春の雨が降り注ぐ理想郷

電気グルーヴ【Shangri-La】歌詞の意味を知ってる?徹底解説!あの頃を思い出すこと間違いなし!の画像

シャングリラ 彼女の綴った ユートピア 探し
シャングリラ 彼女は笑った 軋轢は無し
シャングリラ 彼女が居れば どうにでもなるし
シャングリラの中埋もれた 思い出話

夢で KISS KISS KISS KISS KISS KISS
何処へも何処までも
漂う様な さざめきの中 穏やかな日々よ
夢で KISS KISS KISS KISS KISS KISS
いつでもいつまでも
キラめきながら 降りそそぐ雨
春潤していた あの頃の様に

出典: Shangri-La/作詞:電気グルーヴ 作曲:Silvetti,電気グルーヴ

シャングリラの中に消えていった彼女を追い求めること。

それは夢の中の思い出に永遠に浸り続けることを意味します。

美しい思い出の中にあるのは軋轢のない穏やかな日々です。

キラキラと降り注ぐ春の雨

あの頃のように君と永遠にくちづけを交わし続けたい

だからいつまでも夢の中に浸り続けるのです。

アートワークのチューリップの意味することは?

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「理想郷」と題された曲名。

MVで幾度となく登場しアートワークにも使用された真っ赤なチューリップ

チューリップ子どもが最初に触れる花でありながらどこか艶めかしい雰囲気を併せ持ちます。

「Shangri-La」制作当時、楽曲の構想より先にイメージされたのが真っ赤なチューリップ

前作「ORANGE」での露悪的・ギャグ的な表現は「Shangri-La」という美しいラブソングへの序章でした。

「シャングリラの中埋もれた思い出話」

「漂う様な~穏やかな日々よ」

これらの普遍性を持つフレーズをいかにダンスミュージックと融合させるか?

そのひとつの回答が「Shangri-La」で完成したのです。

「Shangri-La」では言葉の1つ1つがサウンドと見事に調和しています。

艶めかしくもノスタルジーを感じさせる言葉とサウンドの融合

電気グルーヴからファンへ宛てたラブソング

「Shangri-La」のサンプリング元「Spring Rain/Bebu Silvetti」

「春の雨」=「Spring Rain」のような刹那的な快楽を求めたハウスクラシック

ダンストラックと言葉の融合を突き詰めた先にあったのが「Shangri-La」です。

石野卓球はリリース当時「ファンへの愛情をストレートに表現した」と語っています。

理想郷とはダンスフロアを表すのでしょう。

石野卓球は世界中をテクノDJとして巡った末に理想のダンスフロアを見つけます。

「Shangri-la」のリリース以降電気グルーヴライブ会場を変更

座席指定のあるアリーナクラスではなくオールスタンディングの会場にこだわります。

当時電気グルーヴほど人気のあるアーティストは座席指定の会場でライブを行うことが普通でした。

地方に行けばキャパ300人という小人数でもライブを行ったそうです。

笑顔で踊るファンの表情が見たいから。そこにこそ穏やかな時間があることを知っていたのです。

いつまでもその空間に浸っていてね。

「Shangri-La」は電気グルーヴからファンへ向けたラブソングだったのです!

収録アルバム『A』

第1期電気グルーヴの集大成

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「Shangri-La」は1997年リリースのアルバム「A(エース)」に収録されています。

シングル同様電気グルーヴ史上もっとも世に広まることになったアルバムです。

同時にまりん(砂原良徳)在籍の3人体制の電気グルーヴ最後の作品となりました。

「VITAMIN」「DRAGON」と続いた最先端のダンスミュージックを取り入れた流れ。

迷走期とも呼べる前作「ORANGE」のギャグ路線への回帰を経た第1期電気グルーヴの集大成といえる作品です。

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「A(エース)」収録曲
1.かっこいいジャンパー
2.VOLCANIC DRUMBEATS
3.ポケット カウボーイ
4.ユーのネヴァー
5.パラシュート
6.ガリガリ君
7.猫夏
8.あすなろサンシャイン
9.Shangri-La
10.SMOKY BUBBLES
11.ループ・ゾンビ

出典: A/電気グルーヴ

「Shangri-La」の他アニメ「コジコジ」のエンディングとして使用された「ポケットカウボーイ」も収録。

非常にバリエーションに富んだ楽曲が収録されていますが1枚を通して聴くとある統一感を感じることができます。

クラブトラックとポップスの融合言葉とサウンドの一体感

テクノは1曲も入っていないのにDJセットに組み込んでも違和感のないサウンドをついに手に入れたのです。

白眉は7曲目の「猫夏」から最終曲「ループ・ゾンビ」までの気持ちよさ。

実際に曲の繋ぎから先に制作するというDJ的な手法を用いたとされています。

これだけ壮大なアルバム制作は当然のように難航したそうです。

しかし合宿中に起きた「夢の3日間」でほぼ全ての楽曲の骨格が完成したとある雑誌で語っていました。

名作を生みだした『夢の3日間』

あすなろサンシャイン [Live at FUJI ROCK 2006]/電気グルーヴ

「夢の3日間」には石野卓球とまりんの出す音全てがキラキラと輝いたそうです。

1曲できる度に2人は目を合わせ「やばい!」と狂喜

ロビーで待機中(笑)のピエール瀧を連れてくると音を聴いただけで思い通りの歌を入れてきます

「Shangri-La」「あすなろサンシャイン」「ガリガリくん」「ループ・ゾンビ」...。

アルバムの核となる楽曲はほぼこの3日間で制作されたといいます。

言葉で並べても分かりにくいですよね。

未聴の方は騙されたと思って1枚通してぜひ聴いてみてください