「drawing me」は”私を描く”という意味。

このフレーズには、”染められていく”というニュアンスもあると思います。

「群青」も「涅色」もどちらかといえば暗い色。

その後の歌詞では「二人静」という独特な表現が使われています。

これは、恋人との間に流れる沈黙を意味しているのでしょう。

そして、その沈黙の色に名前を付けることはできないと歌っています。

今の恋人との微妙な関係について、考えるのが怖いのかもしれません。

最後に「one lie」、つまり”ひとつの嘘”と歌っていることからも分かる通り、2人の間には隠し事がある様子。

恋人の嘘を暴いたら、今の関係が終わってしまう。

それが分かっているから、自分たちの色を言い表すことができないのかもしれません。

世界から色が消えていく

透明な言葉をただ (塗りつぶしてる)
できるだけ乱暴にまた (キミ嘘ついた)
重ね塗る言い訳だけ(沈みはじめる)
消えてゆく 消えてゆく 消えてゆく
このセカイcolor

出典: セカイcolor/作詞:Q-TA 作曲:久下真音

サビで登場する色は「透明」ただひとつだけ。

これは色がないと言ってしまったほうが良いでしょう。

色を持たない言葉。

それはつまり、感情の込められていない言葉のこと。

恋人の言葉からは、もうなんの愛情も感じられない。

それを認めたくなくて、無感情の言葉を塗りつぶしていきます。

恋人の「キミ」が重ねてきた嘘や言い訳。

それさえも、「消えてゆく」。

「セカイcollar」は、世界から色が消えていくという意味でした。

心情の変化に注目

2番の歌詞でも様々な色が登場します。

1番と同じ色であっても、はたしてその色が持っている意味は同じものなのか?

1番から変化している心情に注目してみましょう。

残ったのは怒りだけ

振り返りかすむ青が
無垢なキャンバス切り裂き
赤く走っていく

出典: セカイcolor/作詞:Q-TA 作曲:久下真音

1番でも登場した「青」と「赤」が2番でも登場します。

この歌詞での「青」は、純粋さを表しているのではないでしょうか?

素直な気持ちで相手を愛せていた日々が、どんどんかすんでいく。

そうして最後には、相手への怒りだけが残った。

この胸が張り裂けそうなほどの怒りを「赤」で表しています。

1番では切なさの中にも情熱を感じることができていました。

それが、2番では怒りだけに変わってしまったようです。

残酷な真実と甘美な嘘

顔埋めむせる白に
消えかけた黒さえ咲き
明日を照らしている

出典: セカイcolor/作詞:Q-TA 作曲:久下真音

1番では光と影を表していた「白」と「黒」。

2番では、真実と嘘を表しているのではないでしょうか?

真実とは、ときに残酷で息苦しいもの。

それに対して嘘は、一時の夢を見せてくれます。

恋人の嘘を許せないという気持ち。

そして、嘘でもいいから愛してほしいという気持ち。

ここではそんな相反する2つの気持ちが歌われています。

報われない想いが景色を滲ませる

恋の終わりを悟ったとき、世界はどのように姿を変えたのでしょう?

報われない想いが描く景色。

それは、滲んだ水彩画のように曖昧で不確かな景色でした。

唯一の甘い色

drawing me 反抗的な深藍(ふかあい)
drawing me 突き刺さる鉛の色(なまりのいろ)
drawing me 思い過ごしの硝子(びろうど)
永遠(とわ)に それは聴色(ゆるしいろ)
one lie

出典: セカイcolor/作詞:Q-TA 作曲:久下真音

「深藍」、「鉛の色」、「びろうど」は暗色。

それに対し「聴色」だけが明色になっています。

苦しかった日々が、今になって素晴らしいものに思える。

本当は、どれだけ恋人に裏切られても嘘をつかれても良かったのかもしれません。

相手が自分を愛してくれなくても、自分は永遠に相手を愛しつづける。

その想いだけは、きっと「聴色」のように甘く繊細な色をしていたことでしょう。

捨てることのできない一途な想いに切なくなりますね。

涙で色が流れ落ちていく