美しいコーラス!でも歌詞は皮肉たっぷり…
Sugar(シュガー)といえば、90年代に活躍したアメリカのロックバンドを想像するでしょうか。
しかし今回ご紹介するのは、80年代に大ヒットを飛ばした日本の3人組女性コーラスグループ。
その大ヒット曲が「ウエディング・ベル」です。とにかくコーラスが美しい!と大人気でした。
ただ、その歌詞が少しというか、かなりというか……皮肉たっぷりなんです。
もうすぐ結婚する!とか、幸せな結婚が夢!なんて女性が聴いたら、ひっくり返りそうな内容。
PUFFYのカバーあり♪
日本でミュージックビデオ(MV)が一般的に普及したのは90年代くらいになるでしょうか。
Sugarの「ウエディング・ベル」は1981年にリリースされていますので、MVは存在しません。
その代わりというわけでもありませんが、他のアーティストによるカバーをご紹介しましょう。
3人組ではなく2人組になりますが、何とPUFFYが「ウエディング・ベル」をカバーしています。
PUFFYならではのウエディング・ベル
PUFFYといえば井上陽水と奥田民生という大御所が遊び心満載で作った「アジアの純真」で一世を風靡しました。
他にも「渚にまつわるエトセトラ」や「これが私の生きる道」と次々にヒットを飛ばします。
PUFFYの全盛期は知らなくても曲を聴けば歌えるという方も多いのではないでしょうか。
そんなPUFFYの歌うウエディング・ベルはSugarとは違った魅力が満載です。
アレンジがよりPOPな感じでコーラスも厚みを増しています。
振られた悲しい女ごころを明るい曲調で歌い上げて、聞き終わった後に思わずニヤッとしてしまうのです。
PUFFYバージョン
2009年にリリースされたPUFFY11枚目のオリジナルアルバム「Bring it!」に収録されています。
中居正広さん主演、上戸彩さん出演のドラマ「婚カツ!」(2009年)の主題歌にも起用されました。
美しい歌声&コーラスという点は、本家Sugarを彷彿とさせます。
ただし歌詞は過激!このギャップが魅力になっているわけですね。
友情を愛情と勘違いした夢見がちな女性かも
PUFFYバージョンのウエディング・ベルで主人公の女性を深読みしてみましょう。
彼女はとても仲の良い男友達に恋をしていました。しかし悲しいことに彼は「友達」としか思っていないのです。
デートというものではなく、会うのはいつも仲良しグループ。
たとえ2人で会うことがあったとしても、それはたまたま他のメンバーの都合が悪かっただけです。
彼は彼女のことを「いい奴」と思っていますが恋心はありません。
しかし彼も「いい奴」なので彼女に対して優しく接します。でもこれは愛ではなく友情なのでした。
彼女がもっと冷静に彼を観察していれば、自分への接し方と他の女性への接し方に違いは無いと気付いたはずです。
でも彼に夢中になっている彼女の目には都合の良い事しか映らなかったのでしょう。
見事なほどの片思いですね。
きっと彼との楽しい日々を妄想していたのでしょう。妄想が一部現実のような錯覚さえ持っています。
ただ1つ救いがあるとすれば彼女は吹っ切るのも早そうだということです。
どうかお幸せに…と願わずにはいられないキュートなイメージが浮かびます。
大森靖子もカバー!
PUFFYのカバーが王道の正統派だとすると、大森靖子さんのカバーは想像を絶する異端派!
衝撃的な歌詞を美しく歌い上げるのではなく、まんま過激に突っ走りました!というワケです。
年齢制限は設けられておりませんが、嫁入り前の女性はとくに心してご覧くださいませ。
大森靖子バージョンはドロドロの愛憎劇
この曲を知っている人なら「まさかウエディングドレスで乗り込むの?」と思ってしまいます。
彼女の後ろには全身黒づくめの「心の闇」が付き纏っているのです。
この心の闇はなんとも素敵なダンスでひらひらと楽しんでいるかのように見えます。
振られた女性の心は闇に操られていることを感じとらせる演出です。
心の闇に支配され、聞く耳も持たなくなっている女性は闇に取り込まれそうになっています。
SugarバージョンともPUFFYバージョンとも違うブラックなウエディング・ベル。
最後に鳴り響いたのは結婚式の鐘でしょうか。それとも彼女のお葬式の鐘でしょうか。
少し時間が経ってから「こわっ!」と思えるストーリー仕立てです。
大森靖子バージョン
2016年に発売されたシングル「ピンクメトセラ/勹″ッと<るSUMMER」のカップリング曲です。
ウェディングドレスを着て、地面に突っ伏した状態の大森靖子さんからMVは始まります。
とくに最初の「ウエディング~」は、頭のてっぺんから声が出ているのでは?と疑うほど。
甘い歌声ですが、情念たっぷりですね。過激な歌詞どおりのやりきれない思いがこもっています。
背後から黒いワンピースの女性が踊りながら追いかけてきて、後はもう…大惨事です。
ある意味パンク!
ソウル・フラワー・ユニオンの奥野真哉さんがアレンジとプロデュースを担当されています。