ermhoiさんの聖母のようなささやきボイスと複雑なビートが融合します。
まるで138億光年先から届けられた宇宙の根源のような歌声。
地球の大地にどっぷり根ざした生命のリズムと溶け合ったかのようです。
ねえ側においで
寝そべってしばらく頭を休ませて
でもメロディーは、止められないドローンのように滑り落ちていく
君をもう一度感じるために
出典: lost and found/作詞:ermhoi 作曲:Daiki Tsuneta
2番サビ
I was lost and found
Came back in another shape
Drawn in annoying white noise radio
Make it in to piece all the stupid mal-missions
Just shroud our past
The nature couldn't cope with the fact
出典: lost and found/作詞:ermhoi 作曲:Daiki Tsuneta
歌とリズムのほか無数の音が複雑に絡み合って生まれるグルーヴ(ノリ)。
Aメロとサビを繰り返しつつ、ますますサウンド全体が高揚していきます。
私は失われて見つかった
別の姿で戻ってきた
苛立たせるラジオのホワイトノイズに溺れながら
出来の悪い計画は全て粉々にして
私たちの過去を包み込んで
自然は事実を受け入れられなかったのね
出典: lost and found/作詞:ermhoi 作曲:Daiki Tsuneta
Srv.Vinci(サーバ・ヴィンチ)から数回の改名を経て辿り着いたのがKing Gnuです。
DTMPことDaiki Tsuneta Millennium Paradeからmillennium paradeへといった変化もあります。
ermhoiさんはソロ活動やBlack Boboiのほかトラックメイカーとして楽曲提供したり、コーラス参加したり。
2019年からはmillennium paradeでも活動という流れです。
こうした点を踏まえると、millennium paradeに参加している音楽家たちはそれぞれ再生しています。
■ホワイトノイズ
全ての周波数で同じ強度となるノイズである。
「ザー」という音に聞こえる雑音がピンクノイズで、「シャー」と聞こえる音がホワイトノイズである。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/ホワイトノイズ
理論や歴史に照らし合わせると、優れた音楽は数多く存在します。
ところが名曲が必ずしも幅広く受け入れられるとは限りません。
音楽そのものというほど人生を捧げてきた音楽家たち。
雑音でしかないような批判が耳に届くこともあったのでしょう。
ヒット曲が雑音に聴こえるほど悔しい思いをされたのかもしれません。
そんな経験があったからこそ、millennium paradeという無敵艦隊に到達したとも考えられます。
終わりの真意とは?
2番Cメロ
I was lost and found
Fact you'll never see me again
We fought for all of us
Same I get all the flashbacks
Keep the radio on
I still hope I hear some
Voices of one of us
Though I know my heart will
never beat again
出典: lost and found/作詞:ermhoi 作曲:Daiki Tsuneta
早口で畳みかけるラストの前半です。
メロディーはありつつ、ラップのようにも聴こえます。
私は失われて見つかった
事実、私はもういなくなる
私たちは皆のために戦って来た
私もそう、フラッシュバックが見える
ラジオはつけたままにして
まだ聞こえることを期待しているの
仲間の声を
私の心臓はもう二度と
動かないとしても
出典: lost and found/作詞:ermhoi 作曲:Daiki Tsuneta
主人公は再生しつつも、まもなく寿命が尽きることを認識しています。
そして自分自身が息絶えても、戦友のような同志の声が電波に乗って聴こえてくるはず。
そう信じています。
人間の枠に留まらず、すべての命は再生するという話かもしれません。
あるいは人類が滅び、AI(人工知能)のような存在に取って代わっても、魂は受け継がれる。
そんなSFっぽい物語も想像できます。
ただ、ラジオという表現があるので音楽の話として解釈したいところです。
優れた音楽がヒットする世の中になるよう頑張り続けた音楽家たち。
その魂を受け継ぐための再生を表しているのではないでしょうか。