ニコニコ動画から飛び出したハチ:米津玄師


デビュー前からすでに大人気のシンガーソングライター

独特のリズム、不協和音を使いこなすカッコいいロックサウンドや、緊迫感をあおる様なエレクトロサウンドなどで注目を浴びる米津玄師

最初は、ニコニコ動画に「ハチ」という名前で楽曲を発表していました。オリジナリティー溢れるサウンドに、クールで難解な歌詞がマッチしてあっという間に人気プロデューサーへとのしあがっていきました。

「マトリョシカ」「パンダヒーロー」など発表された楽曲は軒並みミリオン再生を超えるヒット、サイト上では総再生数2000万回を超え、世界からも注目を浴びました。

ハチの時には、ボーカロイドを使っていたのですが、2013年に自らの声を使ってメジャーデビュー

その伝説の幕開けとなったのが今回ご紹介する「diorama」です。

米津玄師「diorama」

【米津玄師のCD+DVD】『diorama』の収録曲と歌詞解説♪の画像

2012年5月16日にリリースした1stアルバム

「diorama」は、箱庭的な仮想の街をコンセプトに作られました。描かれる歌詞は孤独と虚無感が漂う街に、入り込み過ぎず離れ過ぎずの距離感で描かれているので、とても心地いいんです。

曲は街の住人の物語でできており、米津玄師らしい独自な視点で描かれています。

本人曰く、あまりコミュニケーションが得意ではなく、他人との間に分かり合えない距離があるという諦め、それでも分かり合えたらいいのになという希望などが反映されています。

全曲新曲で挑む本気が伝わるアルバム

もともとハチとして人気があるのですから、「ハチ」時代に作った人気楽曲米津玄師として歌い収録していれば売上の安定が見込めますよね。アーティストのアルバムにはたいていタイアップ曲や有名作が一つくらいは入っているものです。

しかし、この1stアルバムはすべてが新曲。さらには、ボーカロイドを使わず自らの声で発表したのです。

「ボーカロイドを隠れ蓑にしたくない」という本気が伝わってきます。生の声といってもまだエフェクターを使って多少加工はされていますが、BUMP OF CHICKENRADWIMPSのボーカルを彷彿とさせる声が魅力的です!

過去ではなく、未来をに向けたアルバムと言えますね。

そんな「diorama」のアルバム収録曲はこちらです。

1. 街
2. ゴーゴー幽霊船
3. 駄菓子屋商売
4. caribou
5. あめふり婦人
6. ディスコバルーン
7. vivi
8. トイパトリオット
9. 恋と病熱
10. Black Sheep
11. 乾涸びたバスひとつ
12. 首なし閑古鳥
13. 心像放映
14. 抄本

出典: https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0721VSYQ5/techfactory06-22

「diorama」はCDのみとCD+DVD盤の2形態があり、DVDには9曲目に収録されている「恋と病熱」のMVが収録されています。

このアニメーションは、米津玄師がメンバーの一人である南方研究所が作成しました。

人気の2曲の歌詞解説♪

#2「ゴーゴー幽霊船」

まずご紹介するのが、米津玄師らしい難解な歌詞が特徴の「ゴーゴー幽霊船」です。あまりにも難解すぎて、解釈も多々あるのですが、私なりに解説したいと思います。

UKロックを感じさせる言葉の流れが気持ちのいい楽曲で、読書が好きな米津玄師だからこその表現が散らばっていますね。

歌詞だけではわかりにくいところも、米津玄師が描いたイラスト付きのPVを見ながら観てみるとわかりやすいかもしれませんよ。

ちょっと病弱なセブンティーン
枯れたインクとペンで絵を描いて
継いで接いでまたマザーグース
夜は何度も泣いてまた明日

回る発条のアンドロイド
僕の声と頭はがらんどう
いつも最低な気分さ
君に愛されたいと願っていたい

出典: https://twitter.com/E_class_of_END/status/909584722887458817

物語の主人公は、幼い頃からずっと病気のために一人で過ごしてきた17歳の少女。

「マザーグース」は、子供が歌う童謡であり、また新品ではなく枯れたインクとペンという表現からは、長い時間、遊ぶ友達もおらず孤独を感じながら生きてきたことが分かりますね。

そして、TVをかぶったようなアンドロイドが登場します。彼は見た目からして人間ではありません。

様々な世間の意見を映し反映するけれど、その声や頭には意思がない、そういう存在のことを示しているようですね。