この歌詞パートではこの世界の悲しみについて言及しているのだと考えられます。
前述したパートでもどこか主人公のやり切れない想いが滲み出ていました。
この楽曲が発表された時期は、新型コロナ感染症の流行が取り沙汰されていた時期です。
現実に起きている、自分たちでは避けられないどうしようもないような状況に心がかき乱されているのでしょう。
そんな複雑な感情をどうにか消化して前に進んでいくための方法。
それを彼はここで提示しているのでしょう。
お互いに支え合う
行方もない想いが 灰になる前に
手を取りたいだけ 無邪気なままで
出典: HOPE/作詞:河原太朗 作曲:河原太朗
具体的にそのための方法が記されているのがこちらの歌詞パートです。
全ての気持ちが消えて無くなってしまえば私たちの中には無だけが残ります。
現状に麻痺してしまって悲しみや痛みさえも感じなくなってしまうことが本当の絶望だといえるでしょう。
彼は世界がそんな状態になることを避けたいと考えています。
私たちに必要なのは気持ちをお互いに共有して支え合うこと。
彼はこのパートでそういいたいのではないでしょうか。
愛を選ぶ意味とは
神さま ご機嫌いかが
嘘 誠 選ぶなら愛か
どちらにせよ愛か
出典: HOPE/作詞:河原太朗 作曲:河原太朗
ここで主人公が神に対して問うている言葉には一体どのような意味を持っているのでしょうか。
ここで彼は愛について言及しています。
愛というものが真実であるのか、それとも虚偽であるのか。
この問いには現実という世界において、皆が口々に言う愛という言葉に対しての主人公の想いが透けて見えます。
彼にとっては、愛という言葉を心から信用している訳ではないのでしょう。
暖かで優しい響きを持つその言葉にも、もしかしたら偽りが含まれているかもしれない。
その疑念を拭い切れずにいるのでしょう。
しかしその存在が現実において、大きな意味を持つことは疑いようのないこと。
愛というものが真実であろうと嘘であろうと私たちにとって大切なことは変わらないのです。
だからこそ彼は愛を選び取るというのでしょう。
この世界の悲しみに対して抵抗できる手段として、彼は愛というものを信じてみようと考えているのではないでしょうか。
楽曲に込めた「希望」
主人公の想い
声が掠れても 目が霞むとしても
しくじったとしても 希望が消えても
四六時中いつも 変わらぬ心
流されないまま 漂っていたいだけさ
出典: HOPE/作詞:河原太朗 作曲:河原太朗
このパートは主人公の決意とも取れる言葉が並んでいます。
特に彼の意志が垣間見えるのが3〜4行目の歌詞です。
今の世界の状況に絶望したくないし、世界が明るくなることを諦めたくないという彼の気持ちが感じ取れます。
1〜2行目では自身がどんな状況に陥ろうとも、その意志を曲げないという想いを伝えたいのでしょう。
そして彼はそんな想いを周りに流されることで失くしたくないと考えているようです。
世界がもし絶望に沈んだとしても、ただ自分の思うがままに生きていく。
それは周りを顧みずに自分勝手に生きるということとイコールではありません。
自分の意志を貫くことで世界に対して希望を与えようと考えているのでしょう。
絶望の中でも周囲を明るく照らせるように、自分の気持ちを失わずにいたいという意味でしょう。
今の辛い状況を支え合っていきたいという主人公の想いが伝わってくる歌詞パートです。
TENDRE自身の気持ち
目が霞むとしても
絡まった想いを
行方もない想いを
無邪気な想いを
出典: HOPE/作詞:河原太朗 作曲:河原太朗
TENDREはこの楽曲の最後をこのような歌詞で締めくくっています。
1行目の言葉は自分という存在が傷ついていることを意味しているのではないでしょうか。
もしそうなったとしても自分の想いを届けたい。
世界が不安定になっている中でも、TENDREは自分自身の想いを世界に届けようとしているのでしょう。
自身の想いを周囲に届けるということは、彼にとって同時に周囲を元気づけることでもあるのではないでしょうか。
世界に悲しいことが増えたとしても、音楽家としてこの世界に対してできることをしていきたい。
彼は自分が音楽家であるということに自覚的であるが故に、そう考えているのでしょう。
この楽曲のタイトルが「HOPE」、つまり「希望」を意味していることからもそれが分かります。
彼にとって今まで通り音楽を続けていくことが「希望」を意味しているのでしょう。
この楽曲からは彼にとって音楽で想いを伝えるということが、至上のことであるということが伝わってきます。
そこには無邪気さを始めとした、様々な想いが詰まっているのでしょう。
そしてこの楽曲はそんな彼の意志を表明した楽曲だといえるのではないでしょうか。
世界が厳しい状況であっても、自分の意志を貫いてできることをする。
「HOPE」にはそんな力強い「希望」の形が描かれていました。
まとめ
今回の記事ではTENDREによって発表された楽曲「HOPE」の歌詞の意味を解説してきました。
新型コロナウイルス感染症の流行によって世界が不安定になっている中で発表されたこの楽曲。
TENDREにとっての「希望」をこの楽曲にパッケージして、リスナーに届けようとしたのでしょう。
その力強い想いが私たちに生きる元気を与えてくれる楽曲です。
柔らかなサウンドと対比するかのようにその想いには彼の意志が色濃く反映されていました。
さてこの記事の最後に、OTOKAKEに掲載されているものの中からおすすめの記事をご紹介しようと思います。
今回おすすめしたいのは、同じくTENDREの楽曲「SIGN」の歌詞解説記事。
そして、SIRUPの「Pool」のMV解説記事です。
SIRUPは、TENDREのようにゆったりとリラックスできるようなサウンドが印象的です。
歌詞もスタイリッシュでありながら、独特のストーリーを展開するオリジナリティのあるものとなっています。
TENDREが好きな方はきっと気に入るはずですので、こちらも是非ご覧になってみてくださいね。