全国ツアーの名を冠した渾身の一曲

THE RAMPAGE from EXILE TRIBE【THROW YA FIST】MVを解説!の画像

2019年2月より行われた全国ツアーも記憶に新しい、EXILE一族の新星「THE RAMPAGE」。

張りのあるハイトーンから艶のあるミドル、甘く語りかけるような声色、そしてキレのあるラップ…。

3名という枠を超えた色彩豊かなヴォーカルの移り変わりが聴き手を惹きつけて離さないグループです。

それだけではなく、ダンサーたち個々の確かなテクニックにもご注目。

一糸乱れぬコンビネーションをはじめ、個性の際立つソロまでも涼しい顔でこなします。

そんな圧巻のパフォーマンスで魅せる彼ら。

ヴォーカルとダンスがいずれも高い次元で融合した、次世代のエンターテイナーグループのひとつといえるでしょう。

今回はツアーの表題曲ともなった『THROW YA FIST』のMVについて解説します。

楽曲の内容にもふれながら、また歌詞を少々深読みしながら紐解いていきますよ。

MVから見えてくる「象徴」の存在

静かなる闘志

まず、MVを通して見たときに残るのは「前面に押し出されたクールさ」です。

画面は全体的にシャープな色合いで統一されており、色味をワントーン落とした印象。

場面の切り替えはあるものの、バリエーションはかなり絞られています。

真剣な表情も相まって、終始緊張感の漂う雰囲気で進行する中「炎の赤」だけがやけにくっきりと鮮明に映し出されます。

この楽曲では、MV中にいくつか象徴的なものが登場しますが…。

炎はクールさと裏腹に燃えさかっている「静かなる闘志」の象徴なのではないかと感じました。

内なる叫び

カットごとに見ていくと、随所に出てくる、鉄骨が無造作に組み合わさったやぐらの存在も気になるところ。

ダンスに目を奪われがちですが、よくよく見れば上部からスピーカーがいくつも伸びているのがわかります。

まるで何かを主張しているようにも見えますね。

足下には並べられたいくつものデッキ、そしてヴォーカルもメガホンを使用しており、ますますメッセージ性が強まります。

これは先ほどの「闘志」と対比された「内なる叫び」の象徴といえるのではないでしょうか。

さらに言えば、炎の場面は夜を舞台に、やぐらの場面は昼間を背景にしています。

物的な面だけではなく、時間的な面でも対比を効かせているのでしょう。

メッセージ性の感じられる衣装

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個性を際立たせるというよりは、ほぼ黒やモノトーンの衣装で統一されています。

それだけに、全員で同じ動きを揃えるタイプの振り付けがよく映えますね。

視覚的にも高度にシンクロナイズされたダンスは、もはやひとつの生命体のような動きに錯覚させるほどです。

そんな中、対照的に白いジャケットをまとうメンバーも…。

そして書き殴られたアルファベットが目に飛び込んできます。

今までご紹介してきた「象徴」から、思わずこれも何かのメッセージなのではないかと勘ぐってしまいますね。

ちなみによく見ると、壁に吹き付けられたスラングや、先ほど登場したメガホン。

文字という点では、他にも細かいところでいくつも発見できます。

もう一度、目をこらしてみるのも楽しいですよ。

楽曲とリンクしたダンス

緩急のついた映像に引き込まれる

スピード感に着目すると、画面は目まぐるしく切り替わり、かつ視点もひっきりなしに動いているのがわかります。

しかし時折、並んで歩く姿やうつむく姿がスローで挿入されることで意表を突かれ、全体にうまく緩急がついているのです。

情報量は絞りつつ、視聴者を飽きさせない工夫がなされていますね。

楽曲と照らし合わせれば、より奥深くなる

そして、楽曲とリンクしている点も見逃せません。

歌詞を見ると、行ごとに前半が日本語+後半が英語という組み合わせを基本にしています。

これがダンスミュージック調のグルーヴ、いわゆるノリのよさを生んでいるのです。

注目したいのは、ダンス的なビートが絶えず強調されているというわけではなく、これまた唐突にゆったりとした拍感のセクションが現れるという点。

音楽の緩急がMVの世界観ともしっかりつながっていますので、映像を見ながら楽曲をより深く楽しめますね!

楽曲から見えてくること