ただ、あまりにも不思議な歌詞なのでついていけない可能性もあります。
その点についての指摘がこちら。
さっぱり白けて、現実にはあり得ない話と嫌がる人もいるかもしれない。
この曲を聴く人の繊細な部分に迫る時は、目についたことから気にしないようにしよう。
そんな意味ではないでしょうか。
早口でタイトルを歌うはずのところが、仮定の言葉に代わっているところが興味深いですね。
幅広く理解される歌詞もあれば、芸術性が高すぎて難しいと敬遠される歌詞もあります。
目に見えないものが見える。
そう想像することをためらう方がいても、このまま芸術性を極めるという意志表明のようにも受け取れます。
2番の歌詞はこちら!
リスナーの心に迫りたい
エア が象るみたいで
それでも 触れてみたい
触れてみたい から
もう知ってる から
わたしのこと から
頭が光 から
離れていく から
出典: あなただけ/作詞:長谷川白紙 作曲:長谷川白紙
この曲の収録アルバム「エアにに」を彷彿とさせる言葉が出てきました。
確かに空気も、音楽や光のように実体のない、目に見えないものです。
音楽は、空気を形作るように実体が伴わないものだ。そうであってもリスナーの琴線に触れる音楽を作りたい。
長谷川白紙さんはこう考えているのではないでしょうか。
しかし、この曲はもう、長谷川白紙さんの頭の中だけの話ではありません。
この曲を聴く方がいるという事実を認識すると、さてどうなるでしょうか。
悩みからの解放
わたしたち ぶつかる
嘘たちの重さを思い出したら
幻の体になる
出典: あなただけ/作詞:長谷川白紙 作曲:長谷川白紙
長谷川白紙さんとこの曲を聴く方が出会った状態です。
または「見に見えないものが見える」という想像についていけない方とがっつり対峙したとも考えられます。
音楽、光、空気のような目に見えないものを、実体があるように認識する。
見えると想像する。そうすると、逆に肉体は実体が消滅したかのように透き通るという話でしょう。
「目に見えるもの」と「目に見えないもの」を逆転させることで、辿り着きたい境地があるわけですね。
それは、悩みのない状態。
この曲を通して「音を見る」ことにより、リスナーの気持ちが晴れることを願っていると考えられます。
どこなら生きられる?
光り輝く音楽
明かりが瞼弾く音が
聞こえてるのはあなただけ
出典: あなただけ/作詞:長谷川白紙 作曲:長谷川白紙
これまでの独自考察があながち間違いでもないことがわかる部分です。
長谷川白紙さんはこの曲を聴く方と1対1で向き合っています。
悲しみに暮れ、涙を流していたとしても、ポジティブな方向へ誘う音楽。
そんな曲を他でもないリスナーの「あなた」に届けるという話でしょう。
美しく特別な存在
天国くらいに遠くから 頭を掴む
色のない
えずきがわたしを直しても
愛しているわ
もしそこに祈りがなければ
どこまでも いつまでだって
難しい 美しいあなたの
役割が 生きれる場所は
出典: あなただけ/作詞:長谷川白紙 作曲:長谷川白紙
リスナーのことを「美しく特別な存在」と捉えている長谷川白紙さん。
もちろんリアルな日常生活では接点がなく、音楽を介してのみの関係です。
果てしない距離感がありますが、それでも実際に触れるくらいの勢いでリスナーの心情に迫ったと考えられます。
そのせいでネガティブな言葉が跳ね返ってきたとしても、愛と願いを込めるという強い決意が伝わってきます。
この曲を聴くことによって悩みから解放され、自分らしい役割と居場所を見つけてほしい。
そんな愛と願いではないでしょうか。
逆に、悩みを抱え、音を見るという想像につき合えない人がいたからこそ、この曲が生まれたとも考えられます。
そんな美しい人が担ってくれた、創作意欲をかき立てるという役割が生きられる場所は、もちろんこの曲。
あらゆる角度から解釈できます。
いずれにしても「音楽を聴けば生きられる」と感じてもらうことが辿り着きたかった境地でしょう。
実際にこの曲こそが自分の居場所、生きられる場所と感じた方が多いはず。
深い愛と願いがこもった名曲でした。