クリープハイプ『世界観』アルバム全収録曲歌詞解説！⑤鬼（おに）

しっとりとしたバラード、 「僕は君の答えになりたいな」の次に流れるのは、 エッジの効いたギターのイントロから始まる、「鬼」です。 この曲は、日本テレビ系ドラマ【そして、誰もいなくなった】の為に 書き下ろされた曲です。 怪奇なストーリーがめまぐるしく展開されていくドラマを より一層ハラハラとさせてくれる作品です。 MVは、今まで数多くの楽曲でクリープハイプとタッグを組んできた、 松居大悟監督が手がけています。 この作品は、最もコンセプチュアルなMVとして、 2017年3月7日に開催された、音楽有料チャンネル主催のイベント、 【TOKYO MUSIC ODYSSEY 2017 SPACE SHOWER MUSIC AWARDS】 において、最優秀賞という快挙を成し遂げました！ 「鬼」の歌詞の大部分は、男女の駆け引きと鬼ごっこが掛けてあります。 そんな遊び心満載の歌詞の世界を紐解いていきましょう！

1番のAメロとBメロの部分です。 なんの違和感も感じない普通の同棲中のカップル。 いつもと変わらない優しくて幸せな時間。 帰ってくれば”未来の妻”が笑顔で出迎えてくれる。 しかし、これだけは違っていた。 いつも一緒に寝ているベッドに自分以外の男の寝顔。 ”愛しいあの子”との優しい幸せな時間は、その男の性で 殺伐とした空間に変わってしまいます。 突然の裏切りに、見知らぬ男に腹を立てながら、 混乱していく様を、会話しているかのように 描かれています。 互いに気が動転してパニックになっているように 感じ取れます。

1番のサビの部分です。 完全に彼女のことを見失って 途方にくれている彼氏。 一方で、隠れ潜んで逃げ惑う彼女と男。 この時点で、彼女は彼氏に対して 嫌気が差していっているように感じます。 私は1番の段階ではこのように捉えました。

2番のAメロとBメロの部分です。 ベットに寝ていた男と知り合い、 今まで心の奥に潜めていた、彼氏に対しての気持ちに 我慢の限界が近づいてきます。 それにつれ、彼氏側はどんどん自分を見失い、 自分が何なのかよく解らなくなって、 どうしていいのか解らなくなっていっているように 感じます。

ラスサビの部分です。 今度は、男の方が、 逃げ惑い、彼女に見つけて欲しくて、 隠れ潜んでいるように見えます。 彼女の気持ちに気がついた時には もう遅くて、周りには誰も居ない。 ひとりぼっちの六畳間。 そこにもうひとりの自分が、近づいてくる。 それは慰めなのか、戒めなのか。 私は、後者だと思い、 このように解釈してみました。