ANARCHYから業界への挑戦状
暴走族のヘッドからラップスターへ
貧困家庭で生まれ育ち京都有数の暴走族のヘッドになったANARCHY(アナーキー)。
今や日本のラップシーンでは誰もが憧れるカリスマ的存在です。
EXILE TRIBEとの共演作「HiGH&LOW」シリーズで見せた怪演。
2016年の『BLKFLG』でのTHE BLUE HEARTSのカバーなどその活動は常にセンセーショナルです。
畳みかけるように2019年3月13日には7thアルバム『The KING』をリリース。
そこでANARCHYはガラパゴス化した日本の音楽業界の常識に挑戦状を叩きつけています。
13曲入り13,000円のアルバム「The KING」
13人のラッパーを招いて制作された『The KING』の価格はなんと税抜き13,000円です。
DVDなどの目立った特典はありません。
ANARCHYは自身の、そして信頼できるラッパーと作った作品に自ら価値を付けたのです。
「分かる人だけ買えばいい」
そんな姿勢が伺えるような『The KING』。
詳細は彼のオフィシャルサイトをご覧ください。
ANARCHY(アナーキー) OFFICIAL WEBSITE
ANARCHY(アナーキー) OFFICIAL WEBSITE
『Loca feat. Awich』
曲名に込められた意味とは?
今回はアルバム『The KING』より『Loca feat. Awich』をピックアップ。
この曲でANARCHYは夜遊びのプロを演じています。
“loca”とはスペイン語で“狂ってる”を意味する言葉。
リッキー・マーティンのヒット曲に『Livin' la vida loca』がありました。
これは直訳すると「狂った人生を生きる」です。
しかしスペイン語にもスラング的用法があり“la vida loca”で「かわい子ちゃん」とも意味します。
ANARCHYはこの曲名にどんな意味を込めたのでしょう?
それは『Loca feat. Awich』の歌詞を紐解くことで見えてくると思われます。
沖縄を代表するフィメールラッパーAwich
Awich(エーウィッチ)は現在YENTOWNクルーの一員として活躍するフィメールラッパーです。
出身地の沖縄ではカフェ経営・テレビ出演などかなりの知名度を誇ります。
AwichはANARCHYに負けず劣らぬ波乱万丈な人生の持ち主です。
彼女はアメリカ留学中に起業学とマーケティング学の博士号を取得しています。
そして当時知り合った現地の男性と結婚しますが...。
なんとご主人はいわゆるプッシャー(売人)でした。
そして帰国直前何者かに銃殺されてしまったのです。
詳しい経緯は2017年作の『8』をお聴きください。
当時9歳の娘さんをフィーチャーした『Jah Love ft. Yomi Jah』に綴られています。
理解不能?男女の本音を描いたMV
全員納得で軍配はAwichにあり?
ってかさ街の喧嘩小僧とか言ってる場合じゃないからね
帰ってきてって言ったじゃん
約束守ってよ
出典: Loca feat. Awich/作詞:ANARCHY,Awich 作曲:Chaki Zulu
想像してみましょう、自分の彼氏がこんな感じだったら...。
全女性が怒り心頭、Awichに共感するであろう『Loca feat. Awich』のMVを見てみましょう。
画面左側は仲間とストリップ遊びに勤しむANARCHYの姿。
そして右側では彼の帰りを健気に待ち続けるAwichが映し出されます。
自称“夜遊びキング”の彼氏も彼女の前では大人しくしているのでしょう。
「愛してるのはお前だけ」
例えそれが真意だとしたら?
その誠意は行動で示しましょう。
さもないとMVのラストのように彼女の愛はバイオレントに表現されることでしょう。
上に引用したのは曲のラストでうっすら聴こえるAwichの語り部分です。
実は彼女の楽曲『WHORU? feat.ANARCHY』へのアンサーにもなっています。
最後の電話口でのAwichのマジ切れ加減が秀逸な『Loca feat. Awich』。
男性諸氏はMVを見て我がフリを見直してみましょう。