なメロディに乗せて。
掃除の時間、真面目に取り組むいじめられっ子のランドセルや筆箱を隠したり。
1日1回とクラスで決めた約束を破って、教室で買っている金魚にたくさんエサを上げたり。
なぜ彼らは決められた約束を破ったり、自分の仕事をさぼったり、弱いもの苛めをするのでしょう。
彼女にとってはそれが理解できません。
自分が理解できないような振舞いを好き勝手にする彼らが、彼女はとても腹立たしいのです。
そして彼女はそれを見つけて先生に報告すると、自分が褒められるということも知っているのです。
正義を信じている彼女の告げ口とは
あややこやや 先生に言ったろ
先生あんな男子はな
アホみたいにムズムズしながら
高架下落ちていたアカン雑誌に発情してる
せやからな あたしらな
ほんとのことを教えてあげてん
あんたらのお母さん 夜な夜な一人でこんなんしてるで
出典: 告げ口/作詞:薔薇園アヴ様 作曲:薔薇園アヴ様
とある日の学校からの帰り道。
彼女は高架下に群がる同じクラスの男子の姿を見つけました。
その話を翌日、友達を引き連れて意気揚々と先生に報告するのです。
またいつものように、先生は自分を褒めてくれると思ったから。
自分と同じように、この教室の正義である先生は、彼らのことを怒ってくれると思ったから。
いつも腹立たしいクラスメイトに、ショックを与えたい。
いつも悪いことをしている彼らを、懲らしめたい。
彼女の発言からは、きっとそんな憎悪や悪意が滲み出ていたのでしょう。
昨日の出来事を報告する彼女の表情に、先生は一抹の不安を覚えたのです。
クラスメイトが耳を塞ぎたくなるような現実を突きつけた少女。
まだ年端も行かぬ彼女は、どこでその現実を知ってしまったのでしょうか。
その話をクラスメイトに語る彼女は、一体どんな顔をしていたのでしょうか。
純粋な彼女の正義は加速して
哀れみと痛みを得て大きくなる彼女の怒り
あややこやや 先生に言ったろ
寂しいなあ 怖いなあ
一人で居るのは辛いなあ
あややこやや 先生に言ったろ
あかん
出典: 告げ口/作詞:薔薇園アヴ様 作曲:薔薇園アヴ様