続いて2番です。
ここではサビに出てくる「青いメロディー」という言葉が謎めいています。
どんなメロディーなのでしょうか。
音楽の話?
あっという間に僕ら
こんな時代まで辿り着いていたよ
たまの晴れ間のその瞬間だけ
君を思い出して
出典: 月色ホライズン/作詞:川上洋平 作曲:川上洋平
少し飛躍しますが、サビに出てくる「メロディー」が音楽用語なので…。
音楽やロックの進化を語っているのでは?と解釈することもできます。
過去の音楽やロックを振り返ってリスペクトしているイメージです。
自分たちらしい音楽
蜃気楼のままで未来描けたら
どれだけ楽に過去を消せるだろう
それでも僕らが 此処に在るのなら
ためらいは捨て 居場所はここって
言い切るよ
出典: 月色ホライズン/作詞:川上洋平 作曲:川上洋平
見えても実体がない幻、「蜃気楼」。
透明人間にでもなって夢を抱けたら過去の苦い思い出も忘れられるのに…。
一般的な解釈はこんな感じでしょう。
しかし人間には肉体があり、魂だけの幻にはなれません。
せっかく生きているのだから「たしかにここに存在する」と胸を張ろう!そんなニュアンスです。
そして音楽について語っているのでは?という深読みバージョンだと…。
現実というしがらみのない無心な状態で音楽を作れたら、過去の音楽を超えるのも簡単なのに…。
しかしそうもいかないので「迷わず自分たちらしい音楽を作る!」と解釈することもできます。
あのメロディー?
僕らには いつまでも
青いメロディーが鳴っているの、いるの
Just let it go out tonight
(それを全部出してしまおう)
心が歌っていく
出典: 月色ホライズン/作詞:川上洋平 作曲:川上洋平
「青い~」とは「若い旋律」。
どんなに歳を重ねても僕らには若い躍動感がみなぎっている…といった意味でしょう。
ここで思い出したいのは「月色ホライズン」がアクエリアスのCMソングだということ。
スピッツやユニコーン、RADWIMPS、Mr.Childrenなど、様々なアーティストが同CM曲を担当してきました。
様々なメロディーが浮かんだことでしょう。
そのなかでも「自分たちらしい音楽を奏でる!」、そんな川上洋平さんの声が聞こえてくるようです。
大人になるとは?
大人には いつまでも
なりたくないと思っていたけど
Well maybe it's not so bad
(そんなに悪くないかもな)
心が巣立っていく
出典: 月色ホライズン/作詞:川上洋平 作曲:川上洋平
2番ではサビが2回繰り返されます。
実はこれこそが大人になった証なのでは?というのが音楽的解釈です。
「月色ホライズン」は「Aメロ+Bメロ+Cメロ(サビ)」という一般的なJ-POPの構成です。
ただ、メロディーだけでもセクションごとに「それぞれ別の曲?」というほどの違いがあります。
- Aメロ:裏打ちで跳ねる歌い方
- Bメロ:粘る歌い方
- Cメロ:王道の歌モノ
とくにAメロはブラックミュージックのグルーヴを感じるでしょう。
跳ねすぎて、歌なのにまるでベースやドラムが刻むビートのようです。
一般的には歌いにくいので、日本ではなかなか幅広く受け入れられません。
ただ、ロック好き・音楽好きにはたまらないメロディーでしょう。
思いっきり跳ねたあとに、粘る歌い方が続くところも遊び心満点。
ロックミュージシャンらしい音遊びを存分に取り入れたうえで、サビへとつながります。
ロックとJ-POP
J-POPらしい美しい旋律。
これは本来ロックと矛盾しがちです。
ところが「ロックとJ-POP」を1曲の中に混ぜ合わせたのがドロスの居場所。
バンドは大人になったわけです。
ただ急激なハイトーンボイスなど王道のサビにもロック魂が見られます。
これこそが自分たちらしさ。
「青いメロディー」なのでしょう。